千葉の被災者がいま、一番求めているもの

    災害ボランティアセンターに寄せられるニーズの25%はブルーシートを張ってほしいという要望。しかし、張り方次第ではすぐに剥がれてしまう場合も…現地では熟練のボランティアが活躍している。

    台風15号により家屋の倒壊や停電が長期化している千葉県南部。被災地では屋根などが損壊した家屋が目立つ。

    現場で特に不足しているのが、ブルーシートを張ることのできるボランティアだ。

    Yuto Chiba / BuzzFeed

    被災から10日が経った9月19日。BuzzFeed Newsは南部にある鋸南町で被災者のニーズを調査したNPOジャパンプラットフォーム(JPF)に同行し、取材した。

    台風による土砂崩れも町内の各地で発生し、いまも一部世帯で停電が続く同町。その中心部にある役場の2階からは見渡すと、ブルーシートが張られた屋根の多さに気付く。

    損壊した屋根にブルーシートを張るため、全国から熟練のボランティアたちが集まり始めていているのだ。

    シートの張り替えが必要に?

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    「すでに張られているブルーシートの一部も張り直しが必要になる可能性がある」

    そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、小玉幸浩さん。

    9月18日に広島から鋸南町へ駆けつけた熟練のボランティアの1人だ。これまでも広島県の豪雨災害など災害が発生するたびに、現地で活動を行ってきた。

    現地で活動するNPO法人ADRA JAPANの職員によると、ブルーシートは張り方次第で、半年から最大1年持つ。

    しかし、中途半端な張り方ではすぐに剥がれて、雨が降るたびに雨漏りなどを引き起こしてしまうという。

    現場ではブルーシートの張り方を統一すべきという声も上がっているが、容易ではない。

    様々な団体やボランティアが集まり、できるだけ多くのニーズに応えようと必死に作業を行なっているからだ。

    雨漏り、そしてカビ

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    鋸南町の一軒家で一人で暮らす85歳の女性はこの日、小玉さんの助けを借りて屋根を覆うブルーシートを張り直した。

    台風が直撃した当日は孫の結婚式に参列するため、鋸南町を離れていたといい。女性は「怖い思いをしなかっただけよかったよ」とつぶやく。

    帰宅し、目に飛び込んできたのはあたりに屋根の一部が散乱し、変わり果てた自宅だった。

    千葉市に住む娘の力を借りて、なんとか町役場で情報を集めた。ブルーシートも入手し、降雨が予想されていた9月14日〜16日の連休前に工務店に駆け込み、ブルーシートを張ってもらった。

    だが、張り方に問題があったのか、雨漏りが発生し、2階は水浸しに。いまではカビが発生している。

    疲弊する被災者たち

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    女性は家の外から、屋根に上り作業する小玉さんをじっと見つめていた。

    いまも自宅で生活をすることはできない。千葉市の娘の家に身を寄せ、片道1時間かかる鋸南町と往復する生活を続けている。

    「まさか母親が被災することになるなんて…」と娘も動揺を隠せない。千葉県南部をこれほど大きな台風が直撃したことは記憶にないと語る。ここまで大きな被害が起きるとは予想もしておらず、「備えも知恵もなかった」と振り返る。

    「ありがとうございます、頑張りますしか言っちゃいけないのかなって思ったり。ボランティアの方たちにも申し訳ない気持ちばかりで……それでも今日こうしてブルーシートを張ってくださって、安心しました」

    張り替えは無事終わったが、家の中の片付けを完了させるにはもう少し時間が必要だ。この日も、女性は娘の自宅がある千葉市へと帰っていった。

    週に何度も往復することは、体力的にも金銭的にも負担となる。高齢な母も「ここ数日で痩せたような気がする」という。

    被災地では、被害の長期化による疲れの色が徐々に見え始めている。

    ボランティアを回せない

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    「ボランティアセンターに寄せられるニーズの25%はブルーシートを張ってほしいという要望だ」

    鋸南町役場に設置された災害ボランティアセンターで陣頭指揮をとる鋸南町社会福祉協議会の増田光俊さんは、そう語る。

    9月13日のボランティアセンター開設から9月19日までに寄せられたニーズの総数は1062件。そのうち249件がそうした声だった。

    ただ、ボランティアには作業を振り分けてはいない。落下事故が相次いでいるためだ。実際、千葉県君津市では屋根で作業をしていた男性が落下し、死亡している。

    それゆえ、こうした作業は建築業に普段従事しているボランティアや、各地の災害支援でブルーシートを張ることに特化したボランティア団体によって展開されているという。

    把握しきれない被害の全容

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    町役場の議員控室が災害ボランティアセンターの仮設本部となっている。

    県内の瓦屋根の業者では、修理が1年待ちのケースもある。修繕が完了するまでに時間がかかるため、できるだけブルーシートを長持ちさせる必要がある。

    また、まだ表面化していないニーズが被災地に埋もれている可能性もある。一部では「周りの家に比べて、うちの被害は大したことないから…」と自分で判断し、災害ボランティアセンターにボランティアの要請を行わないケースも存在する。

    同行したピースウィンズジャパンの山本理夏さんは「ボランティアセンターに寄せられたニーズだけで被害の全容を把握することは困難だ」と話す。

    大型の台風17号が、9月21日〜23日の3連休を直撃することが予想されている。関東も雨の予報となっており、屋根の損壊した家屋では雨漏りが心配されている。被災地の不安は尽きない。

    なお、現在も15の市と町が災害ボランティアセンターを設置し、ボランティアを受け入れている。なお一部地域では千葉県内在住の方に限定して募集しているため、活動に参加する際には注意が必要だ。

    Yuto Chiba / BuzzFeed


    Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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