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ワクチン接種をすれば帰省しても良いの?旅行はどうなる?感染対策の専門家の見解は…

「ポイントは自分がすでにワクチン接種を完了しているか、行った先で会う人がワクチン接種を完了しているか、そして地域の流行状況の3つです」

新型コロナウイルス感染症が一部で再び感染拡大傾向へ転じている中、今年の夏休みはどう過ごすべきか。

昨年同様、例年の夏休みとは異なるものとなる見通しだ。

昨年と異なるのはワクチン接種が始まっていること、そして変異ウイルスの影響だ。

こうした変化を踏まえた上で、帰省や旅行についてどのように判断すべきか?BuzzFeed Newsは聖路加国際大学QIセンター感染管理室マネジャーで感染症対策の専門家・坂本史衣さんに取材した。

接種を完了しても、対策の継続を

時事通信

ワクチン接種が完了していたとしても、「全部ガードを下げていいわけではない」

政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長は6月16日の記者会見でこのように強調した。

「変異株が出現した今、求められる行動様式に関する提言」と題した文書で、7つのポイントを示している。

(1)マスクを鼻にフィットさせたしっかりとした着用を徹底すること。(感染リスクの高い場面では不織布マスクを着用。3密のいずれも避けること、特に人と人との距離に気を付ける)

(2)マスクをしっかりと着用していても、室内でおしゃべりをする時間は可能な限り短くし、大声を避けること。

(3)今まで以上に換気には留意すること。

(4)出来る限り、テレワークを行うこと。職場においても、(1)〜(3)を徹底すること。

(5)体調不良時には出勤、登校をせず、必要な場合には近医を受診すること。

(6)ワクチン接種後にも、国民の多くがワクチン接種を終えるまでは、マスクを着用すること。

(7)ワクチン接種後にも、国民の多くがワクチン接種を終えるまでは、大人数の飲み会は控えること。

国民の大多数がワクチン接種を終えるまでは、引き続き基本的感染対策を継続することが重要となる。

ワクチン接種をすれば帰省しても良い?専門家の意見は…

Yuto Chiba / BuzzFeed

聖路加国際大学QIセンター感染管理室マネジャーの坂本史衣さん

こうした前提を踏まえた上で、夏休みの帰省や旅行についてどう考えるべきか。

坂本さんは「ポイントは自分がすでにワクチン接種を完了しているか、行った先で会う人がワクチン接種を完了しているか、そして地域の流行状況の3つです」と語る。

ここで言う「ワクチン接種の完了」とは2回目の接種後、14日以上経過していることを指す。

「たとえば自分も実家に住む自分の家族もワクチン接種を完了している場合、車や新幹線などで移動して、接種完了者同士だけで会うことのリスクはかなり低いです」

「一方で、自分は接種が完了していないけど、実家の家族は完了している場合の感染リスクは、自分が住んでいる地域の流行状況や、自分が日々、どれだけリスクの高い行動をとっているかに左右されます。もちろんワクチンの効果は高いのですが、100%ではありません。万が一、自分が感染しており、知らずにうつしてしまった場合に重症化するリスクの高い人たちに会うのであれば直接会うことには慎重になったほうが良いでしょう。自分も接種を完了した上で会う方が、より安心感は高いと言えます」

帰省の場合、子どもを連れて帰ることも少なくない。現時点では、ワクチンを接種できるのは12歳以上の子どもに限られている。また、子どもへの接種は一部を除き、まだまだ進んでいないのが現状だ。

接種していない子どもが移動先で感染する / 感染させるリスクについては、どのように捉えるべきなのか?

「まず『子ども』と一言にくくっても、年齢によって事情は異なります。大人に近い年代になるほど、行動範囲が広く、不特定多数の人と交流する機会も増える。したがって日々の活動における感染リスクは幼い子どもよりも高い可能性があります。これまで分かってきたこととして、一般的に、生来健康な子供の感染や重症化のリスクは低く、大人から感染する場合が多いのですが、子供から大人への感染が起こらないわけではありません。また、子供が感染する可能性は生活している地域の流行状況にも左右されます。例えば、感染性が強い変異株による感染例が多く発生している地域では、そうでない地域に比べて子供が感染する可能性は、相対的に上がると考えるのが自然です」

「仮に子どもたちのワクチン接種が完了していない状態で帰省するとなった場合、実家の家族がワクチン接種を済ませていれば、子供からの二次感染がおこるリスクは相当下がりますが、ゼロにはなりません。万一感染した場合に重症化する可能性のある人が実家にいる場合といない場合では、帰省のリスクを高いと捉えるか、低いと捉えるかが変わってくるでしょう」

できる限り感染リスクを減らすためには、ワクチン接種を完了した人同士だけで会うこと、感染状況が落ち着いている地域の間での移動が望ましいと坂本さんは言う。

「もうすでに感染者数が増加傾向に入ったと思われる東京から移動する場合と、感染者がほとんど出ていない地域から移動する場合では条件が異なります。自分たちが住んでいる地域や訪れる先の流行状況を注視することも大事です」

「自分や仲間はワクチン接種を完了していたとしても…」

時事通信

五輪の開会式前後には4連休が予定されている。また、例年はお盆の時期に人の移動が活発化する。

今年は昨年よりも旅行する人が増えると予想される。

坂本さんは「人が動くこと」の問題点は、「移動の最中や移動先でウイルスが伝播する機会が生じるから」と指摘する。

自分自身や一緒に出かける仲間がワクチン接種を完了していた場合、出かけた先で感染するリスクは、感染者に遭遇するかどうか、さらに、遭遇した感染者からウイルスが伝播しうる機会がどれほど起こるかによって変化する。自然の中で過ごす場合、このようなリスクは低いが、人混みの中では上昇する。

「例えば、出かけた場所で、自分や仲間の近くに感染者がいて、その人が出す飛沫を直接浴びたり、吸い込むような状況が生じた場合、あるいは自分や仲間が滞在している換気の悪い空間に感染者がいて、その人が排出したウイルスを吸入する状況が生じた場合、ワクチン接種を完了していれば感染するリスクは相当下がるものの、ゼロではありません」

「ワクチン未接種・未完了の人は、完了者よりも感染はしやすいです。未接種・未完了者に会う場合は、飛沫を浴びたり吸い込んだりしないように互いに不織布のマスクを顔に密着するように着け、会う時間を短縮したり、大声を出さないといった配慮を行うことが勧められます。また、接種率が低い状況では換気の悪い空間を避けるのが無難です」

変異ウイルスによる影響も、踏まえなければいけないもう1つのポイントだ。

「最近、マスクは顔にフィットするようにつけましょう、長時間の会話は避けましょう、といった呼びかけがなされています。こうした呼びかけの背景には、変異ウイルスの感染力が高いことがあります」

「基本的な感染対策は、少なくとも、ワクチンが普及し、感染者数が安定的に低水準で推移するようになるまでは、続けていく必要があります。感染経路は変化していません。しかし、感染力が高くなっているため、これまで以上に一つひとつの対策を念入りにやった方が良いでしょう」

ワクチン接種、子どもと話し合う時間を

Miya227 / Getty Images/iStockphoto

「地域の流行状況やワクチン接種を済ませているかどうかでリスクは変化するため、帰省の是非や仕方について、万人にとっての正解を示すことは非常に難しいというのが正直なところです」

この夏には感染が再び拡大する可能性が指摘されているほか、五輪の開催も予定されている。数週間先の状況は見えにくい。

そうした中で、リスクを低減することだけを考えるのであれば次のような方法があると指摘する。

「もっとも安全な策を取りたいということであれば、互いにワクチン接種を完了した人同士が、それ以外の人たちと接点を持たない形で会うことが良いと思います。また、子どもを連れて動くのであれば、夏に無理をして移動するのではなく年末にズラすことも1つの選択肢です。年内には12歳以上の子どもへの接種も進む見込みなので、よりリスクを下げることが可能になります」

感染対策の要がワクチン接種だ。ワクチン接種が進んだことで、医療従事者の感染事例が以前よりも減少していることを実感していると坂本さんは語る。

「感染を防ぐために、まずはワクチン接種の機会があれば受けることをおすすめします。ワクチンは変異ウイルスに対しても、2回接種をすればかなり高い効果を発揮することがわかっています。ワクチン接種が、何よりも重要です」

「医療の逼迫を防ぐため、人々の行動を制限するということが、この1年半、何度も繰り返されてきました。ワクチンの効果で重症化する人が増えなければ、大がかりな行動制限を行う必要がなくなるでしょう。今後は日本においても、イスラエルやイギリスのように、ワクチンを接種していない人の間での感染拡大が目立ってくるかもしれません」

坂本さんは夏休みを迎えるにあたって、特に子どもがいる家庭に対し、次のように呼びかけた。

「お子さんがいる家庭では、時間がある時にぜひ一度、ワクチン接種について話し合ってみてください。厚労省こびナビなど、信頼できる情報源からの情報を確認しながら、『ワクチン接種どうする?』と考える時間を持っていただきたいです」

「未接種者の感染リスクは高く、イスラエルでは12歳から15歳の子どもにおいてデルタ株の感染が拡大するといったことも起きています。現時点では、あらゆる年齢層で、接種することのメリットが大きいワクチンだと思います。接種する場合としない場合のメリット、デメリットを正しい情報をもとに理解しながら、話し合いの時間をもってみることをお勧めします」



Contact Yuto Chiba at yuto.chiba@buzzfeed.com.

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