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東京都「新型コロナで住まいを失った人の支援に12億円」。ネットカフェで暮らす人々も対象に

都知事は「都市封鎖」(ロックダウン)ではないことを強調。補正予算223億円を編成し、医療体制の拡充や住まいを失った人への支援を行う。

政府が4月7日にも緊急事態宣言を発令する見通しを受け、小池百合子東京都知事は4月6日夜に記者会見した。

感染拡大を防ぐため、東京都はどんな対策を新たに取るのか。小池知事は「都市封鎖」(ロックダウン)ではないことを強調したうえで、補正予算223億円で行う医療体制の拡充や住まいを失った人への支援策を示した。

「都市封鎖はしない」

東京都は政府が緊急事態宣言を発令した場合、その方針に則り緊急事態措置を取るとしている。

この措置で行われるのは、都民への「徹底した外出自粛の要請」と、事業者への「施設使用・イベントの制限等の要請」だ。

「都民の命、健康を守る。もちろん、これが最大の目的でございます。経済へのダメージ最小となるように。強くお願いをするもの」。小池知事は感染拡大を防止するための協力を呼びかけた。

またニューヨークなどでは強制的な都市封鎖、いわゆるロックダウンが行われているが、東京都では「都市封鎖という形ではない」と明言した。あくまで人と人との接触をできる限り避けるための対策だと説明した。

「今回の法律は、みなさんを守るため、家族を守るため、大切な人を守るため、この社会を守るためのものです」

「食料品など生活必需品の購入、病院への移動、制限はしません。買いだめ、厳に慎んでいただきたい。ご心配ありません」

また交通機関なども運休しないという。一方で、東京から他の道府県へ帰省などで移動することを避けるようにも求めた。

小池知事はあわせて、テレワークの活用などで可能な限り在宅勤務とし、通勤を最小限にするように呼びかけた。

休業要請の業種、7日にも発表か

東京都は①基本的に休業を要請する施設、②施設の種別によって休業を要請する施設、③社会生活を維持する上で必要な施設の3区分を行い、都内の事業者に休業要請などを行う方針だ。

(1)基本的に休業を要請する施設
娯楽施設、遊戯施設、一部商業施設等

(2)施設の種別によって休業を要請する施設
文教施設、社会福祉施設等

(3)社会生活を維持する上で必要な施設
医療施設、食料品、飲食店、交通、金融機関等

なお具体的な対象業種について都は政府と調整中だという。具体的な対象業種の説明時期について、小池知事は「7日にも(政府の緊急事態)宣言が出される。それに合わせて出せるよう協議していく」としている。

今回の特措法に基づく要請や指示などについて都民、事業者の疑問や不安に対応するため東京都は「緊急事態措置相談センター」(TEL:03-5388-0567)を設置した。

4月7日から、土日祝日含む毎日午前9時〜午後7時まで相談を受け付ける。

補正予算223億円、その使い道は?

東京都は補正予算を組んで、医療提供体制の緊急整備や学校の臨時休業への対応など6つの支援策に総額223億円を投じると発表した。

具体的な支援策は以下の通りだ。

(1)外来診療体制の強化(8億円)
・新型コロナ外来の受入体制の強化に必要となる医師・看護師の確保に向け、人件費を補助。

(2)民間検査機関等を活用したPCR検査体制の充実(8億円)
・民間検査機関に対し、PCR検査機器の導入費用を支援。
・保険適用によりPCR検査等を実施した場合に生じる自己負担分を負担。

(3)新型コロナウイルス感染症患者受入体制の拡充(118億円)
・入院治療が必要な患者の受入に向け、医療機関に対し空床確保料を補助し、必要病床数4000床(重症患者用700床・中等症患者用3300床)を確保。
・都内医療機関に入院中の新型コロナウイルス感染症患者(無症状、軽症)1000人を受け入れるため、ホテルなどの施設を都が確保。

(4)重症患者に対応に対応した医療体制の充実(73億円)
・集中治療室等での医師・看護師等の確保を支援。
・重篤患者等に適切な医療を提供できるよう体外式膜型人工肺(ECMO)等の購入費や設置工事費などを支援。

(5)学校臨時休業への対応(13億円)
・午前中から開所する学童クラブに対して、都独自に支援し、区市町村の負担をゼロに。
・特別支援学校等の臨時休校に伴う放課後等デイサービスの利用増に対応。

(6)失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供(12億円)
・新型コロナウイルスの影響による失業等に伴い住居を失った方に一時住宅等を提供

住まいを失った人への支援に12億円

これまで路上生活者の支援などを行ってきたホームレス総合相談ネットワーク、ビッグイシュー日本など5団体は4月3日、東京都福祉健康局に対し民十分な支援体制の整備と資金投下を要望していた

小池知事は「今回ウイルスの影響で失業される方が多数出ておられる。住む場所も失ってしまう。そういった方々に一時住宅等を提供する」と語り、失業などで住まいを失った人への支援に、12億円を計上したと表明した。

現在、東京都では約4000人の人々がネットカフェで寝泊まりしているといわれている。事業者への「施設使用・イベントの制限等の要請」の中で、ネットカフェが対象業種に含まれ休業した場合、4000人が行き場を失う恐れがある。

今回の住まいを失った人への支援の対象には、そうしたネットカフェで生活する人々も含まれるのかという質問に対しては、「まさしくご質問にまりましたようなところで、実は寝泊まりもされておられるという方々。こういった方々が仮の住まい、滞在できる場所を確保することを念頭に置いたものでございます」と回答した。

路上生活者の支援団体は、ホームレス状態の人が公的支援を受ける場合、その多くが相部屋の施設に入所することが常態化しているとし、すでにホームレス状態にある人々に対しても緊急的にホテルや公共施設での滞在を可能にするよう求めていた。

今回の一時住宅提供の対象に現在生活保護を受けている人など、新型コロナウイルスの影響を受ける以前に失業していた人などは含まれるのだろうか。

東京都福祉健康局の内藤淳局長は「無料低額宿泊所の衛生環境については確認しなくてはいけないところがあると思います」としたうえで、「今回のことはあくまで、コロナウイルスの関係でお住まいを失った方への措置です。そこに何らか区別をつけることはできないのかなと思っております」と回答。

「既存の生活保護の仕組みと併せまして、対応していければと考えております」とした。