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東横イン、初の支配人は「飲み屋のママ」だった――社長が明かす秘話がすごい

実は、ホテル内自販機のアルコール類も少し安い。こんな気配りをするのは「あの人」しかいない。

「支配人の97%が女性です」

Takeru Ichii/LiB

そう語るのは、株式会社東横インの社長、黒田麻衣子さん。1000人のキャリア女性、1000社の企業が選ぶ「JAPAN WOMEN AWARD 2016」にて、企業部門別ランキング 「リーダー輩出部門」のグランプリを受賞しました。

黒田社長は、創業者の長女。30年の人気ホテルの秘密を明かしました。

1. 最初は副業から始まったホテル業。支配人は飲み屋のママ

もともと、東横インは電気設備工事業のかたわら、創業者の西田憲正さんが"副業"として始めた事業でした。

「創業者は、ホテル業とは全く無縁だったんです。どうやって人をもてなしたらいいのかわからない。そこで、行きつけの飲み屋のママに1号店となる蒲田の支配人を任せたんです」

当時彼女は50代。店をたたんで田舎に帰ろうか悩んでいるときだったそうです。

2. 2号店は男性が支配人になった。でも…

2号店は、男性を支配人に任命した東横イン。しかし…

「1号店はいつもピカピカしているのに、2号店は暗いしタバコ臭くなってしまったんです。どうしてかな?と。女性の方が"向いている"のかもしれません。"優れている"のではなく"向いている"」

ちなみに、2号店の支配人が去った後は1号店のママが2件を見ることになったのだそうです。

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3.「いらっしゃいませ」は言わない。

「飲み屋のママは『いらっしゃいませ』ではなくて『おかえりなさい』っていうのよ、父にアドバイスしたそうなんです」

実際、東横インは宴会場がない『宿泊特化型』のホテル。寝に帰ってくるための場所であるため、このような配慮がなされているそうです。

4. 支配人はお母さんが多い。

最終面接では黒田社長が自ら立ち会います。

「ホテル経験のない方しか雇いません。他のホテルの先入観でやっていただくと逆に難しいので」

平均年齢は48歳。子どもが中学生ほどになって、育児が一段落した人を採用することが多いといいます。

「業務では、女性として培ってきた等身大の経験を活かしてもらっています」

5. 朝食は家計簿のようにやりくりしている。

↑沖縄のあさごはん。/double-h_by_phone / Creative Commons / Via Flickr: double-h2

お母さんの経験はどんな所で活かされるのでしょうか? 例えば、朝食メニューに表れるそうです。

「本社からは『1食、だいたい何円で作って欲しい』というような要望だけだして、あとは店舗に任せています。お客様のお仕事によって朝からカレーを出す店舗もありますし、京都は小鉢を出す。支配人と朝食スタッフの感性でやってもらっています」

胃袋で掴むタイプの支配人の場合、食にお金をかけることも多いといいます。

しかし、結果が出ないと、全国の女将(支配人)が集合する会議で「あなた、ここが無駄が多いんじゃない」と指摘が発生することも。「家計簿の延長線上で経営をしています」と黒田社長。

6. 実は黒田社長も二児の母

Takeru Ichii/LiB

黒田社長は創業者の西田憲正さんの長女。大学院を卒業した後、新卒で同社に入社しました。後継者になるつもりもなく、育休後に退社しています。

転機になったのは、二度に渡る事件。2006年に東横イン不法改造問題、2008年に硫化水素発生事件が発生し、社長が逮捕されるという事態にまで発展します。

「今までそんな感情が芽生えたことがなかったのですが、『私がやらなきゃ』と思ったんです。父に電話してみると「そう? わかった」と言われました。いわゆるワンマン経営だったので、本社の方からは歓迎していただきましたね」

2008年に副社長として復帰、2012年に社長に就任しました。

専業主婦から社長に転身したからこそ、未経験の支配人を束ねる力があるのです。

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採用ページにはこのようなメッセージがある。


働く充実感とともに、仲間と強調することのむずかしさもしり、恋を重ね、理不尽さにも見舞われ、生活やお金の重みも感じ、人を思いやる大切さもしみじみわかってくる。女性はそうなってようやく、心配りができるもの。