10日で100万食! くら寿司の禁じ手がバカ売れしている

    社内の意見「ただの刺し身じゃないのか」

    歴史が動いたな…と思った人も多いのではないでしょうか。回転寿司チェーンの「くら寿司」がシャリ抜きの寿司をうちだした日を。

    いや……確かに「糖質カット」はブームではあるんだけどさ。お寿司屋さんじゃないですか。その……いいのかなって思ったんです、このニュースを見た時。

    魂を売ってしまったの? 社内でハレーションはなかったの? 運営元の株式会社くらコーポレーション常務取締役・製造本部長の久宗裕行さんが舞台裏を明かしています。

    社内でも出た『それじゃただの刺身じゃないか』

    2015年からヘルシー志向のメニューを打ち出していたくら寿司。豆腐を使ったスイーツやこんにゃく製の麺などがありました。でも、大々的な糖質オフは今回が初めて。

    「シャリを使うのが当然の寿司から“糖質カット”するのは相反することですので。最初は『ネタを野菜にしよう』から始まりましたが、いざ糖質を調べるとそこまでは変化がない。やはりお米をなんとかしなければ、と悩むなかで、ふと出てきたのが大根の細切りでした」

    大根の細切り。それは「つま」では。社内でも「ただの刺し身じゃないか」という意見も出ました。

    このように反対の意見はあったものの、開発のヒントは、「罪悪感」にありました。シャリを食べない人を見て、「気持ちよく残しているふうには見えない」と考え、シャリカットに踏み切ったそうです。

    一貫、衝撃の糖質1.8グラム。24キロカロリー。

    シャリ野菜のえびは、糖質88%オフの1.8グラム(24キロカロリー)。ビントロは2.9グラム(35キロカロリー)しかありません。

    気になるお味はどうなんでしょうか。満足度が下がりそうな気もします。

    「私たちはシャリに信念を持っているので、お酢に関しては得意分野です。いろいろな引き出しの中から大根に最も合う合わせ酢を作りました。もちろん、お米に使用する酢とは違う独自のものです」

    大根は、「つま」よりもやや太め、短めに切って歯ごたえにあるものを採用。味付けは、醤油やゆず胡椒を加えた特製合わせ酢を使い、ネタとの相性を考えたそうです。

    お寿司ではない何かなんですけど……ネタが主張してくるので案外満足度が高い模様。普通にマヨ系のネタもあるのでおつまみ的に食べるとよさそう。

    麺なしラーメンは、「締め」としても人気でした。

    売れすぎて、大根が足りなくなりそうな勢い

    シャリなしのお寿司の他に、麺なしのラーメンなど全10種類のメニュー展開をもつ「糖質オフシリーズ」。禁じ手に手を出したと物議を醸しましたが、8月31日の発売から10日で100万食売り上げたそうです。

    「おかげさまで大反響です。私たちが想定する2倍ほど売れています。いつもは夏休みが終わるとお店の売り上げは少し落ち着くのですが、9月に入ってからむしろ勢いを増しています」

    久宗さんによると、あまりの人気で、大根の酢漬けが切迫している状況だそうです。「現在、増産を急いでいます」。