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【お坊さんの本音】鬱になる時もある。時代に合わせて変わらなければ

お坊さんは飲み会で何を話すのか?

「鬱になるお坊さんもいるんですよ」
「えっ…お坊さんも悩みってあるんですか?」
「ありますよ」
「人間を超越した存在かと思ってました」
「やっぱり人間ですからね」

縁があって赤坂でお坊さんたちと飲む機会に恵まれた。出家をした僧侶たちの素の会話を聞くほどに、不思議な気持ちになる。

最近は、坊主バーなどの飲食店やテレビなどでも脚光を浴びる僧侶たちではあるが、彼らは一体どんな悩みを抱え、生きているのだろうか。

「飲酒量も喫煙率も多いよね。坊さん同士で集まって飲むことが多いかな」とお坊さんの一人は語る。実際、この日は多様な宗派の僧侶が一堂に会していた。信仰の枠を超えて「わかるわかる」と頷く様はチェーン居酒屋の一角を思わせる。

もしかして合コンに行ったりもするのだろうか?

「行く人もいると思います。僕は出家してから、僧侶の服を着てキャバクラに行ったブログを書いたんですけど、それを母に読まれていて。気まずかったですね」

他の僧侶は「学生のころ、祇園のキャバクラでバイトしていましたね。頭にタオルを巻いて来るお坊さんもいるんですよ。仕事を隠すために」と語る。すると、過去のアルバイト経験の話になった。

大企業で働くサラリーマンも

「大学は早稲田だったので、ファミレスで働いたり、そのあとは新宿のカラオケでバイトしてましたね。卒業してからはこの道に入ってしまったので…本当は探偵になりたかった(笑)」との声もあがる。「自分はパイロットになりたかった」、「俳優。今でもやりたいと思ってる」などの夢を聞いた。

一方で、兼業の僧侶も多い。メンバーの中には広告代理店でマーケターの顔を持つ僧侶もいた。「人の欲望を喚起する広告を仕事にしてますね」と冗談を飛ばす。彼の家は3代続く兼業僧侶。祖父と父、共に大企業で勤めあげた。

「誰を救うのか?と考えると、僧侶の世界しか知らないと視野が狭くなる気がします」

今までの「ビジネスモデル」が破綻しつつある

「うちは専業じゃそろそろ厳しいから」と声が聞こえてきた。お坊さんの収入源とは何なのだろうか?

「主たる収入源は檀家さんからいただくお布施ですね。今の言葉で言うと会員費みたいなもの。江戸時代は誰もが特定の寺院に所属して、葬祭供養一切を寺院に任せる決まりがあったんですよ。その代わりにお布施をいただくシステムです。あと、昔は寺院が土地を持っていたので、そこを小作農に貸して収入を得ていました」

「でも、今は民営化の時代ですからね。明治以降、このような檀家制度はなくなりました。今でも檀家さんにご支援いただいているのですが、任意ですから事情が違います。過疎化に伴い、寺院を続けていくのが難しくなっている地域もあります」

月参りという仕事もある。これは、月命日にお坊さんを家に呼び、仏壇の前でお経を唱えてもらう習わしだ。

「1件につき、2〜3000円かな。20分くらいで終わるので、1日に数軒はしごする日もあります。檀家さんの数が200を超えると、1日平均、5〜6件ほど。家によっては『参っておいてください』と、鍵を渡されますね。お布施が仏壇の近くにおいてあって」

月参りの慣習は宗派によって異なる。この仕事も檀家が支えているものでもある。しかし、地域共同体がなくなりつつある現在、檀家の数は減る一方だ。

「お墓の管理人であり、カウンセラーで、会員組織を見るのも仕事。宗教者であり、経営者なんですよね。そこのギャップで鬱になるお坊さんもいます」

「坊さんらしさ」って何なんだろう? 悩む僧侶たち

とはいえ、仏教は日本の文化に深く結びついてきた。現在では観光資源の側面もあるだろう。文化財産として国が零細寺院に働きかけることはないのだろうか?

「それは国を信じすぎですよ。もちろん、宗教法人法によって固定資産税が基本的に免税される部分は大きいです。土地に対する税金はかかりません。でも、それくらいです。寺院として経営が行き詰まったら……解散でしょうね。リアルにそういう話はありますよ」

寺院は非営利団体のため、お布施や寄付金も非課税だ。しかし、寺院から僧侶に支払われる給与は、所得税をはじめとする税金の対象になる。

本の出版やイベントなど僧侶のコンテンツ化が目立つ背景には、経済的な理由もあるのかもしれない。お坊さんだって人間だ。

「かつてないほどに変動のある時代です。仏教は変わることに受け身でいたんだと思います。でも、階級や地縁のような所与のものがどんどん薄まっていく社会の中で、仏教だけが独自の時間を過ごせるわけではありません。"坊さんらしくあらねばならない"っていう僧侶が減ったように思えます。いい意味で、僧侶とは何なのか? 問われている時なのかなと」

そう言って、グラスに入ったハイボールを飲み干した。

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