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コロナ禍で「うつ症状」を抱える子どもが増加… 一斉休校は本当に必要か?

大阪市は一時、小中学校を休校すると発表。翌日、その方針を撤回した。変異ウイルスの影響に注目が集まる中、休校措置を決断する前に考慮すべき影響とは。

新型コロナウイルスの感染が再び拡大している。特に注目を集めているのがイギリス由来の「N501Y」という変異を持つウイルスだ。

この変異ウイルスには、新型コロナに感染しにくいとされてきた子どももその他の世代と同様に感染するとされている。そのため大阪市は一時、小中学校を休校すると発表。翌日、その方針を撤回した。

休校措置は子どもの学びだけでなく心の健康や生活習慣など様々な面に影響を及ぼす。「最終手段」である休校措置を決断する前に考慮しておくべき影響とは何か。

子どもへの新型コロナの影響を研究する専門家に取材した。

コロナ禍で「うつ症状」を抱える子どもが増加

Buddhika Weerasinghe / Getty Images

国立成育医療研究センターの半谷まゆみさんはBuzzFeed Newsの取材に、新型コロナの影響が長期化する中で小学生・中学生・高校生それぞれで「中等度以上のうつ症状」が確認できる子どもが増えていると語る。

同センターが実施したアンケート調査は、小学1年生〜高校3年生の子ども、0歳~高校3年生の子どもを持つ保護者を対象にインターネット上で実施したもの。

直近の第4回目の調査にはのべ4629人が回答した。

希望者が回答する形式のものであるため、日本国民を代表する結果となっているかは厳密にはわからない。

半谷さんは過小評価もしくは過大評価している可能性はあるとした上で、2020年11月から12月にかけて実施した第4回調査では小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に「中等度以上のうつ症状」があるという結果を示す。

「死にたいと思ってしまうと答える子ども、実際に自分のことを傷つけてしまっったと答える子どもの割合も高い。これは見過ごしてはいけない子どもたちからのSOSだと感じています」

同時に新型コロナの影響が長期化する中でコロナに対する反応も二極化していると解説する。

「昨年3月に学校が一斉休校になった頃は、多くの子どもたちは『学校に行きたい』『友達に会いたい』と同じようなストレスを抱えている傾向が見えていた。しかし、現在はコロナに適応することができる子どもと適応することができない子どもに分かれてきています」

「やっぱりコロナに感染することが不安だから学校へ行きたくないと感じる子どももいれば、もっと自由に過ごさせてほしいと感じている子どももいる。子どもの感じ方も人それぞれであることに注意が必要です」

「何にイライラしているのかがわからなくてイライラする」

Buddhika Weerasinghe / Getty Images

うつ症状の背景に浮かび上がるのは、家庭以外で誰かとコミュニケーションする機会が失われたことによる影響だと半谷さんは指摘する。

特に思春期にかけて、子どもたちには家庭以外の場で様々な人とコミュニケーションをすることでストレスを発散するという側面がある。

しかし、新型コロナ対策による影響や学校教員の時間的余裕や心の余裕などが失われる中で、家庭の外でのコミュニケーションが十分に図れないという声が子どもたちからは寄せられているという。

「新型コロナに関しては大人も子どももストレスを抱えています。大人の場合はこれまでの経験からストレスの発散方法やストレスとはどういうものであるかを知っている。でも、子どもの場合は自分が抱えているイライラの原因が何かがわからないと感じることもある。アンケート調査に『何にイライラしているのかがわからなくてイライラする』と答えてくれた人がいたのですが、この言葉が状況を的確に表現していると感じました」

大人は子どもたちへの説明責任を果たすべき

提供写真

国立成育医療研究センターの半谷まゆみさん

新型コロナの子どもへの影響を研究する半谷さんの目に「休校措置」をめぐる議論はどのように映るのだろうか。

半谷さんは「あくまでこれまでアンケートに答えてくれた子どもの声を代弁すると…」と前置きしつつ、次のように述べる。

「子どもたち自身も休校することのメリット、休校しないことのメリット、どちらもよくわかっています。実際、アンケートでは3月には有無を言わさず休校になったのに、2度目の緊急事態宣言ではなぜ休校にしないのか?という疑問の声もありました」

「こうした声を踏まえて感じるのは、私たち大人は子どもたちへの説明責任を果たしてきたのだろうか?ということです。昨年3月当時はコロナに関してわかっていない部分が多かったのは事実です。ですが、わからないなりに休校にする理由を説明してほしかったと語る子どもも少なくありません」

「そして、休校にしても、しなくてもデメリットはある。例えば感染リスクがどうしても怖いと感じる子どもには対面授業と合わせてオンラインでの授業を併用するなど、可能な範囲で学校現場で出来ることはないのかを模索する必要があると思います」

昨年3月に急遽決定した一斉休校の影響は様々な面で確認されている。

スマートフォンなどスクリーンを見る時間が伸びる、就寝時間が乱れるといった健康への影響は休校措置が終わって以降も長期化している。

また、日本教職員組合の調査では休校期間が長かった地域ほど、休校後に学校へ行きたくないと答えた子どもが増加したこともわかっている。

休校措置をとるべきか、とるべきでないか。その判断を下す際には感染リスクと合わせて、子どもに与える長期的影響について検討する必要がある。

子どもたちへ伝えてほしい、「気にかけているよ」のサイン

Tomohiro Ohsumi / Getty Images

「保護者の方たちへお願いしたいのは、どんな形であっても良いから子どもとコミュニケーションを試みてほしいということです。私自身もハッとしたのは、『親はスマホを見る時間を減らしてほしい』という子どもの声でした。子どもも『今なら話して大丈夫かな』と様子やタイミングを伺っていることも少なくない。保護者の側は出来る限り隙を作って、『気にかけているよ』というサインを送ってあげてほしいです」

「保護者はつい、子どもの悩みに対して『こうすればいい』と解決策を提示してしまいたくなりますよね。でも、グッと堪えて、まずは耳を傾けてあげてほしいんです。子ども自身の言葉で感情を表出することがストレスを減らす上で大事です」

しかし、思春期になれば自分の親には悩みを打ち明けたくないと感じる子どもも少なくない。コロナ禍で家庭外でのコミュニケーションも減る中で、それでも保護者ができることはあるのだろうか?

「自分の親へあまり相談をしたくないと感じることは人の成長過程において、とても自然なことです。子どもの側からしても、そんな何でもかんでも親には相談できないよと思うでしょう。でも、だからと言ってコミュニケーションをとらなくてもいいというわけではない」

「保護者の側は、常にあなたのことを気にかけているとサインを送り続けることが必要なのではないでしょうか。ストレスを自分の中にずっと溜め続けることは危ないことなんだよ、だから辛いときはSOSを出してねと教えてあげてほしいです」


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