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感染拡大でも続く政治家の会食、食い違うメッセージ… 尾身会長がリーダーに願うこと

「一般の人々がどういう思いで、この大変な何ヶ月をくぐり抜けてきたのか。少しでも想像してもらえれば、分かるはずだと思うんです。政治家が大人数で会食をしていることを聞いてしまうと、多くの人はちょっとがっかりしますよね」

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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府の分科会は、感染拡大地域での忘年会や新年会の見送りを呼びかけている。

そんな中で、複数の政治家が大人数で会食していたことが明らかとなっている。

こうした政治家の言動に新型コロナ分科会長を務める尾身茂さんは、何を思うのか。そして政治家はどういうメッセージを出すべきか。

BuzzFeed Newsは年末年始の休暇を控えた12月28日、尾身さんに単独インタビューをした。上下連載でお伝えする。

連載上:なぜ、医療崩壊は全ての人にとって「他人事」ではないのか? 尾身茂会長が避けたいと願う「最悪のシナリオ」

「ここまでくると協力ベースだけでは難しい」

Kota Hatachi / BuzzFeed

ーー飲食の場面に注意が必要であるとし、首都圏など感染拡大地域では忘年会や新年会を見送るよう提言しています。しかし、飲食店など事業者への経済的支援は十分だと言えるのでしょうか。政府の対応は後手後手に回っているようにも見えますが、どう見ていますか。

コロナ疲れと言えばいいのか、コロナ慣れと言えばいいのか、皆さん辟易としていますよね。以前に比べれば、協力が得られにくくなっていることは事実です。

そうした現実は、我々も、そして国も認めなくてはいけません。現実を直視しないままに、理想論で何かを言ってもダメですから。

事業者への経済的支援については、すでに国が取り組んでいるのも事実です。けれども、不十分であると感じている事業者も多くいると聞いています。

ここまでくると、協力ベースだけでは難しいという現実があります。

いくらお願いをしたところで、事業者はその事業を守らなくてはいけない。死活問題ですよ。ですから、感染防止対策に貢献したい気持ちがあっても、それだけをやれば明日から生活できなくなってしまう。

そのリアリティも、認めなくてはいけません。

国や自治体へお願いしたいこと

時事通信

12月25日、記者会見に臨む菅義偉首相

一方で、政府や自治体が一体感を持ったメッセージを出すことができていないという問題もあると思います。

人々にとっては、リーダーが何を言うのかということは非常に重要ですよね。8割もしくは9割は同じことを言っていたとしても、残り1割の部分で食い違うことを言っているとなると、受け取る側はその点が気になってしまう。

そうした部分にマスコミも関心を示すことが多い傾向があるかもしれません。

一部分でも食い違うメッセージを発信していると、国民のことをしっかりと考えているのか、我々も真剣にならなくても良いのではないかというイメージが広がってしまいます。

そうした傾向を防ぐ必要があります。我々が何回も自治体や政府に強いリーダーシップを発揮してくれるよう求めているのは、そのためです。

特措法はまだ改正されていませんが、「法改正をする意気込みで取り組むから、我々も汗をかいて、できる限りのことをやるから、どうか皆さん」と事業者へ強くメッセージを打ち出せば、また状況は変わってくるかもしれない。

ですから我々は、国や自治体のリーダーにお願いをしているのです。

国民のためのリーダー、都民・道民・県民・府民のためのリーダーですよね。

国民にこれだけ、努力をお願いするのなら…お互い立場の違いや意見の違いなどもあると思いますが、色々なことを乗り越えて、さらなるリーダーシップを発揮して欲しい。それが私の考えです。

そうしたリーダーシップを発揮してもらわなければ、一般市民の努力だけでどうにかすることは難しい。市民ひとりひとりが感染対策へ協力しやすくなるために、国や都道府県は環境づくりに取り組むべきです。

「もう少し選ばれた人の自覚というものが必要」

時事通信

菅義偉首相らと8人程度の会食をしたことについて、「別に8人で会っただけで、会食という、そんなことを特にやったわけではない」と語った自民党の二階俊博幹事長

ーー政治家がこのような状況でも宴会や会食を開いていることに批判が集まっています。専門家からの提言と食い違うこうした政治家の振る舞いに何を思いますか。

これは私の個人的な意見ですが、政治家は国民から選ばれた人々ですよね。選ばれた上で給料をもらっているわけです。

コロナで給料が下がったということもありませんし…一般の市民とは状況も違います。

一般の人々がどういう思いで、この大変な何ヶ月をくぐり抜けてきたのか。少しでも想像してもらえれば、分かるはずだと思うんです。

政治家が大人数で会食をしていることを聞いてしまうと、多くの人はちょっとがっかりしますよね。

やはり、もう少し選ばれた人の自覚というものが必要ではないでしょうか。

緊急事態宣言を出した4月よりも強い危機感。でも…

ーー必要なのは広範囲の社会経済活動を止める緊急事態宣言ではないと、これまで繰り返し発信しています。やはり緊急事態宣言は避けたい、ということなのでしょうか。

私自身は、緊急事態宣言を出すかどうかは別として、緊急事態宣言を出した4月当時と比べより強い危機感を持っています。

危機感を抱くことと、政府が緊急事態宣言を出すということは、意味が違います。むしろ、今はもっと実態に即して、急所を押さえた対策をとるべきです。

現在のような状況で緊急事態宣言を出すだけでは…

時事通信

私も危機感は強いです。でも、もっと実態に即した、集中的な対応が必要だと思います。

何がいま問題で、どこを変えればいいかということが分かってきたのだから、そこに集中するということが大事です。

法律の問題や経済的支援の話もありますよね。そこへ取り組まずに、ただ緊急事態宣言を出すだけでは難しい。

今、何が問題となっていて、何をすべきなのか。分析をした上でどのような強力な対策を行うのか、また都道府県単位なのか、より広域な地域で考えるのかなど、検討が必要です。

特措法など法律を改正する動きがありますが、まずはあるべき姿を考えなければいけません。

その中で、法律はどうすべきなのか、という順序で考えるべきでしょう。法律ありき、というよりは、リアリティが先ですから。

Kota Hatachi / BuzzFeed

ーーこの1年、尾身先生はほとんどコロナ対応に追われていたと思います。ゆっくりされる時間はあったのでしょうか?

眠るようにはしています。睡眠は毎日5時間は寝ていますが、休みはないですね。

仕方ないとは思いますが、休みはこの1月、2月くらいからほとんどなかったかな。家にいても何かしらの会議が入るので……。

剣道も趣味ですが、まったくできていません。早く感染が鎮静化し、道場に戻りたいと思っています。


菅義偉首相は12月25日の記者会見で、1月に始まる国会で、給付金と罰則をセットにして飲食店の時短要請を行うといった方向での特措法改正を、分科会など専門家の意見を踏まえたうえで進める考えを示した。首相は成立の時期を「できるだけ早く」としている。

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