きゃりーぱみゅぱみゅ、Perfumeに出会って衝撃を受けた「人として大切なこと」

    全然イライラしなくなった。昔はあんなに怒ってたのに。

    「昔は『私は違うし』って思って、イライラすることも多かった」

    20代前半の日々を、そう思い出す。18歳のある日、突然大人の世界に飛び込んだきゃりーぱみゅぱみゅは、現在25歳。

    Yui Kashima / BuzzFeed

    これまで「向上心ってないんですよね」とネイルを眺めたり、「あー……そういうの、大丈夫です」といなすことが多かった。いかにも現代っ子のような、ちょっぴり冷めたスタンスを表明し続けた。

    4年ぶりにリリースしたアルバム『じゃぱみゅ』は「誰かの背中を押してくれる曲が多い」と話す。キャッキャと笑いながらも、出てくる言葉はどこか柔らかい。実際、イライラすることも減ったそうだ。

    勢いに頼る時期も過ぎた。4年という時間は、仕事の進め方、アイディアの枯渇、友だち付き合いに悩んだ日々でもあった。

    いつまでも、中田さんに頼ってばっかりじゃダメ

    ――きゃりーさんはずっと中田ヤスタカさんのプロデュースのもと音楽活動をしていて、自分でクリエイティブを出したくなったりしたことってないのでしょうか?

    私は、CAPSULEもPerfumeも、中田さんの楽曲が昔からずっと好きなんです。中田さんがいるから音楽をやろうって思ったぐらい。中田ヤスタカさんって100%中田さんでできているから、そこにお邪魔したいなっていう気持ちはない。

    あー……でも今回はちょっと苦戦した瞬間がありました。この4年で私も変わったなぁって思うし、中田さんもちょっと変わってて。

    今まではスタジオで音を撮ったら「はい、OKです」って感じですごく速かったんです。中田さんはエフェクトを使うから正直、楽で。声を張ったりすることなく、ありのまま自分の声で歌わせてもらっている部分があるんですよ。

    ただ、自分がいいと思う理想と中田さんが思う理想が違う時ってあって。中田さんのモードが、ちょっと生声に寄ってきてる気がするんです。

    今回は『ちゃみ ちゃみ ちゃーみん』が苦戦した……「そこ、そんなに伸ばさなくても良い」「逆にここはもっと伸ばして」と訂正が入ることがありました。「こっちの方がいいんじゃないかな」と思いつつ、仕上がり聴くと、中田さんが言ってた方がはるかに良かったりして。やっぱり中田さんに身を任せるのが一番いいなと思いました。

    とはいえ、中田さんに頼り続けるのも良くない。両方考えは持ってます。今の私ができることだったら、「きゃりーぱみゅぱみゅ」としてのビジュアル部分……衣装やライブの演出、映像は「らしさ」を出したいと思ってます。

    上手く「イメージの共有」をチームでする方法


    ――ステージに立つだけではなく、他にどんなお仕事をされているんですか?

    ライブは最初にコンセプトを一人で考えます。箇条書きで何個か。例えば前回は「妖怪」と「見世物小屋」。調べていくうちに「見世物小屋」は表現の仕方が難しいことがわかって。実現可能性は、舞台演出の方にサポートしてもらっています。

    ――どうやってイメージ共有するんですか?

    髪形とか世界観とか参考になる写真をネットで集めて「良くない例」と「良い例」の2つをメールやLINEで共有してます。

    「こうしたい」よりも「こうはなりたくない」の方が、イメージのすり合わせが一発でいくんです。「レトロ」っていう切り口でも、雑誌によって雰囲気って全然違いますよね。同じレトロでも、コンサバっぽいのは違うな…みたいな。

    ライブツアー「星屑のCHERRY MARTINI」 / Via @kyarypappa / Instagram

    ――自分でコンセプトが上手く伝わらなかったときは、どうしてますか?

    言い方を気をつけてます。友だちとか親と喧嘩するのって「何、その言い方?」から入る。人と仲良しでいる秘訣って、言い方だと思うのですごく気を遣う。

    仕事なので、はっきり意見を言わなきゃいけないときもあります。そういうときはマネージャーさんに相談。全部一人で何かを動かそうとは思わない。

    もちろん、余裕がなかったり、むきになって意地悪なことを言っちゃうときってあるじゃないですか。私も本当にそうで。全く同じ文言なのに、ちょっとピリピリした時に言われるとイラッとしたり。

    例えば、スタッフの人に「きゃりーちゃん、太った?」って言われて、心に余裕がある時は「食べ過ぎちゃって〜。でも、そんなこと言わないでくださいよ〜」って返せる。でも余裕がないと「なんでそういうこと言うんですか」って思っちゃう。同じこと言われて、自分次第で返答が違うんですよね。これに気が付きました。

    「私は違うし」。イライラが減った理由

    ――何か大きなきっかけがあったんですか?

    普通に、スタッフさんに「今日機嫌悪くない?」って言われてハッとしたり(笑)。あと、美輪明宏さんや叶姉妹さんとか、レジェンド系の方と出会ってからかも。本当に人のことを悪く言わないんですよ。嫌なことがあったら、友だちとか誰かに愚痴って発散することも大事だけど、自分の中で解消できたら一番いいって思ったんです。

    ――愚痴。

    そうそう。デビュー当時……仲良しな子もいたんですけれど、同世代の子と話していても浮くというか……読者モデル出身で一気にパーンっと出させてもらったので、チクチク……「運だけは良いよねw」みたいな、ちょっといじわるな言葉。

    傷つきはしないけれど、気持ちよくはない。逆に自分も「私は違うから!」って思ってきた部分もあったんです。そういうとき、一番意気投合するのが歳上の人でした。みなさん、いろいろ経験しているから、私が悩んでいることも、困っていることも「若いから大丈夫」って肯定してくれる。そうすると「まだ、これからだな!」って前向きになれたんです。

    Yui Kashima / BuzzFeed

    ――逆に自分が嫉妬したことって?

    ちょっと違うんですけれど、Perfumeさん。私は、読者モデルからいきなり中田さんにプロデュースしてもらって、パッと出てきて。もともとPerfumeのみなさんのこと大好きでずっと聴いてきた身なんですけれど、普通の心理だと「うざいな」って思っちゃうと思うんです。でも全然そんなことない。ずっと昔から応援してくれるし、褒めてくれる。レジェンド級に優しくて、衝撃を受けました。

    そういう人たちに影響されて、嫌な人でも長所を見つけるようにしてからイライラが減りました。昔は、グイグイ話しかけてくる人がいると「図々しいな、うるさいな」と思っちゃってたんです。でも、思考を変えて「積極的で素敵」って思うようになった。前はすぐにイライラしてたんですけれどね(笑)。

    Yui Kashima / BuzzFeed

    ――歳下の人とは遊んだりしないのでしょうか?

    私はずっと歳上の方から刺激を受けてきたんですけれど、今は歳下の子から刺激を受けます。この前は、初めて藤田ニコルちゃんとごはん行ったりとか。

    仕事ぶりを聞いて「若いのになんて偉いんだ!」「私もまだまだできることいっぱいあるな」って元気をもらっています。

    私は歳上の人に散々ごちそうしてもらってきたので、「今度は、自分が何かをしてあげられたらな」って気持ちも芽生えてきました。『きみのみかた』ってまさにそういう歌詞なんですけれど(笑)。

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    『きみのみかた』 / Via youtube.com

    ――お姉さん的ポジションに……。戸惑ったりはしないんですか?

    姉的なアドバイスなんて何もできないし、話す時は基本的に同世代感覚……なんですけれど、自分が経験したからわかることもあって。例えば、「100%答えは出ているけど、本人が気づけていないこと」とか。

    ――どういうことでしょう?

    私の話でいうと、今まで仲良かった同業者の友だちが急に冷たくなる、とか。客観的に見ると「嫉妬」なんですけれど、自分でそれを気づきたくない部分もあって、もやもやしちゃう。

    そういう話を聞いたら、私も歳上の人たちにしてもらったように「それは嫉妬だと思う。でも、その子たちもお仕事頑張ってるし、それが自分の中で納得できる時が来たらまた仲良くなれるよね」って言ったりしてます。

    「大丈夫です」をやめようと思ってる

    ――ずっと走り続けてきてきたから今があると思うのですが、アイディアが枯渇しそうって思ったことはありますか?

    ツアーは年に1〜2回やり続けているし、アルバムを作ったり。正直、自分の中の引き出しを出しまくってるんです。アイディアの枯渇は、めちゃくちゃ自覚してました。「次、ツアーやるけどどうする?」って言われたら、悩んじゃいますからね。やりたいことはできてるけど、出すと昇華されちゃう。

    「好きなもの」が明確すぎて、興味のないことは一切触れてこなかったんです。これまでは、煮詰まったらすぐにディズニーへ行って最新のパレードを見てたんです。自分に近い世界観の中でアイディアを吸収していた。

    上海ディズニーにて。 / Via @kyarypappa / Instagram

    好きな音楽もかなり限定的だったので、誘ってもらっても「大丈夫です」って断ってきた。でも、これからはきっかけがあったら、どこかに行って作品を見てみたり勉強したり。興味のないことでも目を向けてみて、新しいものが生まれるかもしれないって思うようになりました。

    普段聴かない音楽を聴いて、「最高! 私もやりたい!」っていうアイディアが浮かぶかもしれない。「大丈夫です」を「大丈夫じゃなくしていく」っていうのを始めようかと思ってます。まだチャレンジ段階なんですけどね。

    ――どうして、そう思うようになったんですか?

    もっと頑張らないとっていう責任感は強くなったから。紅白とか、今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなってきたことがあって。ちゃんと活動をしていかないと出られない。テレビもラジオもみんなそう。

    この前、古くから付き合いのある男友達と電話したんです。普通に人気のある人なんですけれど、「ブレイクしたあとに一発屋になった気がした。だから、1年間ボイトレとダンスをハードに鍛え直して」って言い出して。今は、国民的行事とか、もっと幅広い層に向かっていっているんですよ。そうしたら「きゃりーはそのとき何してた?」って聞かれて。私、努力してないなって思ったんです。悔しかった。

    Yui Kashima / BuzzFeed

    もっと、上に行きたい。安定の「きゃりーちゃん」ではなくて、もっとドカン!と行きたくて、そのために引き出しを増やしたい。

    ――向上心の塊ですね。

    あ! 確かに! 楽しい。変わりましたね、私。