計5万ツイートされたロリータ包丁はこうやって生まれた。気になる反響は…
鍛冶職人に聞きました。
ものすごい反響を呼んだロリータ包丁。投稿した後、約1週間で3万6000以上RTされています。
「世界初のロリータ包丁として誕生」。もはや言ってる意味はよくわからないがとにかく最高です播州三木打刃物。伝統工芸もこうしてイノベーションしながら次代へと受け継がれてゆくんですね。
ゴスロリ包丁も2万7000RTされるほど。
おそらく日本初のV系包丁。「播州三木打刃物」は本気だ……。
この2つの包丁は、「田中一之刃物製作所」の四代目・鍛冶職人の田中誠貴さんと匠工芸「TAKUMI ARMORY」のタッグによって生まれました。

左から「田中一之刃物製作所」の田中誠貴さん、匠工芸代表の折井匠さん、同社でも活躍するデザイナー藤原知栄さん
伝統工芸品とゴスロリ系カルチャーが結びついた背景を、鍛冶職人の田中さんに聞いてみました。

――なぜ、ゴスロリ系包丁を作ろうと思ったのでしょうか?
ぶっ飛んだ包丁を作りたかったんですよね。包丁業界って何百年と続いているから、目新しいものがなかなか生まれないんですよ。保守的っていうか。
そこで、おもしろそうなものを作ってもらえそうだと思って、匠工芸さんに持ち寄ってみたんです。そうしたら、快諾してもらえて。
――田中さんは、ゴスロリが好…?
いえ(笑)。ぼくはどちらかと言うと、ロックが好きです。
匠工芸さんから提案をもらったのが、ゴシックロリータのデザインで。デザイナーさんがゴスロリが好きでこういう形になったと聞いてます。さらに辛口のものがあるんだったら、対極のロリータも作った方が良いって話になって。やっぱり、本当に好きな方の意見って大事だなと。
ぶっ飛んだものを作ってバズれば、地元が盛り上がると思った
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――精緻な形状をしていますが、どうやって造るんでしょうか?
ひとつひとつ、ステンレスを伸ばして、その後に鍛造し、形作っていきます。プレスで伸ばしてるわけじゃないんです。周りはレーザーで削れるんですが、中の細やかな部分はやすりを使います。細やかな表現はやっぱり手作業じゃないとできない。
柄の部分は、デザイナーさんが作っています。

田中さんが造る「青紙積層鋼 水牛柄 鮪切包丁」

――普段作っているものと、全然違いますね。そうですね。実用性のようなものはあまり考えませんでした。通常の包丁とは用途が違います。もちろん、切りたいものはちゃんと切れますよ(笑)。三木って昔から「金物の街」として知られていて。海外でも人気なんですけど、若い人とかって全然知らないですよね。でも、ぶっ飛んだものを作ってバズれば、この街とか業界を知らない人も検索するかもしれないじゃないですか。三木がもっと盛り上がればいいなって思ってます。もちろん、売れれば嬉しいんですけど、そういうのを目的に造ったわけじゃないんですよね。面白い包丁を造って、地元の注目が集まればいいっていう。――ネットではかなり盛り上がりましたね。今のところ注文の方は?今のところ、JULIETTEが2つ。Lappinが1つですね。作らなきゃ。