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これから家族になる2人 一緒に探した理想の家庭像

仕事だけでなく、結婚や育児も含めた「ライフキャリア」を意識しはじめたのは、就職活動がきっかけだった。

キックバイクに乗って爆走する子ども。追いかけているうちに、一瞬で体力が底を尽きる。3歳の子どもの素早さは想像以上だ。

くたくたになって公園から帰ると、お昼ごはんを食べさせて、絵本の読み聞かせ。気付けば子どもは、ミニカーを引っ張り出して遊びはじめている。正直、息つく暇もない。

今年末に結婚予定の2人。彼らは理想の家庭像を見つけるため、まったく知らない家族の日常へ飛び込んだ。

悩んだとき見つけたのは、家族に「留学する」という選択肢だった。

Yuto Chiba / BuzzFeed

夫が働き、妻が専業主婦の家庭もあれば、共働きの家庭や、夫が大学院に通い、妻が働く家庭もある。働き方も多様な時代、家庭のあり方もまた多様だ。

「仕事以外、結婚や出産などライフについて初めて意識したのは、就活のタイミングでした」

そう語るのは社会人1年目、IT企業勤務の岡田麻衣さん。彼女は2年前、就職活動をしているタイミングで自身の結婚や子育てについて真剣に考え始めた。

そんなとき、同じような悩みを持つ女子大生がはじめた「家族留学」という取り組みを知った。一言で表現するなら、家庭版のOB/OG訪問。活動を開始した2014年からこれまでに500人ほどが参加し、受け入れ家庭に1日「留学」をして、それぞれの家族の暮らしを体験してきた。

株式会社manma提供

家族留学の一場面。参加者はこのように家族の日常を体験する。

ほとんどの人にとって育った家庭はただ1つ。親と違う生き方をしようと思っても、そこには自分の選択を後押ししてくれるロールモデルが存在しないことが多い。

だからこそ自分が納得できる生き方を見つけるために、仕事だけでなく結婚や子育てなどを含めた「ライフキャリア」を考える機会を求める声は根強い。

家族留学を実施する株式会社manmaの久保日乃さんは、家族留学は「ロールモデルとなる家庭を1つ見つけるというよりも、それぞれの家庭の良いとこどりをする体験」と語る。

就職前に仕事と家庭の両立への不安や共働きへの不安を抱いたことを参加動機に挙げる大学3〜4年生の参加者が多い。これまでは女性の参加者が多かったが、今年に入って男性の参加者も増えてきた。

そんな家族留学へ、2人一緒に参加した岡田さんと村松直哉さん。なぜパートナーと? なぜ1度だけでなく何度も? BuzzFeed Newsはそんな疑問を2人にぶつけてみた。

ロールモデルを探し、叩いた扉。

Yuto Chiba / BuzzFeed

岡田麻衣さん(23)と村松直哉さん(22)の2人は今年12月に結婚予定だ。

ーーなぜ、家族留学に参加してみようと?

岡田麻衣さん(以下、岡田):家族留学に参加した友達のSNS投稿を見たのが1年前。ちょうど当時は就活が終わるかどうかというタイミングで、就職活動をするとき、はじめて女性としてどんな働き方をしたいのか、家庭との両立をどうするのかを考えなくてはいけないという壁にぶつかりました。

私の母は専業主婦なんです。それも1つのロールモデルではありますが、身近に仕事と家庭を両立しているロールモデルがいないことの不安はやっぱり大きくて……

ーー具体的にはどんな不安ですか?

岡田:一番気になっていたのは、出産をしても第一線で活躍することができるのかどうかということ。

産休も育休も法律で整備されているので、まったく取れないということはないだろうと。でも、他社に勤めている方で、営業の仕事をしていた人が産休/育休後に営業事務の仕事に異動したり、バックオフィス業務へ異動したりという話を耳にしたりもするので不安がまったくないというわけではありませんでした。

もちろん、本人がその選択に納得をしているのであれば問題ないと思うのですが、自分がやりたい仕事が明確なときに、その仕事を続けることが可能なのかどうかが心配でした。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーーそんな不安を胸に参加した家族留学で、ロールモデルに出会えましたか?

岡田:はい。3度参加するなかで、それぞれお邪魔した家庭はまったく違うタイプの方達だったので、それぞれ学びがありました。

ーー家族留学にカップルで参加をするって正直、ハードルが高いような。

村松直哉さん(以下、村松):いや、そんなことないですよ。僕は彼女に誘われて、初めて家族留学を知ったんです。でも、子育てに対して、自分の中に漠然としたイメージしかなかったので、参加してみたいと思いました。

岡田:その時期にはお互い将来のことも考えていましたし、カップルで参加されている方達がいるってFacebookの投稿で知っていて。

2人で考える良いきっかけになるかもなと。だから、せっかくなら彼と2人で参加したいと思って声をかけました。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー最初から複数回参加するつもりだったんですか?

岡田:もともとは想定していませんでしたね。笑 それこそ最初はまだ、具体的にこんな家庭に行きたいということをお願いできなかったんです。だから、当時は「共働き、子持ちの家庭」という条件で家庭をマッチングしていただきました。

1度参加した後に、Facebookで家族留学の受け入れ先のプロフィールが配信されているのを偶然目にしたんです。そこに自分たちが想定している家庭像にとても近い家族を見つけたので、再度参加することにしました。

気になったのは、博士課程に在籍して研究職を目指している旦那さん、会社員の奥さんとお子さんが2人いる家庭でした。

村松:僕はいまは修士1年で、博士課程にも興味があります。だから、博士課程に在籍している旦那さんに会えるなんて、面白い!と思って。

岡田:彼は忙しくて、土日も研究室にいることが多いんですよ。そんななかで、子育てをしている人ってどんな風に両立しているのか知りたくて。

生まれ育った家庭が異なる2人が同じ家庭を知ることは、これから築く家庭の軸になる。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー家族留学に参加する前、お二人の間で将来のことや家庭のことについて話す時間はありましたか?

岡田:漠然とはしていたかも…...?付き合いはじめたときから、将来は結婚したいねとかって話はしていたよね。

村松:お互いの家族の話をしたり、将来こんなキャリアを歩みたいってなんとなく話す程度だったよね。 

岡田:でも、家族留学に参加した後は「あの家族のここが良い」「こんなところをまねしたい」って話が膨らむことが多かったです。

村松:彼女がそういう話をしやすい雰囲気作りが上手いってことはあると思います。僕は、そういうのは得意ではなくて。笑

岡田:家族留学から帰ってきたら、1週間くらいその話ばかり。Facebookの投稿で見かけると、「あの家族の○○くんがこんなに大きくなってるよ!」とか。「○○ちゃん、かわいい!」みたいな。笑

だから話す機会は家族留学に参加してから増えたと思います。

村松:2人一緒に同じ家庭を見ているから話しやすいのかも。

岡田:たしかに、そうかもしれない。当たり前ですけど、まったく違う家庭で育ってきているので、時々話が噛み合わないときもあるんです。

村松:目玉焼きに醤油をかけるのか、ソースをかけるのかってことから違うから。やっぱりフタを開けてみないとわからないですよね。

でも、一つ共通の家庭を知っていると、その家庭を軸に話をすることができるんですよね。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー例えば、お二人の間で噛み合わないことにはどんなことが?

村松:公立の学校と私立の学校どちらに子どもを入れたいか、ですかね。僕は出身が長野なんですけど、地元では公立の学校を目指す子の方が多いんです。でも、東京では小学校や中学校から、私立の学校出身の子も多くて。

岡田:私は千葉県出身で、大学まではずっと公立の学校に通っていました。大学だけは私立です。

でも、教育学部で学ぶうちに、いろいろな教育のあり方を知りました。子どもができたら、少し変わった実践をしている学校に通わせてみたいなとも思うんです。2人の間で公立と私立に対する価値観がそもそも違うんですよね。

ほら、授業参観にも3回くらい行ったよね?あとは学習発表会にも行ってみたり。

村松:いろいろな教育指導をしていて、すごく面白かったね。

より具体的にイメージできるようになった、「家庭を持つ」ということ。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー村松さんの「ライフキャリア」への捉え方は変わりましたか?

村松:変わりましたね。それこそ具体的な計画を立てるのは彼女の方が得意なので......いつも学んでいます。

正直、僕なんて彼女から教えてもらうまでは保育園と幼稚園の違いすらわからなかったので。笑

岡田:でも、最近は「認可保育園に子どもを入れるためには......」って話をするよね。

村松:あとは家を探すときも希望する物件に入居できるように、2人で毎日のように物件情報を探したんですよ。

こういうスピード感なのか、って圧倒されましたね。笑 めんどくさがらずにやるのは、すごいなといつも思います。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー他に複数の家庭を見て、変化したことは?

岡田:私はもともと1つの答えを探してしまうタイプで。だから仕事にしても、家庭にしても周りの目を気にして、最短ルートで1つの答えにたどり着ける方法を探していて…...

でも、最初にお邪魔した家庭の奥さんに「仕事も家庭も周りの目を気にして正解を探すんじゃなくて、自分がこうしたいとおもったら、やればいいんじゃないかな」って言われて、考え方が変わったんです。

あとは、「子育てを支援する制度はあるんだから、それを遠慮せず活用したらいい」という言葉をかけてもらったときに、育休や時短勤務等をどこか申し訳なく考えていた自分に気付きました。

村松:僕の場合は、思っていたより育児って大変だなと改めて実感しましたね。

普段、研究室にいる時間も子どもと一緒に過ごすようになるんだなって。日常生活で絵を描くことなんてないけど、子どもと遊ぶと半ば強制的に描かなくちゃいけなかったりするわけですよ。笑 それって良いことでもあるなと思ったんです。大学院で研究をする上でも、新しい発想のタネを得られるので。

「子どもができて人生変わった」とこれまで色々な人から聞いてきたけど、子どもといると考え方が変わる理由が、少しだけわかった気がします。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー実際のご家庭へお邪魔して、ここは真似しよう!とか、ここはもっとこうしたい!って思ったポイントはありますか?

村松:公園は近くにあった方がいいと思ったかな。

岡田:たしかに!それは思った!

いま住む場所を探すときって駅近でとか、職場にできる限り近い場所でって探しているんです。でも、お邪魔した家庭のなかには、郊外の緑が多いところに住んでいる家庭もありました。

やっぱり子どもを見ていると、のびのびと遊べる自然豊かな場所に住むのも良い選択肢だなと思いますね。

それから、2回目にお邪魔した家庭で旦那さんがかなり熱心に子育てに参加しているのを見て、いいなと思ったり。

村松:そうか。でも、僕は育児に参加するって当たり前というか大前提だと思ってるから、それは真似するかどうか以前のことだと思ったかな。お邪魔した家庭でも、旦那さんが奥さん以上に子育てに関わっていて、子どもにも良い影響を与えるだろうなと思ったよ。

気付けば、漠然とした不安も消えていた。

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー結婚のタイミングとしては、かなり早い方ですよね?

岡田:そうですね。でも、私の両親も早くに結婚していて、私は母が20代のときの子なんです。

家族仲良く、夫婦も仲良く。そんな両親を見ていて、家庭を持ちたいなとずっと思っていました。

村松:そうだね。それに、人生経験を積む意味で早ければ早いほど良いかなと。

ーー周りの友達も同じように?

岡田:婚活や不妊治療の大変さを見聞きしている私たちの世代は、早婚傾向が強いかもしれませんね。

友達と話をすると、可能であれば20代半ばで結婚して、20代のうちに子どもを持ちたいって聞きます。

Yuto Chiba / BuzzFeed

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ーー今後、結婚や出産など変化が訪れると思いますが、不安はありますか?

岡田:うーん…...10月に引っ越しをするんですけど、引っ越し先の市町村に産婦人科の病院があるかどうか、あとは保育園に入れるかどうかとかですかね。

村松:かなり具体的で明確な不安だよね。笑 まぁ、不安なんて考えればキリがないんです。いっぱいありますよ。でも、そうやって不安ばっかり抱いてたら、何も行動できなくなっちゃうので。

岡田:これまでは何から何まで計画しないと不安で仕方なかったんですけど、気持ちの面での不安はどうにかなるかなって、家族留学に参加してから思えるようになりました。

色々な家族を見るなかで、もう少しおおらかでいてもいいのかもって。

家族留学について詳しくはこちらから

BuzzFeed Japanは10月11日の国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)にちなんで、2018年10月1日から12日まで、ジェンダーについて考え、自分らしく生きる人を応援する記事を集中的に発信します。「男らしさ」や「女らしさ」を超えて、誰もがなりたい自分をめざせるように、勇気づけるコンテンツを届けます。


Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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