州政府が次々とトランプ政権に反旗 知事が演説で「日系人強制収容所」を例に痛烈批判

    州政府がトランプ政権を訴える異例の事態。排他的な政策を進めるトランプ政権への怒りの声があらゆる場所に及んでいる。

    難民やイスラム教徒が多い中東・アフリカ7か国からの市民の入国を制限したトランプ大統領に反対する波が、地方政府にまで広がった。

    米西部ワシントン州ジェイ・インスリー知事は会見を開き、トランプ政権を真っ向から批判した。

    「トランプ大統領が発した大統領令によって生み出された、容認できない混乱と残酷な行為が、シアトル・タコマ空港に溢れている」

    「目に余る残酷な行為だ」

    特定の宗教を狙ったトランプ政権を批判する中、知事は第二次世界大戦中の日系人強制収容所について触れた。

    We've seen executive orders based on fear before: 75 years ago on Bainbridge Island. We're drawing the line and spe… https://t.co/pkqocc35mb

    「私たちは75年前にベインブリッジ島で執行された大統領令を知っている。それは恐怖に基づいたものだった。私たちには容認できないことがある。全ての人々の為に声を上げる」

    インスリー知事が例に挙げた「75年前の大統領令」とは何か。

    日本軍が真珠湾を攻撃した翌年の1942年2月、フランクリン・ルーズベルト米大統領(当時)は、大統領令に署名。国家防衛の名の下に、日系米国人を強制収容所に拘留した。

    当時ワシントン州ベインブリッジ・アイランドに住んでいた200人以上の日系人も全員、強制収容所に収監された。

    敵国・日本の血が流れているという理由だけで、社会から排斥され、財産を失った。レーガン大統領(当時)が1988年、正式に謝罪している。

    「恐怖」がどんな結果を生むかを知っている

    インスリー知事は、米国が過去に犯した人権侵害を例に挙げ、トランプ政権を批判した。

    「75年前の『映画』を再び見ている。米国政府は『恐怖』を理由に、大統領令を出した。1942年2月、日系米国民を一斉検挙し、何年もの間、収容所で拘留した」

    「恐怖」を理由にした排他的な考えが、日系米国人の強制収容につながった。インスリー知事は、ベインブリッジ島の歴史を通じて、「『恐怖』がどんな結果を生むかを知っている」と話す。

    そして、米国民に向けて、こう呼びかけた。

    「米国民は今日、この動きに全米を上げて反対し、立ち上がる必要がある」

    ワシントン州政府は1月30日(現地時間)、一部の市民の入国を制限する大統領令は憲法に違反するとして、トランプ大統領と国土安全保障省を、シアトル連邦地裁に提訴すると発表した。

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    移民・難民規制に反対を表明した地方政府は、ワシントン州だけではない。ニューヨーク市のデブラシオ市長も、イスラム教徒の市民に対して「あなたたちを守る」とツイートした。

    To my fellow New Yorkers who are Muslim: New York City will protect you. The NYPD will protect you. We will fight all hatred and bias.

    イスラム教徒であるニューヨーカーの皆さんへ、ニューヨーク市は、あなたを守ります。ニューヨーク市警察は、あなたを守ります。我々は、すべての憎悪と偏見に戦います。

    ボストン市のマーティ・ウォルシュ市長も「すべての市民のために戦う」と表明している。

    司法省のトップ、イエーツ司法長官代行は、トランプ大統領の大統領令を支持しない意向を示していた。しかし、ホワイトハウスは1月30日、イエーツ長官代行を解任した。

    日経新聞によると、イエーツ長官代行はオバマ前政権時代に司法副長官に就き、トランプ氏が指名したジェフ・セッションズ氏が正式に司法長官に就くまでの代行を命じられていた。