もしも飲食店が禁煙になったら…「行く機会が増える」4割超。反対意見も

    調査をした九州看護福祉大学の川俣幹雄教授は、「飲食店を禁煙にすれば、収益が上がる可能性がある」と指摘した。

    受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法の改正案をめぐる議論が盛り上がる中、九州看護福祉大学の川俣幹雄教授と日本禁煙学会のメンバーらが3月2日、厚生労働省で記者会見し、受動喫煙に関するアンケート調査の結果を発表した。

    調査によると、過去1カ月間に73.5%が受動喫煙をしていた。

    煙を吸った場所は「飲食店」が62.1%でトップ。以下、「路上」(60.4%)、「遊技場」(59.3%)、「コンビニ出入り口」(56.7%)と続いた。

    「他の人のタバコの煙を吸ったとき、どのように感じますか」という質問では、喫煙者と非喫煙者で回答が大きく変わった。

    非喫煙者は「大いに不快」5059人(60.8%)、「少し不快」2434人(29.2%)と続いた。

    一方、喫煙者は「何とも感じない」873人(50.4%)、「少し不快」615人(35.5%)となった。

    「料理、飲み物、接客態度は優れているが喫煙可能だった飲食店が、禁煙になったらあなたはどうしますか」という質問は、次のような結果だった。

    • 利用する回数・人数が増える=2384人(23.7%)
    • 利用する回数が増える=1846人(18.3%)
    • 特に変わらない=3926人(39%)
    • 利用する回数が減る=600人(5.9%)
    • 利用する回数・人数が減る=672人(6.6%)
    • わからない=623人(6.1%)

    厚労省で記者会見した川俣教授は「飲食店を禁煙にすれば、収益が上がる可能性がある」と指摘した。

    アンケートは無記名で、ネットの調査会社に委託して実施した。期間は2017年2月15日〜2月20日で、10051人が回答した。その内訳は喫煙者が1731人(17.2%)、非喫煙者が8320人(82.7%)だった。「受動喫煙に関するわが国の学術調査で、過去最大の対象者数」(川俣教授)だという。

    なお、JTの調査によると、国内の2016年の喫煙者率は19.3%。男性は29.7%、女性は9.7%だった。

    共同通信によると、厚労省が3月1日に示した健康増進法の改正案では、全国の飲食店に喫煙専用室の設置を認めた上で、原則禁煙とする。未成年が行かない小規模のバーやスナックは例外とする。また、飲食店などの施設管理者には、禁止場所で喫煙させない義務を課し、違反した管理者には50万円以下の過料としている。

    こうした飲食店の全面禁煙を巡っては、営業の自由への配慮や、喫煙する自由への配慮が足りないという指摘が、ネット上でも出ている。

    非喫煙者が煙に触れない権利があるのと同様に、喫煙者には、非喫煙者が煙に触れていない状態と同じく心地よく喫煙しつつ飲食する権利があります。答えは分煙、あるいは、店舗の種類を分けることです。これは論理的に明白です。禁煙のみが主張されることは非合理的で、人権論として不平等です。

    厚労省は今国会への提出を目指しているが、自民党などから反対の声が上がっており調整は難航が予想されるという。