給与の引き上げはいつまでに進めるの?給付金はどうなる? Go To トラベル再開は? 岸田首相が語ったこと

    新型コロナ対策、景気対策。分配をどうするか。

    衆議院が解散し、総選挙態勢に入った。新型コロナ対策、景気対策。分配をどうするか。課題は山積している。

    岸田文雄首相は10月14日夜の記者会見で、何を語ったのか。ポイントをまとめた。

    今夏の倍の感染力にも対応を

    時事通信

    岸田首相がまず語ったのは、コロナ対策だ。

    「感染状況が落ち着いている今こそ、最悪の事態を想定して、強力な新型コロナ対策を準備することが必要。まず、この夏の2倍程度の感染力にも対応可能な医療体制を作ります。万が一、それ以上感染が拡大することがあっても、国の責任において緊急的な病床を確保するなど、万全の備えをします」

    医療提供体制の拡充のため、岸田首相は公的病院の新型コロナ専用病床化を進めるとともに、「コロナ病床」として申告されていながら実際には使われていない「幽霊病床」について見える化するという。

    これらで「感染拡大時の病床稼働率を8割超まで引き上げる」とした。

    あわせて自宅療養者への対応強化や12月には3回目のワクチン接種を開始すること、経口治療薬を年内実用化を目指すとしている。また、無料の検査も拡大するという。

    プッシュ型給付

    コロナで傷んだ市民生活や経済への対応はどうか。

    非正規労働者や子育て世帯など困窮する人々には、申請を行わずとも給付を受けられる、「プッシュ型の給付」を行うと説明。

    また、新型コロナによる影響を受けた事業者に対しては、地域や業種を問わず3月までの事業継続の見通しを立てることができるよう、「(2020年の)持続化給付金並みの給付を事業規模に応じて実施する」とした。

    非正規労働者の雇用などを守るため、雇用調整助成金の特例を2022年3月まで延長する方針だ。

    「新型コロナの影響により、子どもの貧困、孤独孤立、シングルマザーの問題も深刻化しています」

    時事通信

    こども食堂を視察し、支援者らと意見交換する岸田文雄首相(左)。右は野田聖子少子化担当相=12日、東京都大田区[代表撮影]

    岸田首相は10月12日、大田区のこども食堂を訪問。そこで「車座対話」を行い、現場の言葉を聞いたという。

    「困難を抱えている方々に向き合い、支えているNPOへの財政支援を拡充してまいります。政府備蓄米をこども食堂に無償提供いたします」

    コロナ後を見据えた施策は。

    「今後、消費を活性化させるため経済対策において、その受け皿となる企業の事業再構築に支援を行います」

    「Go To トラベルなどの消費喚起策については、ワクチン接種証明と陰性証明を活用して、より安全安心を確保した制度に見直した上で、再開に向けた準備を整えてまいります」

    岸田首相は「新型コロナ対策と経済対策に万全を期した上で、コロナ後の新しい経済社会を作り上げていかなければなりません」と述べた。

    成長と分配、いつまでに進めるの?

    時事通信

    「岸田政権は成長も分配も実現を目指していきます。野党の言うように、分配を言うだけでは、成長ができなくなり、分配するパイもなくなってしまいます。この誤りを二度と繰り返してはいけません」

    岸田首相は「成長と分配の好循環」を訴え、「新しい資本主義」を目指すとしている。

    そのために「新しい資本主義実現会議」を創設し、各界から第一人者を集め、「新しい資本主義」のグランドデザインを描くとともに「デジタル改革・規制改革・行政改革を一体的に進める」と語った。

    「これからは、雇用を増やすことに加え、お一人お一人の給与を増やしてまいります。賃上げ促進税制を強化するよう、政府与党に指示しました。従業員の給与を引き上げた企業を税制で支援します。その際、控除額の上限も引き上げます」

    また、看護、介護、保育の現場などで働く人々の収入を引き上げることを目指すという。

    「私が議論をリードし、年末までに具体的な結論を出してまいります。非正規やフリーランスなども含め、働き方に中立的な勤労者皆保険の実現をはじめ、全ての方々が支え合う持続可能な全世代型社会保障の構築を進めてまいります」

    「新しい資本主義」を実現する具体的なスケジュールについて問われると、岸田首相は次のように述べた。

    「官民が協働する形で結果を出そうというのが、従来の経済対策とは違うんだということ。まずはこれを説明させていただいた上で、協力してもらい、物事を動かしていく。これが大事だと思います」

    「みなさんと思いを共有して、物事が動き出したならば、具体的なスケジュール感もより丁寧に説明させていただくといったことに努めていきたいと思っています」

    「ぶれ過ぎ」「後退」との声に…

    時事通信

    岸田首相は自民党総裁選や就任直後の会見などで、株式の配当や売買にかかる金融所得課税の見直しについて言及していた。

    金融所得課税の税率は現在、一律20%。しかし、高所得層は金融所得の割合が高いことなどから、年間の所得が1億円を超えると所得税負担率が下がる「1億円の壁」と呼ばれる問題が指摘されてきた。

    しかし、菅前首相の退陣表明後に一時、急伸した日経平均株価が総裁選後に低迷していることなどを受け、岸田首相は10月10日のテレビ番組で金融所得課税の見直しは当面、行わない姿勢を示した。

    また、総裁選で掲げていた「令和版所得倍増計画」についても所信表明演説で触れることはなかった。

    岸田首相は3月に発足した自民党の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」の呼びかけ人に名を連ねているものの、総裁選では慎重な姿勢を崩さず、今回の衆議院選においても自民党の公約に「選択的夫婦別姓実現」の言葉は入っていない。

    こうした変化に、一部では岸田首相が「ぶれ過ぎ」であるといった声や「後退」を指摘する声も上がっている。

    首相は会見でこう反論した。

    「私の思いは、そして私が提示してきた政策には、ぶれも後退もありません。大切なのは、優先順位をつけて一つひとつ着実に実施していくことです」

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