新型コロナウイルス感染症対策専門家分科会は27回目(令和3年度2回目)となる会合を開き、提言をまとめた。
関西や首都圏での感染が再び拡大する中で分科会は、リバウンド防止のための指標の考え方をとりまとめると同時に現状分析をした。
尾身茂会長は全国の感染状況は「二極化している」と語っている。
東京も大阪のように…

大阪の感染状況について、尾身会長は「感染者数が増え、医療がすでに逼迫している。感染者数の増加は当分続くし、重症者数はすでに増えており、かなり深刻な負荷が(医療機関に)かかっている」とコメントした。
なお、データによると「まん延防止等重点措置」を出した後、大阪の歓楽街における人の流れは減少しており、「新規感染者数が減るということもあり得る」と分析。
一方で、同様に東京の歓楽街の人の流れを分析したデータでは、「重点措置」後に大きな変化は見られていないとした。
尾身会長は「(東京の歓楽街における人の流れの)下がり具合が弱い」と語り、「東京も大阪のように早晩なる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
避けてほしいのは「ワイワイガヤガヤ」した場所

「日本全国すべてで感染が拡大しているわけではない。いわば、二極化している」「第4波が起きているところと、そうでないところがある」というのが尾身会長の現状に対する評価だ。
この感染拡大はなぜ起きているのだろうか?以下が分科会の考える5つの原因だ。
(1)広範囲に感染源が存在し、多様な場所での感染が起こりやすくなっている
(2)多くの人が感染拡大防止に協力してくれているが、一部の人の感染対策がいまだ不十分
(3)人々のコロナ疲れにより、元の生活に戻りたいという雰囲気が醸成されており、実際、人の流れが元に戻りつつある
(4)変異株の影響も見られる
(5)今回のまん延防止等重点措置は新しい試みだったため、専門家も含め、適用について不慣れだった
こうした点を踏まえ、尾身会長は飲食店に対する時短営業の要請を続けた上で、「混雑した場所と時間を徹底的に避ける」ことを求めた。
「俗な言葉で言えば、ワイワイガヤガヤ。そういう混雑したところは、飲食の場に加えて(感染対策をする上で)非常に重要になっている」
「我々は皆さんに、何が何でも1日中家にいてほしいとは求めていない。心の健康や体の健康のために散歩をする、エッセンシャルな仕事のために外へ出る、病院へ行くといったことはしながら、混雑する場所だけは避けていただきたいです」
また、重点措置が適用されている地域では「感染対策をお願いします」というメッセージを発するだけでは不十分であると指摘。
その上で、次のように述べた。
「国や自治体の具体的なアクション、言葉でなくて具体的なアクションが重要です。今は重要な局面ですから、今まで以上に汗をかいてもらう」
「飲食店の見回りをしたからといって、すぐに効果が出るわけではないでしょう。普段の仕事も大変だと思います。でも、どうにかやりくりして、外部の協力も得て、具体的なアクションをお願いしたい」
休校「いずれは考える時期が来ることも」
関西を中心に感染拡大が進むイギリス由来の「N501Y」変異ウイルス。
この変異ウイルスについては、感染力が従来のウイルスの1.32倍と報告されているほか、臨床現場では重症化しやすい傾向にあるという声も上がっている。
また、これまであまり感染しないと考えられていた子どもも他の世代と同程度感染すると考えられている。
こうしたデータに基づき、大阪府の吉村洋文知事は4月14日、「重点措置」期間中の小中学校のクラブ活動休止を決定している。
尾身会長は「(変異ウイルスは)たしかに子どもにも比較的感染がしやすいという議論がある」「簡単にやるべきではないが、学校の閉鎖について可能性としては、いずれは考える時期が来ることもあり得る」とコメント。
「現状は、学校の授業をやめてということはない」とした上で、クラブ活動や部活動に関しては感染に注意が必要との認識を示した。
また「高校生までと大学生は違う」と語り、改めて今の時期はなるべくオンラインで授業を行うこと、サークル活動やお酒を飲む場に注意が必要であるとしている。
「変異株は若い人たちにも感染しやすい。同時に重症化もしますし、後遺症も問題となっている。そのため若い人にも気をつけていただきたいです」