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感染者数が高止まりなのに、なぜ東京も解除?4回目の緊急事態宣言の可能性は?尾身会長の見解は…

東京の緊急事態宣言を解除すべきかどうか…真剣な議論が続いたと明かす尾身会長。なぜ、このタイミングでの解除に踏み切ったのか?

政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長と西村康稔・新型コロナ担当相は17日夜、記者会見を開き現在の感染状況や今後必要となる対策を説明した。

西村大臣は「(ワクチンの)1回目をうったから安心だということではない」と強調し、接種を終えても引き続き感染対策を続けるよう呼びかけた。

尾身会長は「単に頼む、要請するということではなくて、国が具体的な方針を決めて実行する」「対処方針に書いただけでは問題は解決しないので実行していただく必要がある」と国にさらなる対策を講じることを求めた。

「1回目をうったから安心だということではない」

西村大臣は会見で渋谷と銀座の人の流れのデータを発表し、渋谷では6月に入り10代の人出が、銀座では60代・70代の人出が増加しているとした。

10代の人出が増加していることに関して、西村大臣は広島県や静岡県で大学生が複数回外食や「宅飲み」を共にする中で感染が拡大した事例があると説明。

「若い方々、自粛が長引く中で自粛疲れがあると思いますし、新学期で新しい友達や部活など色々あると思いますけど、なんとかワクチン接種を加速していきますので、今が我慢のしどころ」とコメントした。

渋谷で10代の人出が増加していることについては、今後調査をしていきたいとしている。

また、銀座で高齢者の人出が増えていることについては、「これはひょっとするとワクチンうった方が安心して外出されているのかもしれない」とした上で「ワクチンの効果は2回の接種で高い効果が出る。効果が出るまで2週間、しかも100%ではない」「1回目をうったから安心だということではない」と強調した。

イギリスのデータではワクチンを2回接種することで、イギリス由来の変異ウイルス「アルファ型」の発症を93%、インド由来の変異ウイルス「デルタ型」の発症を88%防ぐことがわかっている。

ワクチンは高い有効性を発揮するが、分科会は国民の多くがワクチン接種を終えるまでは引き続きマスクの着用など感染対策が必要であるとしている。

東京はなぜ解除?専門家が示した3つの条件

尾身会長は「実は、東京の解除については、かなり真剣な議論がありまして、一部には(現段階では)解除しない方がいいんじゃないかという意見も複数ありました」と明かす。

ワクチン接種の加速という感染拡大を抑制する要因もある一方、感染者が高止まりをしていることや人流が増加していることなど感染拡大を後押しする要因も少なくないためだ。

「解除してもすぐに、またリバウンドしてしまうのではないか。もうしばらく解除しないほうがよいという意見もありました。最終的には、東京も(解除する)と合意。そこには3つの条件を付けさせていただきました」

政府に対し、分科会側が求めた条件は次の3つだ。

(1)単に頼む、要請するということではなく、国が具体的な方針を決めて実行する。

(2)いざリバウンドが起きそうだとなったら、早めに強い対策をうつ。

(3)これから国はどのように今の時期を乗り越えるのか、大きな考え方と具体的な道筋を示す。

「もうこれからは、単に要請して、ステイホームをお願いしても聞いてくれない。聞きにくくなっているのは明らか」

「もうしばらくは一般の人々の協力が必要ですよね。でも、言葉だけではダメなんだと」

尾身会長は繰り返しこのように述べ、ワクチン接種の加速や感染リスクの高い人々への戦略的な接種など、基本的対処方針に盛り込まれた対策をなるべく早く実行に移すことを求めている。

「一度解除して、リセットして息継ぎを」

こうした分科会からの提言を受け、西村大臣は「必要となれば、緊急事態措置、機動的に対応しないといけない」と述べ、感染拡大の兆候が見えた際には再びの緊急事態宣言も辞さない構えを見せた。

尾身会長はこれまで、緊急事態宣言の解除は感染状況がステージ3となり、ステージ2へと下降傾向になることが条件であるとしていた。

しかし、今回感染者数が高止まりの中で解除することを了承している。なぜか?

「ステージ2の方向に行くと言う意味では、感染状況もそうですけど、解除の場合は医療の状況をより重視しています。感染のレベルは下げ止まりなんだけど、医療の状況は改善していることが大きかった」

「これは比喩ですが、息をとめてくださいといっても、かなり長い間、緊急事態宣言出している。これ以上出したとしても、一般の人々は限界まで来ています。人の気持ちの部分もある。一度解除して、リセットして息継ぎをしてもらう」

「その間に国の方では、さっきの3つの条件を(やってもらう)。いままでは人々が苦労しましたよね、1回、息をする必要があるんじゃないか、そうじゃないとダラダラと続けることになる。そういうことをしないと、このまま息がきれちゃう。ですから、今回は(解除に)合意しました」