厚生労働省の「副反応検討部会」「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」が11月12日に合同開催され、HPVワクチンの積極的勧奨の再開を了承した。
HPVワクチンは子宮頸がんを防ぐことが明らかとなっているワクチンで、日本国内では2013年6月から積極的勧奨が差し控えられていた。
日本産科婦人科学会が積極的推奨の再開を歓迎する声明を出した。
子宮頸がんなどを防ぐワクチン、接種率は1%未満に
HPVワクチンは2010年から公費による助成が始まり、2013年4月から小学校6年生から高校1年生の女子を対象に公費でうてる定期接種となった。
しかし、接種後び体調不良を訴える声をマスコミがセンセーショナルに報じたことなどから、安全性への不安の声が広がった。厚生労働省は同年6月に積極的勧奨を差し控えるよう自治体に通知を出した。これにより、対象者に個別のお知らせが届かなくなった。
それから日本国内では8年以上にわたって積極的勧奨が差し控えられ、多くの女性が無料接種のチャンスを逃してきた。
接種率は一時、1%未満にまで激減。世界各国で接種が進む中、異常事態が続いていた。
11月12日、審議会は「HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」と判断。8年5ヶ月ぶりにHPVワクチンの積極的勧奨の再開が了承された。
この結論を受け、近く厚労省は積極的勧奨の再開を知らせる通知を出す見通しだ。
日本産科婦人科学会「効果と安全性が確立されたワクチンです」
厚労省の審議会の結論をうけ、日本産科婦人科学会は「HPVワクチン積極的勧奨再開について」と題した声明を発表した。
声明では積極的推奨の再開について「ご尽力いただいた関係者の皆様に深謝いたします」と評価。HPVワクチンについて「WHOが15歳までに90%以上の女子が接種することを目標としている国際的に効果と安全性が確立されたワクチンです」と紹介した。
「今後は、エビデンスの整理とともに、接種後に生じた症状に苦しんでおられる方々への支援策も含め、これらの問題を解決しながら、HPVワクチン接種体制をさらに充実させ、国民のワクチンへのご理解が得られるように関係者一同、努力して参ります」としている。