ドゥテルテ大統領の暴言で首脳会談中止 日本への影響は

    オバマ氏を「アバズレの息子」呼ばわり

    フィリピンの名物大統領の発言がまた物議を醸している。

    「麻薬密売者を皆殺しにする」など過激発言で知られているドゥテルテ大統領。

    今度は、アメリカのオバマ大統領に「 (son of a bitch」と牙をむいた。首脳が発する言葉としては前代未聞の暴言が原因となり、予定されていた首脳会談が中止となってしまった。

    首脳会談中止の連絡を聞いたドゥテルテ大統領は、報道官を通じて後悔の念を表明。オバマ大統領との首脳会談を再調整できるかどうかは定かではない。

    人権侵害への忠告にブチ切れ

    問題の発言は、ASEAN首脳会議に出席するため、ラオスへ出発する際の記者会見で飛び出した。

    フィリピンでは、麻薬撲滅を目指すドゥテルテ政権の誕生後、適切な法手続きを経ないで警察が容疑者を射殺する「超法規的殺人」が急上昇している。

    オバマ大統領は予定されていた首脳会談で、「人権侵害の恐れがある」と忠告しドゥテルテ大統領に自制を求めるとみられていた。

    記者が「超法規的殺人」に関する質問をすると、ドゥテルテ大統領は声を荒げて、言い放った。

    (オバマ大統領は)敬意を払うべきだ。とやかく言うんじゃない。プータン・イナ・モ(son of a bitch)!フォーラムで罵ってやるぞ!

    "you must be respectful, do not just throw away questions and statement, Putang Ina Mo!(son of a bitch), murahin kita diyan sa forum na ‘yan. (I will curse you in that forum)"

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    日本への影響は

    フィリピンは中国との間で、南シナ海の領有権問題を抱えている。中国による海洋進出の違法性が確定した国際仲裁裁判所の裁定が出た以降も、フィリピンは中国との二国間交渉を再開していない。

    しかし、ドゥテルテ大統領は以前から中国寄りの発言をしており、このまま米国との対立が深まれば、親中的な方針を一気に打ち出す可能性もある。

    仮に、ドゥテルテ大統領が親中派に振れれば、南シナ海に自衛隊の護衛艦を派遣するなどフィリピンとの連携を深めている日本も方針転換を迫られる恐れもある。

    ドゥテルテ大統領の暴言の背景を分析することが、今後の日本にとっても重要となるだろう。


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