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Updated on 2019年11月25日. Posted on 2019年10月3日

仕事を理由に2000人以上が自殺… 最新の「過労死白書」でわかること

今年も厚労省が「過労死等防止対策白書」を公開。職場での「いじめ・嫌がらせ」についての相談件数が8万件を超えた。

2019年の「過労死等防止対策白書」が発表された。

Chris Mcgrath / Getty Images

この白書は、過労死等防止対策推進法に基づき、厚生労働省が2016年から毎年公開している。

最新のデータからは、政府が「働き方改革」を旗振るなか、いまも時間外労働や仕事を苦に死を選ぶ人たちの実態が明らかになった。

BuzzFeed Newsでは、その内容を7つのポイントにまとめた。

(1)週60時間以上働いている:397万人

国が過労死ラインとして定めているのは、月80時間の時間外労働だ。

労働基準法で定められている法定労働時間は原則として週40時間。そのため、週60時間働くと、月の時間外労働は過労死ラインに達する。

こうした背景から政府は、2020年までに週60時間以上勤務する労働者の割合を5%にするという目標を設けている。しかし、現状でも週60時間労働を超える人は397万人(6.9%)いることが明らかとなった。

一方で、労働者1人当たりの年間総実労働時間は6年連続で減少。「建設業」「運輸業,郵便業」「製造業」「情報通信業」が全産業平均よりも労働時間が長くなっている。

(2)仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている:58.3%

「過労死等防止対策白書」(令和元年版) / Via mhlw.go.jp

ここ10年ほどほとんど横ばいの状態が続いている。

不安や悩み、ストレスに関する理由で最多なのは「仕事の質 ・ 量」(62.6%)。次いで「仕事の失敗、責任の発生等」(34.8%)「対人関係(セクハラ ・ パワハラを含む。)」(30.6%)となっている。

(3)職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談受付件数:8万2797件

「過労死等防止対策白書」(令和元年版) / Via mhlw.go.jp

職場での「いじめ・嫌がらせ」について、全国の総合労働相談コーナーへの相談が調査開始以来最多に。

(4)仕事を理由に自殺:2018人

「過労死等防止対策白書」(令和元年版) / Via mhlw.go.jp

ここ数年減少傾向が続いていたが、2017年に続き上昇した。自殺理由の28.1%が「仕事疲れ」。その後「職場の人間関係」が続く。

(5)過労死や過労自殺:158人

労災請求件数は前年度から117件増加し、2697件(脳・心臓疾患:877件/精神障害:1820件)。

そのうち労災支給が決定されたのは703件となっており、前年度と比べると56件減少した。

過労死もしくは過労を理由に自殺した人の数は158人(脳・心臓疾患:82件 / 精神障害:76件)。業種別に見た際に、特に多いのが運輸業・郵便業で32件となっている。

今回の白書では、長時間労働が多いと指摘される建設業とメディア業界に限定した調査も実施された。

厚労省は2010年1月から2015年3月までに認定された脳・心臓疾患、精神障害事案のデータを用いて分析を行った。

(6)建設業:精神障害を患った現場監督の半数が自殺

「過労死等防止対策白書」(令和元年版) / Via mhlw.go.jp

2010年1月から2015年3月までに労災支給決定されたケースのうち、建設業に関するものは311件(脳・心臓疾患:162件/精神障害:149件)。

職種別に見た際、現場監督が精神障害を患うケース(59件)では自殺を選ぶケースが30件と、半数を超えている。ストレス要因として長時間労働に関連するものが多く挙げられた。

繁忙期の1週間の労働時間では「60時間以上80時間未満」が32.7%と最多、80時間以上の人たちも21.4%に上るなどデータが過重労働を裏付けている。

では、こうした過重労働防止に向けて、何が必要なのだろうか。

必要だと感じる取り組みとして最も多く挙げられていたのは「人員を増やす」で56.1%だ。続いて「適切な工期や経費等の確保について発注元と協議、契約を行う」が多く、49.3%だった。

(7)メディア業界:精神障害を患い自殺したのは全員20代

「過労死等防止対策白書」(令和元年版) / Via mhlw.go.jp

2010年1月から2015年3月までに労災支給決定されたケースのうち、メディア業界に関するものは52件だ。精神障害事案では29歳以下が11件と最も多い。

さらに精神障害を理由にした過労自殺4件は、すべて29歳以下だった。

業務に関連したストレスや悩みがあると78.7%が回答。具体的な内容として最も多く挙げられていたのは「業務量の多さ」(43.9%)だ。

年次有給休暇の取得に関しては「概ね取得できている」と回答した人の割合は11.5%に止まり、60.1%が「ほとんど取得できていない」または「全く取得できていない」と答えた。

2018年度は約3万事業場を監督指導

労働基準監督署は、2018年度に計2万9097事業場に監督指導を行い、そのうち1万1766事業場で違法な時間外労働について是正・改善するための指導を行った

白書の後半ではトラック運送業や教職員、医療従事者など長時間労働になりやすいとされているそれぞれの職種で時間外労働を減らすための取り組みも紹介されている。

Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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