第17回目となる会合を開き、さらなる対策の強化を訴えた新型コロナウイルス感染症対策専門家分科会。
感染拡大地域では医療提供体制が逼迫しつつあり、「このままの状態が続けば、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねない」と分科会は警鐘を鳴らしている。
最前線の現場で治療に当たる医師はどのように現状を見ているのか。
分科会後の会見で、都立駒込病院の感染症科部長を務める今村顕史医師が現状の厳しさを語った。以下が、そのメッセージ全文だ。
重症者が早く出ている
医療の方は、ここまでのところ過去の経験をもとにかなり準備を進めてきています。
地域ごとに頑張り続けている状況。その中で、当初はなかった宿泊療養が使えるようになったり、あるいは医療の治療も進歩してきたりとか。できる限りのことをやってきたんです。病床も開けられる準備をしたりとか。
今が第3波かどうかは別として、最初の山、2番目の山とある時に、2番目の山は割とゆったり上がってきて、若い人が多かった。
ところが、今は2番目の山の中で、ズルズルと長く抑えきれないところで(感染拡大が)進んでいく中で年齢層が全体的に上がっています。
今回は重症者の出るタイミングが、重ねて見ればわかると思いますが、かなり早いです。
その状況で、どんどん広まり始めている。このスピードですね。
大都市は経験があり、医療機関が多いぶん支えられますが、これが地方になると医療基盤が弱くなってしまいますから、はるかに少ない(感染者の)人数でもダメージが大きく出てしまいます。
そういうところを気をつけなくちゃいけない。
このまま続くと起きる破綻、影響は最初に一般医療へ
宿泊療養が増えたというところで、皆さん安心するかもしれないんですが…宿泊療養へどんどん流すということは、医療機関の患者さんはむしろ重めな人が集まってくる形になります。
そうすると、一人ひとりにかかる医療のスタッフの負担というのは以前よりも大きいんですね。
本当に必要な(医療従事者の)人数というのは、病床の数の問題だけではありません。自立して、熱もほとんどないような軽い人だけであれば、宿泊療養と同じような形なので、数少ないスタッフでたくさんの人を診ることが可能です。
ところが、少し重くなってくると、(必要な)人数が多くなります。人工呼吸器をつける場合、かなり多くのスタッフが何回も、短い時間で切り替わっていかないと、極端に言えば医療を続けることができません。
ということで、既に負担が大きいところからスタートしている。
このまま大きくなってしまうと、色々なところで破綻が起きてしまう。
破綻が起こってくると、どこへ影響が出るかと言うと、一般医療にまず影響が出てきます。
皆さん、医療崩壊と言うと、最初の海外の映像を思い出すと思うんですけど、決してそういうものじゃなくて。日常の診療というのは、いっぱいいっぱいの人員でやっているんですね。
そこに、コロナのための人員を割きにいくということは、自ずと他のところから人員を持っていかなくちゃいけないんですね。持っていけば、持っていくほど一般の医療のレベルが落ちていきます。
最終的には皆さんの、一人ひとりの健康へつながっていくということになります。それが伝えたいことです。