朝5時半に起き。お弁当を作って仕事場へ…蜷川実花が働く女子に送る言葉にグッとくる…

    中谷は女優として活躍し続け、2018年に結婚したばかり。20代の池田は女優だけでなく映画監督として新しいキャリアをスタートさせている。そんな2人が主演のドラマ『FOLLOWERS』 のメガホンをとるのは蜷川実花。3人が女性の生き方について語った。

    Netflixオリジナルシリーズ『FOLLOWERS』に出演する中谷美紀、池田エライザ、蜷川実花監督が「Netflix オリジナル作品祭」に登壇した。

    本作は、東京を舞台にリアルな女性の生活を描いたドラマだ。構想に6年かけた念願の作品で、90年代から最前線で活躍する上で培われた問題意識を注ぎ込んだという。蜷川は「自分をモデルにしたわけではない」と否定するが、中谷演じるリミは人気写真家という点もあり、想いの強さが伺える。

    蜷川は、写真家や映画監督だけでなく、2児を育てる母の顔も持つ。中谷は女優として活躍し続け、2018年に結婚したばかり。20代の池田は女優だけでなく映画監督として新しいキャリアをスタートさせている。

    そんな三者三様の女性たちは、現代をどう見るのか――。

    朝5時半に起き、朝ごはんを作って現場に入る監督

    「恋愛だけじゃなく、仕事をするのが本当に楽しい女性もいる。誰もが結婚したいわけではない。(恋愛か結婚かという)一方からしか描かれない女性像に違和感がありました。多様な女性像を描きたかった」と蜷川は制作意図を話す。

    『Followers』では30代〜40代で最前線で働くリミたちと、夢に向かって奔走する20代のなつめという2つの世界が描かれる。

    「20代の時、うまくいかないことが多くて、『どうして世界は私のことを見つけてくれないんだろう』とイライラして何もできない日々もありました。一方で大人になると、いろんなものが見えてきて、経験値を通して先に諦めてしまうことも増えてきた」(蜷川)

    発展途上でも、成熟しても、悩みは尽きることはない。その多様な葛藤や煌めきを描きたかったのだという。

    「女性にだけ言えることではありませんが、『こうでなければいけない』を疑うのが大事。自分にとって何が心地いいのか? 子どもを生みたい、生まない。どちらの選択も人生も素晴らしい」(蜷川)

    「とはいえ、現実には女性だからできないこともある。そこを少しでもいい方向にできるようにしたい。実際、私の生活はなかなかめちゃくちゃで、撮影をしていると子どもに会える時間も減ります。それでも、諦めないで挑戦するっていうことは大事なのかなと思います」(蜷川)

    蜷川とほぼ同時期から役者として活躍し続ける中谷もこう話す。

    「私自身、働く女性だからこと犠牲にしてきたこともたくさんあります。でも、過去を振り返ってみると、紫式部は平安時代に世界最長の小説を書いていたり、平塚雷鳥、与謝野晶子、闘ってきた先達が沢山いらっしゃっる。その方々のおかげで今の私たちがいる」

    「社会のせい、制度のせい……私もそう思いたくなってしまうときってあるんです。でも、その一方で、自ら選び取り開拓すればなんとかなるのでは。前向きに考えていきたいと思っています」(中谷)

    最後に自身の生き方を語ったのは池田だ。現在は、女優業と並列しながら、監督として映画制作に明け暮れる日々を送っている。「本打ち(シナリオの打ち合わせ)ってこんなに時間かかるなんて…」とこぼしながらも楽しそうだ。

    「制作現場では、お化粧なんてできないくらいバタバタしています。同じように人生の時間を分けあって、自分の意見を言い合ってひとつのモノを作る。私はそういう瞬間が、すごく平等に感じるし女性を跳ね上げる瞬間なのかなと思っています。性別を忘れてしまうほど没頭する。それが共通概念としてあればいいなと思います」

    池田の芯の強さは蜷川にも影響を与えており、『FOLLOWERS』の台本にも生かされているという。彼女が蜷川に話す言葉が、劇中に飛び交うのだ。

    「エライザは年齢も離れているのにすごくしっかりしていて、お姉さんみたいな時がある。彼女の言葉が私は好きなので、(池田が演じる)みのりの恋人の台詞になったりしているんだよね。エライザは自分の言葉に説教される構造になっていますが」(蜷川)

    『Followers』は、2020年に配信予定だ。