「電気が通ってよかったよ」一部で停電が続く、木更津のいま

    木更津市では台風15号の影響で長く停電が続いた。

    9月9日から10日にかけて関東を直撃した台風15号。千葉県木更津市以南では、現在も停電や断水などライフラインが停止した状態だ。

    木更津市内へと下りるアクアラインの料金所には、「災害支援」と大きく掲げた自衛隊の車両が並んでいった。

    BuzzFeed Newsの取材班が現地入りした9月12日午後の段階では、木更津市内は一見、平穏に見える。小学生たちもランドセルを背負い、歩いている。

    だが、目を凝らしてみると傾いた看板や瓦が吹き飛ばされた屋根を確認することができる。

    コンビニは停電のため営業していない。

    店先には閉店を知らせる紙が貼られていた。

    店内をよく見ると、お弁当コーナーには、何も残っていなかった。

    「79年で初めての大規模停電」

    木更津市で生まれ育ち、いまも家族と4人で暮らす鎗田貴靖さん(79)は、こんな大規模な停電は「生まれて初めてのことだった」と声を大きくして言う。

    栽培していたトマトの苗木も強風で倒れてしまったという。幸い、発電機を常備していたことから、停電が続く中でも冷蔵庫、照明、扇風機を使うことはできたという。だが、消費電力が大きいためエアコンを使うことはできなかった。使わない家電製品のコンセントを抜いて3日過ごしたという。

    情報収拾の手段はラジオだけだった。

    NHKの放送に耳をすまし、停電がいつまで続くのか案じていた。コンビニも、地元のスーパーマーケットも閉まっていた。ホームセンターだけは営業していたとという。

    停電から3日目、とうとう発電機を動かすためのガソリンが尽きた。

    電力復旧は9月13日と報じられていたため、給油のためガソリンスタンドに向かった。長い列ができていた。1時間ほど並んで、ようやく10リットルのガソリンを手に入れた。

    鎗田さんの自宅では、11日の夜12時頃に電力が回復した。

    「電気が通ってよかったよ」「そりゃあ、嬉しいよ」と笑顔で話した。

    9月12日午後2時現在、木更津市内では今も8,700世帯で停電が続いている。

    東京電力の発表によると、千葉市、八千代市、四街道市、印西市、市原市の一部は12日中にも停電から復旧する見込みだ。しかし、それ以外の地域の復旧は13日以降となる。


    BuzzFeed Newsでは今後、千葉県南部の別の地域の状況についても詳報します。