時代の象徴「SHIBUYA109」平成最後の広告に選ばれたのはYouTuberだった

    「109の意思表明としてふさわしい」

    巨大なファッションビル「SHIBUYA109」。

    若者文化の発祥地である渋谷にそびえ立つこのビルで、ひときわ目を引くのが大きなシリンダー広告だ。

    これまで安室奈美恵、SMAP、B'z、西野カナなど、その時々を象徴するアーティストやタレントが掲出されてきた。渋谷のシンボルのような存在でもある。

    2019年4月30日。

    平成最後となったこの日、シリンダー広告を飾ったのは、平成の世に新しい存在として現れた「YouTuber」たちだった。

    提供写真 / 「SHIBUYA109」に掲出されているシリンダー広告

    広告の中核を担うのは、真ん中に映るオレンジ色の服を着た2人組「水溜りボンド」。

    平成を代表する存在へと成長した「YouTuber」である彼らは、令和に何を目指すのか。

    水溜りボンドの2人に聞いた。

    なぜYouTuberが109に?

    提供写真 / 「SHIBUYA109」に併設されているポップアアップショップ

    今回のシリンダー広告は、水溜りボンドと「SHIBUYA109」とのコラボレーションによるものだ。

    広告には、同じ事務所「UUUM」に所属する東海オンエア、パオパオチャンネル、アバンティーズと共に出演している。

    109の施設内にはポップアップストアも併設され、連日、大勢のファンで賑わう。

    「109さんとしては(2019年で)40周年でロゴも変わる。文化の象徴である109が生まれ変わる。そんなタイミングで、『生まれ変わる』ということを世の中に理解してもらえるキャスティング。そして、平成から令和に変わり、次の時代に進む。『新しい渋谷の文化を発信していく』109の意思表明として、この4組はふさわしいと仰ってくれました」(UUUM担当者の笠原氏)

    日々の動画があってここまで続いている

    提供写真 / 水溜りボンドのカンタさん

    そんな記念すべきタイミングの広告に選ばれたことについて、水溜りボンドのカンタさんはこう語る。

    「109に出たいなって気持ちは前々からあったんですけど、実際に見たときに『すげぇな』って心の底から思って。

    『なんですごいと思ったんだろう?』って考えたときに、やっぱり日々、動画を作ることに集中して、それをたくさんの人が見てくれて、喜んでくれている。

    『俺らがたくさんの人を楽しませられるんだ』という思いで4年間やった結果として、こんなところまで来れてるんだと。

    たとえば、動画が100万再生数になったことってYouTubeを見ない人からすると何がすごいのかわかんないと思うんですけど、(今回のシリンダー広告は)YouTubeを見ない親や友人からも『すげぇな』って思ってもらえるわかりやすい瞬間かなって。

    日々の動画があってここまで続いている。最高だなって思いますね」(カンタ)

    特技があるわけでもなく、普通な2人

    提供写真 / 水溜りボンド

    大学の同級生だった2人は、2015年に水溜りボンドを結成。

    毎晩、夜8時に動画を投稿し、これまで1000本以上の動画を制作してきた。

    YouTuberにおける毎日の動画投稿は重要なポイントであり、誰もが通る難関だ。

    結成から4年経った今でも毎日投稿は続いており、YouTubeのメインチャンネル登録者数は392万人以上。国内でもトップ10に入る人気へと成長した。

    カンタさんは、それでも水溜りボンドは「普通」であると話す。

    「僕らはすごいコツコツ型で、何かが起きて急に広がったようなブレイクポイントがないんで。逆にそこが武器かなって。

    普通っちゃ普通。すごい特技があるわけでもないし。

    でも、そんな一般人が109の広告になってるという距離感は面白いじゃないですか。一般人が電話ボックスで隠れてスーパーマンに変身してるみたいな。

    芸能界にいる方々って最初からスーパーマンみたいな人ばかりだと思うんですけど、僕らはそうじゃない。

    見てくれている人たちに、希望を与えられるんじゃないかと思いますね」(カンタ)

    家族と一緒に安心して見られる

    提供写真 / イベントの様子

    5月3日には109とのコラボレーションの一環でもあるイベントが、豊洲PITで開催。チケットは早々に完売した。

    イベントに来ていた14歳の女性ファンは「下ネタの心配もないし、テレビにつなげて安心して家族と一緒に見られるのがいい。水溜りボンドのおかげで、親とYouTuberの話ができるようになった」とうれしそうに話す。

    エンターテイメントのこの先を創りたい

    提供写真 / 水溜りボンドのトミーさん

    イベント中、メンバーのトミーさんは、そんなファンへ向けた感謝の手紙の中で今後の抱負を読み上げた。

    「『この先どうなりたいですか?』とよく聞かれます。相方とエンターテイメントの『この先』を創っていきたいです。みんなの応援に、見せる景色で応えていきます。いつもありがとう」

    平成が終わり、新たな時代に目指す「エンターテイメントのこの先」。

    109平成最後の広告を飾った人気YouTuberは何を見ているのか。

    「YouTubeっていう新しい媒体で2人組で活動していくにあたって、最初はブランディングのためにアイドルとかアーティストの方々のメソッドを勝手に参考にさせていただいていました。

    たとえばイベントの規模が大きくなっていくとアーティストさんだったら全国を回ったり、テレビだったら予算が増えてゴールデンに進出するという通例があったり。

    媒体によってそれぞれのストーリーがあると思うんですけど、YouTubeってまだそこまで確立されてないんですよね。

    それを考えると、僕らはYouTubeのこの先の活動を引っ張る存在になりたいというか。

    YouTubeには今までなかったようなエンタメが実現する可能性があると思うし、『今までこうだったから』ということに捉われないからYouTubeを選んだのもある。

    そういう意味で、今まで誰もやってなかったエンタメのこの先を僕らが見せられるような人間になっていきたいと思いますね」(トミー)