「児童ポルノとうたう作品が店舗や大手サイトで販売されている」 NGOが実名あげて批判

    ヒューマン・ライツ・ナウ(HRN)の調査

    NGOのヒューマン・ライツ・ナウ(HRN)は9月5日、日本国内の児童ポルノの状況についての調査報告書をマスコミ向けに発表した。同日夜、記者会見を開く。

    報告書では1年余りの調査で、「あからさまに児童ポルノであることを宣伝しているポルノ」などが、都内の店舗やインターネット上で「未だに公然と販売・配信されている」とし、「児童ポルノないし、少なくとも児童ポルノと疑われる画像・動画が、氾濫していることが短期間の調査でも明らかになった」としている。

    モデルが「2000年生まれ」と記載

    報告書では、「あからさまに児童ポルノであることを宣伝しているポルノ」の例として、次のようなケースを紹介している。

    • DVDのパッケージに「小●生」などと表記されていて、審査団体のシールや「出演者は18歳以上」といった記載がない。
    • DVDのパッケージに、モデルが「2000年生まれ」と記載があり、着衣の上から臀部や性器を強調した画像がある。

    報告書は、もしこうした作品の出演者が、本当に18歳未満なら児童ポルノに該当する内容だと結論づけている。

    警察の説明

    HRNはこうしたコンテンツについて、警視庁に問い合わせた。そこで、次のような説明を受けたという。

    • 児童ポルノ対策は、ネットパトロールを中心に強化していて、積極的に取り締まっている。
    • 年齢が確認できない場合は児童ポルノだと立証できない。児童かどうか疑われる場合は医師による鑑定で判断している。
    • 児童ポルノかどうかは、パッケージの宣伝文句では判断していない。なぜなら、例えば16歳と記載されていても、18歳以上の女優が演じているケースも少なくない。

    小児科医の判断

    そこでHRNは、キャリア20年の小児科医に、店舗で販売されていた5本のビデオを見せ意見を聞いた。すると医師は、うち4本について「骨格、乳房の発育から小学生または中学生と考えられる」など、18歳未満だと判断したという。

    報告書は、こうしたビデオの中にはDMMなど大手アダルトサイトがネット販売しているものもある、と名指しで指摘している。

    審査や流通段階の不備を指摘

    報告書は、業界団体の審査や、流通・販売段階でのチェック体制の不備を指摘。特に「着エロ」や「イメージビデオ」などとされるジャンルでは、「成人向けでない」として、審査を受けていないケースがあるとした。

    提言

    こうした結果を踏まえて、報告書では次のような提言をしている。

    • 政府が実態調査や、規制の周知徹底をすること。
    • 警察が、出演者が18歳以上かわからないポルノについて、積極的に年齢を確認すること。
    • 制作・審査・流通・販売段階での年齢チェックを徹底し、できないものは流通させないこと。