back to top

米中間選挙で上下院にねじれ 何が起きてどうなるのか5つのポイント

どのチャンネルも伝えている「米中間選挙」。それってそもそも、何なのでしょうか。どうして大切なのでしょうか。この記事一本で解説します。

1. そもそも中間選挙とは

「中間選挙」は、日本では聞き慣れない言葉だ。米国では、日本の衆議院にあたる下院(定数435)の任期は2年だ。また、参議院にあたる上院の任期6年で、上院の定数100のうち約3分の1を改選する選挙が、2年ごとに行われる。4年ごとの大統領選挙(前回は2016年)の中間年に行われる上下院選挙が、「中間選挙」と呼ばれる。法律で「11月の第1月曜日の次の火曜日」に行うと定められている。大統領のそれまでの2年間の行動に対する国民の評価が出るという意味でも、重要な選挙なのだ。なお、投開票が平日に行われる理由は、この法律が制定された19世紀、有権者の大多数を占めたキリスト教徒にとって、日曜は礼拝と安息の日だったからだ。
Jeff Kowalsky / Reuters

「中間選挙」は、日本では聞き慣れない言葉だ。

米国では、日本の衆議院にあたる下院(定数435)の任期は2年だ。また、参議院にあたる上院の任期6年で、上院の定数100のうち約3分の1を改選する選挙が、2年ごとに行われる。

4年ごとの大統領選挙(前回は2016年)の中間年に行われる上下院選挙が、「中間選挙」と呼ばれる。法律で「11月の第1月曜日の次の火曜日」に行うと定められている。

大統領のそれまでの2年間の行動に対する国民の評価が出るという意味でも、重要な選挙なのだ。

なお、投開票が平日に行われる理由は、この法律が制定された19世紀、有権者の大多数を占めたキリスト教徒にとって、日曜は礼拝と安息の日だったからだ。

2. 争点は「トランプ」

今回の選挙全体の争点は、トランプ政権の評価そのものといえる。AP通信が有権者11万5千人を対象に行った調査では、全体の3分の2が、トランプ氏への評価を示すために投票したと答えた。投票した人のうち4割はトランプ氏への批判を示すために投票し、およそ25%は賛意を示すために投票したという。政策面では、26%が「医療・健康問題を重視する」と答えた。それに次いだのは23%の移民問題で、経済は19%だった。米国ならではの社会問題として、銃規制を8%が重視すると答えた。
Carlos Barria / Reuters

今回の選挙全体の争点は、トランプ政権の評価そのものといえる。

AP通信が有権者11万5千人を対象に行った調査では、全体の3分の2が、トランプ氏への評価を示すために投票したと答えた。投票した人のうち4割はトランプ氏への批判を示すために投票し、およそ25%は賛意を示すために投票したという。

政策面では、26%が「医療・健康問題を重視する」と答えた。それに次いだのは23%の移民問題で、経済は19%だった。米国ならではの社会問題として、銃規制を8%が重視すると答えた。

3.どんな選挙戦が行われた?

トランプ氏が採ったのは、「対立」を際立たせる作戦だ。中米ホンジュラスなどから米国に向けて移民の集団が徒歩で北上を続けるなか、トランプ氏は警備のため米陸軍に出動を命令した。さらにメディアのインタビューで、米国生まれの人間には、親が米国民であるかどうかを問わず米国籍を与えるという規定を、大統領令を出して改める考えを示した。米国憲法は「米国生まれの人間は米国籍が保障される」と定めている。このため、もしトランプ氏が大統領令を出しても、裁判所にその効力を否定される可能性が高く、メディアを通じて保守層にアピールするための戦術と見られている。中南米系移民の犯罪者に焦点を当て「彼らを入国させたのは民主党だ」と批判し、「トランプ大統領と共和党はアメリカを再び安全にする!」とするビデオCMをテレビやTwitterなどで流した。CNNやNBC、さらに保守派のFOXも、このCMを「人種差別的」として放送を取りやめた。
Ueslei Marcelino / Reuters

トランプ氏が採ったのは、「対立」を際立たせる作戦だ。

中米ホンジュラスなどから米国に向けて移民の集団が徒歩で北上を続けるなか、トランプ氏は警備のため米陸軍に出動を命令した。

さらにメディアのインタビューで、米国生まれの人間には、親が米国民であるかどうかを問わず米国籍を与えるという規定を、大統領令を出して改める考えを示した。

米国憲法は「米国生まれの人間は米国籍が保障される」と定めている。このため、もしトランプ氏が大統領令を出しても、裁判所にその効力を否定される可能性が高く、メディアを通じて保守層にアピールするための戦術と見られている。

中南米系移民の犯罪者に焦点を当て「彼らを入国させたのは民主党だ」と批判し、「トランプ大統領と共和党はアメリカを再び安全にする!」とするビデオCMをテレビやTwitterなどで流した。

CNNやNBC、さらに保守派のFOXも、このCMを「人種差別的」として放送を取りやめた。

問題となったCMを紹介して共和党への投票を呼びかけるトランプ氏のツイート

It is outrageous what the Democrats are doing to our Country. Vote Republican now! https://t.co/0pWiwCHGbh

@realDonaldTrump / Via Twitter

4.史上最多の女性議員、イスラム教徒ー相次ぐ「初」

これに対し、野党の民主党はトランプ批判票の掘り起こしを狙った。トランプ氏の女性差別的な言動に反発した多くの女性が立候補したほか、LGBTやイスラム教徒といった多様性のある候補を擁立した。CNNによると、下院では女性の当選者数が96人を超え、史上最多となったという。選挙ではこのほかにも「史上初」が相次いだ。ミシガン州やミネソタ州では、イスラム教徒の女性が初めて下院議員となった。ニューメキシコ州とカンザス州の下院選でも、先住民の女性が初めて当選した。カンザス州で当選したシャリース・デイビズ氏はレズビアンでもある。ニューヨーク州では、史上最年少の29歳の下院議員が誕生した。アレクサンドリア・オカシオコルテスさんだ(=写真)。母親はプエルトリコ移民で、本人もスペイン語を話す。1年前まではレストランでウエイトレスとして働いていた。民主党内で候補者を決める予備選挙でベテラン議員を破って注目を浴び、日本でも11月から公開が始まったマイケル・ムーア監督の映画「華氏119」でも取り上げられた。その勢いで下院選でも勝利した。
Andrew Kelly / Reuters

これに対し、野党の民主党はトランプ批判票の掘り起こしを狙った。

トランプ氏の女性差別的な言動に反発した多くの女性が立候補したほか、LGBTやイスラム教徒といった多様性のある候補を擁立した。

CNNによると、下院では女性の当選者数が96人を超え、史上最多となったという。

選挙ではこのほかにも「史上初」が相次いだ。

ミシガン州やミネソタ州では、イスラム教徒の女性が初めて下院議員となった。

ニューメキシコ州とカンザス州の下院選でも、先住民の女性が初めて当選した。カンザス州で当選したシャリース・デイビズ氏はレズビアンでもある。

ニューヨーク州では、史上最年少の29歳の下院議員が誕生した。アレクサンドリア・オカシオコルテスさんだ(=写真)。

母親はプエルトリコ移民で、本人もスペイン語を話す。1年前まではレストランでウエイトレスとして働いていた。

民主党内で候補者を決める予備選挙でベテラン議員を破って注目を浴び、日本でも11月から公開が始まったマイケル・ムーア監督の映画「華氏119」でも取り上げられた。その勢いで下院選でも勝利した。

5. 結果は上院と下院の「ねじれ」〜日本への影響は

上院では、トランプ氏を支える与党の共和党が過半数を維持した。歌手のテイラー・スウィフトさんが故郷テネシー州で民主党候補への投票を呼びかけたが、共和党候補が逃げ切って勝利した。一方で下院では、民主党が過半数を奪い返した。これまでは、上下院とも共和党が過半数で、トランプ氏の意向がほぼそのまま通る状態だった。だが、これからの2年間は下院で民主党の抵抗に遭い、スムーズな政権運営はできなくなる。とはいえ、米国で「ねじれ」そのものは珍しいことではない。前オバマ政権(民主党)でも2008年の政権発足時は上下院とも民主党が過半数を占め、「オバマケア」と呼ばれた医療保険制度の法案などが可決された。しかし、2010年の中間選挙で下院で共和党が過半数を占めるねじれが起き、各種法案の成立は難しくなった。トランプ氏は「敵」を見定めて叩くことで支持を伸ばすやり方を続けてきた。法案を通すことが難しくなったことから、2年後の大統領選に向けて民主党バッシングや移民批判などを強め、支持層の結束をさらに図ることになりそうだ。トランプ政権が中国などに仕掛ける「貿易戦争」も続きそうだ。その流れの中で、日本に対しても貿易赤字の削減やさらなる防衛装備品の購入などの要求を強めてくる可能性がある。
Carlos Barria / Reuters

上院では、トランプ氏を支える与党の共和党が過半数を維持した。歌手のテイラー・スウィフトさんが故郷テネシー州で民主党候補への投票を呼びかけたが、共和党候補が逃げ切って勝利した。

一方で下院では、民主党が過半数を奪い返した。

これまでは、上下院とも共和党が過半数で、トランプ氏の意向がほぼそのまま通る状態だった。だが、これからの2年間は下院で民主党の抵抗に遭い、スムーズな政権運営はできなくなる。

とはいえ、米国で「ねじれ」そのものは珍しいことではない。

前オバマ政権(民主党)でも2008年の政権発足時は上下院とも民主党が過半数を占め、「オバマケア」と呼ばれた医療保険制度の法案などが可決された。しかし、2010年の中間選挙で下院で共和党が過半数を占めるねじれが起き、各種法案の成立は難しくなった。

トランプ氏は「敵」を見定めて叩くことで支持を伸ばすやり方を続けてきた。法案を通すことが難しくなったことから、2年後の大統領選に向けて民主党バッシングや移民批判などを強め、支持層の結束をさらに図ることになりそうだ。

トランプ政権が中国などに仕掛ける「貿易戦争」も続きそうだ。

その流れの中で、日本に対しても貿易赤字の削減やさらなる防衛装備品の購入などの要求を強めてくる可能性がある。

Yoshihiro Kandoに連絡する メールアドレス:yoshihiro.kando@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.