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Updated on 2020年9月24日. Posted on 2020年8月24日

重症者はなぜ少ない?2類感染症から外すことはあり得るか… 新型コロナ分科会の専門家が会見で語ったこと

イベントの開催制限、偏見・差別に関するワーキンググループや在留資格を持つ人の再入国について、そして感染法上の措置について議論を行った新型コロナ分科会。感染症法上の扱いについて、メリット・デメリットの整理を始める意向を示した。

新型コロナウイルス感染症対策専門家分科会は8月24日、第7回目となる会合を開き、イベントの開催制限、偏見・差別に関するワーキンググループや在留資格を持つ人の再入国について、そして感染法上の措置の運営等について議論を行った。

新型コロナウイルスを2類感染症から外すよう求める声などが一部で上がる中、「感染症法上、どのような措置の運用を行うか議論が必要」との点についてコンセンサスが得られたと尾身茂会長は会見でコメント。

The PAGE

「2類(感染症)から外す、外さないか、そういう議論ではなくて、今の現場で何が不都合なのか、何が許容できるのか、そうしたことを分析することが必要です」との認識を示した。

感染症は1類感染症から5類感染症、指定感染症、新感染症、新型インフルエンザ等感染症に分類される

現在、新型コロナウイルスは厳密には指定感染症というカテゴリーに分類されている。しかし、未知の感染症であり、その特徴がわかっていないことから、報告と公表については、1類感染症と同じ取り扱いとなっている。

この取り扱いが適切か疑問の声が上がる中で分科会も検討を始めた。

重症者、なぜ少ない?データで見えたある違い

The PAGE

脇田隆字所長

会見の冒頭、国立感染症研究所の脇田隆字所長は現在の感染状況について説明を行った。

(1)全国の発症日ベースの流行曲線(エピカーブ)からは7月27日〜29日以降、緩やかな下降が見られる

(2)一部の地域では、新規感染者数が緩やかに減少を始めていると考えられる。しかし、その傾向が今後も続くかははっきりしない地域もある。

(3)感染経路不明の割合は高水準で推移している。お盆期間中の人の移動もあるため、感染拡大が再発するリスクは常にある。

(4)引き続き「3密」や大声を上げる環境の回避、室内でのマスクの着用、フィジカル・ディスタンスの徹底、換気の徹底など基本的感染予防対策の実施や院内・高齢者施設における施設内感染対策、クラスターが起きた場合の早期対応などを継続すべき。

この4点がその要旨だ。

合わせて、現在までに重症者数の増加が緩やかであることの背景については、以下のようにコメントしている。

「早期診断されて発症から入院までの期間が短縮されたこと、治療の標準化で一定の効果を上げている可能性が考えられます」

その可能性を裏付けるように、過去のデータでは挿管したケースや死亡したケースの場合、既に入院時に重症化していたケースが多いと脇田所長は指摘する。

「医療センター(国立国際医療研究センター)のレジストリー(登録情報)のデータを見ますと、入院した方がどういう経過で重症化するのかがわかります。6月5日までのデータを見る限り入院後、挿管される、死亡する場合というのは入院時に重症化している症例です」

The PAGE

また、第1波の死亡者の多くは高齢者だ。しかし、そうした高齢者の感染が抑えられている側面もデータで明らかとなった。

鍵を握るのは施設内での感染だ。

これまでの感染者数と院内や高齢者施設などでの施設内感染の発生数を照らし合わせたグラフを示し、第1波では顕著だった施設内感染が現在は「ある程度数が抑えられている」と脇田所長は指摘する。

これが重症者が現在まで少ない背景に存在するのではないか、それが専門家分科会の見解だ。しかし、重症者数はピークを超えた後に増加することが第1波の際に確認されている。

引き続き注意が必要であるということに変わりはない。

イベント等の緩和、AIシミュレーションも踏まえて検討

時事通信

イベントの開催規模について西村康稔・経済再生担当相は分科会での議論を踏まえ、9月末まで現在の5000人以下、収容人数の50%以下という制限を継続することを発表した。

今後の見通しについては、「収束傾向が見られた場合でも、直ちに人数を無制限に緩和するのかどうか、よりきめ細かな対応必要か状況を見て検討すべき」との提言が専門家からあったとした。

劇場などからは「2分の1の収容制限は厳しすぎる」「それでは採算が取れない」と指摘が寄せられていると西村大臣は明かし、こうした点についてスーパーコンピューター・富嶽を用いたシミュレーションでは「マスクを着用して、大きな声を出さないのであれば、(制限を)緩和できるのではないか」というデータが出されていることも踏まえ、検討を進めたいとしている。

歓楽街では信頼関係のもと、早期介入を

The PAGE

今回の専門家分科会では大都市の歓楽街がある地域でどうすれば迅速に感染拡大防止が可能となるのか、という点についての提言も行われている。

「緊急事態宣言解除後の感染拡大、色々な理由があったと思いますけれども、最も大きな原因は東京の接待を伴う飲食店から都内、そして各地へ感染拡大をしたことであることが分析の結果わかっています」

「仮に、今、感染が下方に向かったとしても、また、いずれは同じような場所、接待を伴う飲食店から再燃する可能性が十分に考えられるので、提言がなされたわけです」

このように提言の背景を説明する。

「感染が確認された際に、拡大させないための早期介入が重要」であるとし、分科会は現場で対応を行う保健所を十分に支援するために政府のリーダーシップのもとタスクフォース的なものを作り、自治体と連携することが必要であるとの方針を打ち出した。

この連携して行う取り組みの中には、業界・地域関係者、従業員や利用客が迅速に検査を受けられる体制の整備や入院などの一連の陽性者へのフォローアップ体制の整備などが含まれている。

The PAGE

こうした点について「民間の助けを得たり、手続きを簡素化するなど、柔軟な体制が必要なのではないか」と尾身会長はコメントした。

「信頼関係を最大限に構築、維持しつつ、実態に即した感染対策を行う。接触アプリを活用する、あるいは下水にどれだけウイルスがいるかをサーベイランスするなど、流動的な仕組みが歓楽街で効果があった場合には、こうした場合に限らず、全国で同様の(感染)リスクが出た場合に同様の仕組みを考えることはどうかという提言が、満場一致で採択されました」

西村大臣は「東京都、新宿区と連携して、歌舞伎町対応に取り組んできたところ」と語り、その経験を踏まえ、「政府としてどのように対応するか検討を進めていきたい」としている。

尾身会長、そして西村大臣の両者が会見で繰り返し強調したのは信頼関係を築きながら、対策を行うことの重要性だ。新宿区でのケースを1つのモデルに、歓楽街の事業者と信頼関係を結びながら行政が対策を進めていく重要性が強調された。

感染症法上の扱い、メリット・デメリットの整理を開始

厚生労働省

合わせて、今回の分科会では新型コロナの感染症法上の取り扱いについても、議論がなされた。

現在は軽症者、無症状者の場合でも感染者となった場合には感染者の綿密なフォローアップを行うなど、行政が様々な対応を行う必要がある。しかし、そうした対応が実態に即しているのか、疑問の声も上がっている。

「全く未知だった本感染症について、いろんなエビデンスが蓄積されてきて、効果的な対策行動が明らかになりつつあります。ウイルス、感染症としての疫学的理解も進み、地域によって大きく疫学情報が異なってきていることもわかってきています」

「感染症法上の措置の運用については、新型コロナウイルス感染症発症当時から現状までの変化から、現場のメリット、デメリットを十分整理する必要があるのはないかという結論に至りました」

尾身会長は感染症法上の取り扱いについて、このように言及し、今後議論が進められていくとした。

その議論の中核を担うのは、厚生労働省に設置されている専門家によるアドバイザリーボードだ。分科会はこのアドバイザリーボードでの結果を踏まえ、最終的な結論を提示する。

「今日の分科会でのコンセンサスは、このコロナ感染症が感染症法上、どういう風な措置の運用を行うか議論が必要だということです。何も、2類(感染症)から外す、外さないか、そういう議論ではなくて。今の現場で何が不都合なのか、何が許容できるのか。そうしたことをしっかりと分析することが必要です」

「色々な人がこの問題の『(ある)部分』をとって議論している。最終的な対応策を明確にするためには、『部分』ではなく、一体、『全体』がどうなっているのか、しっかりした分析がないと合理的答えを見つけるのは難しい」

「浅い議論だけで、じゃあ(2類感染症から)外そうとなると、色々な不都合が出てくる可能性があり得ると思うので、ポイントは、しっかりと何が課題で、何が不都合で、何が許容されるのか、知恵を絞って全体像をトータルで分析する。そうすると、ある程度、合理的な解は見つかるんじゃないかというのが、個人的な考えです」

Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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