7月31日が投開票日の都知事選。主要3候補の公約と街頭での発言などをチェックする。自民党に所属しながら、政党推薦を得ずに立候補した小池百合子さん(64歳)。
政党に頼れない分、元テレビキャスター、元大臣としての知名度を生かし、幅広い支持を呼びかける。「新しい歴史教科書をつくる会」など保守系団体からの支持もある。
本来は自民党内でも保守色が強いことで知られるが、今回、自民党都連と対立したことで、「改革」を前面に打ち出す立ち位置に収まった。
公約の中身は
ウェブサイトで公開している公約は、都政の透明化、行財政改革、オリンピック・パラリンピック関連、特区を活用した経済政策が柱だ。
3つの「新しい東京」とは何か。
ダイバー・シティ
このキャッチフレーズは、多様性を意味する「ダイバーシティ」にちなんだもの。
子育てについては、待機児童ゼロを目標に保育所の受け入れ年齢、広さ制限規制を見直す。保育ママ・子供食堂などを活用し、地域の育児支援体制を促進する。
また、都の遊休空間を活用して保育・介護施設不足を解消。待遇を改善して人材を確保するという。
ただ、いつまでに進めるのか、財源はどう確保するかなど、肝心の部分は明らかではない。また、「2階建通勤電車の導入促進」による満員電車ゼロなど、実現可能性が不透明なものも混じっている。
スマート・シティ
LED化の促進、エコハウス・スマートハウスへの補助強化などの環境政策。特区制度を活用した金融規制緩和など経済政策の2つが柱となっている。
セーフ・シティ
住宅耐震化の加速、都道の電柱ゼロ化や、テロ対策などを中心としている。「町会・消防団の機能を高め、支援する」「商店街維持発展のために、事業承継対策と空き店舗の活用などを推進」といった点も挙げられている。
街頭演説では、何が語られているのか?
政策は?
7月28日午後、江戸川区・船堀駅前。小池候補がまず触れた政策は、待機児童問題だった。解決手段として挙げるのが、都有地や空き家の活用だ。矢継ぎ早にこう語った。
「都が持っている公園はけっこう広いものもある。都の土地を保育施設と介護施設とに提供する。補正予算をうっていく」「空き家をシェアハウスにするとか、大きめのマンションとかにして、家賃補助をする」
さらに、それを介護・保育職の人たちに提供することで「空き家対策と介護・保育の方々の待遇改善という、全く違う問題をいっぺんに解決する」という。
自民党批判と打ち出す「無党派」色
街頭演説のメインテーマは、政策よりも自民党批判だった。応援演説に立った自民党の若狭勝・衆院議員が吠える。
「小池百合子が都知事になれば、自民党の一部の間違った人間を、きちんと指導して方向転換させます。今の自民党都連は、僕に言わせれば本当に危ない」
「(自民党を)除名になっても、小池百合子を都知事にできれば、それで本望です」
支持者に「何か緑色のものを持ってきて」と呼びかける小池さん。壇上から聴衆をぐるっと見渡すと、うちわや傘、タオルなど、緑色のものが打ち振られる。
「ありがとうございます」と声援に応える小池さん。自民党でありながら、無党派色を強くアピールする。
「(支持者は)いわゆる無党派層。これまで政治なんて関わりもしなかった、そんな方が私の街頭演説に、あちこちからご参加いただいている」
「このような街頭演説に、初めて参加される方は?」と問いかけると、多くの聴衆が声をあげて反応した。
しかし、自民党に分裂選挙を仕掛けて知事になったとしても、都議会自民党と関係を修復できるのか。小池さんの戦いは、当選したとしても開票日では終わらない。