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Updated on 2020年9月24日. Posted on 2020年8月7日

「私たちが戦わなければならないのは病気であって人間ではありません」新型コロナ分科会、鳥取県・平井知事が語った危機感

尾身茂分科会長と共に会見に出席した鳥取県の平井伸治知事は、対策の裏にある現場の葛藤と現在の状況に対する危機感を語った。

8月7日、新型コロナウイルス感染症専門家の分科会後の会見では現時点で早急に取り組むべき対策と感染拡大を察知するための6つの指標が発表された。

尾身茂分科会長と共に、会見に出席したのが分科会メンバーでもある鳥取県の平井伸治知事だ。

平井知事は今回新たに加えられた早急に取り組むべき対策の裏にある現場の葛藤を訴えると同時に、現在の状況に対する危機感をあらわにした。

制度や財源なしに、「徒手空拳では戦えない」

時事通信

平井伸治知事(写真は2月26日)

「今、局面は変わったと私たち現場は思っています。昨日は1485名の方の陽性が発見されました。そして、今日、東京都において462人の陽性の方が見つかりました。昨日は大阪や神奈川で、それぞれ記録的に多い数になっていますし、また無視できないのは大体連日のように40都道府県ぐらいで新規陽性者が出てきている」

「これは3、4月頃と比べて数字的にも、広がりという意味でも実は大きいのではないか。これが私たち現場を預かる者の感覚です。だからこそ、危機感を持って、これから国と一緒にやっていかなくてはならない」

平井知事はこのように現状を捉えている。

各都道府県に機動的に取り組んでいただきたい、という分科会の取りまとめについて、平井知事は「意気に燃えていますし、受けて立つ覚悟であります」と語った。そのためには国による支援が欠かすことができないと強調する。

「ただ、その際に我々として申し上げたいことがいくつかありまして、1つは徒手空拳では戦えないということです。確かに、休業要請や自粛、また、患者の皆さんに入院していただく等、協力を得る等色々とやらなくてはならないことがありますが、残念ながら、実効性を欠くことは現場では難しい」

「これは、法的措置はじめ制度的な保障がなければなりません。また、休業補償が典型的ですけれども、こういう協力金などを考えるとしても、やはり財政的な裏付けがなければいけない。財政的裏付けがなければ、財政の豊かなところは対策ができても、そうでないところは感染症が拡大してしまうということになります。国全体の問題にも直結するわけであり、こういう手段、制度の問題と財源、財政の問題についてぜひ政府にお考えいただきたい。強く、今日も申し上げたところです」

「現場が非常に追い込まれた状況にあることをご理解いただきまして、迅速な対応をお願い申し上げたい」

こうした要望もあり、分科会は「制度的仕組みや効率的な財源の活用の検討」という項目を早急に取り組むべき対策の中に加えている。

「私たちが戦わなければならないのは病気であって人間ではありません」

Yuto Chiba / BuzzFeed

また、合わせて新たに早急に取り組むべき対策の中に加えられたのが、「人権への配慮、社会課題への対応等」という項目だ。

この裏には、感染者が確認される中で各都道府県知事が抱える苦悩がある。

「現場で今、困っているのは人権の問題です。私たちが戦わなければならないのは、ウイルス、病気であって人間ではありません。しかし、メディアの報道などもあり、様々な恐怖心、不安感が国民の間で強まっているのも事実です。それを反映するかのように、患者の素性を詮索するとか、心ない言葉がネットなどで踊るとか、これが社会復帰や平穏な暮らしにマイナスになっています」

「私たちは命も健康も守らなければなりませんし、穏やかな暮らしも守らなければなりません」

「これがなければ、患者さんをはじめとして関係者の皆さんのご協力を得られなくなってしまう。得られなくなってしまうと、感染拡大防止のための対策を取れなくなってしまう。例えば、どこにお立ち寄りになったかを教えていただかなければ、次の感染につながってしまうわけです」

帰省など、「よく考えていただく必要がある」

時事通信

意見交換を行う全国知事会の飯泉嘉門会長ら

平井知事は感染者の発症日別のデータを見る中で、「7月の末頃に1つの山が地方部でも起こってきている」と説明。

「エピカーブ(発症日を基準とした流行曲線)を見ると、例えば長崎や佐賀、実は私共、鳥取県もそうなのですが、目立った山があります。これは、海の日の連休に人が動いたからです。その証拠でもあると思うんですね」

都道府県による知事会の対策本部が8月8日開催される。対策本部で検討を進めているのはお盆休みに向けての呼びかけだ。

「正直申し上げて、それぞれの都道府県で色々と言い方が異なる点がありますが、私は共通項はあるんだろうと思っています。それは、感染を拡大させないということです」

「7月末にエピカーブとして山が来てしまったのは、おそらく海の日の連休によるものだろう。つまり、これはGo To トラベルだけでなくて他の要因もいっぱい入っていると我々も思っています。そういう色々な要因があるのは移動が起きてしまったからで、不用意に移動されると非常に危ない」

「だから、例えば我々の県もそうですが、学校の同窓会をやるとか、そういうものは控えていただきたい。そうしないと、色々な地方からやってきた人たちが、そこで感染を拡大させてしまうかもしれない」

時事通信

段ボールを間仕切りにして仕事をする鳥取県庁の職員

平井知事は「移動しないでくださいと一律に言う地方はあまりない」との認識を示した上で、「よく考えていただく必要があるだろう」と語る。

「尾身会長の方で取りまとめいただいたように、感染拡大させない手当てができないのであれば、この際、(移動は)控えていただくということなのかなと思います」

「私たち、故郷を守る者からすれば、こういうような色々な事情を配慮して、旅を控えられた方々には感謝申し上げたい。もし来られる方々については、色々と制約がある中、しっかりと感染拡大防止に協力していただければ感謝申し上げたい。そのような形でこの夏を乗り切っていくことが、感染拡大を広げない道筋になると思っています」

Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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