ロシアのプーチン大統領がウクライナでの「特別な軍事作戦」の発動を発表した2月24日(日本時間)、ニューヨークの国連本部ではウクライナ情勢を協議する国連安全保障理事会が開かれていた。
そのさなかに出た事実上の宣戦布告に、ウクライナの国連大使が、安保理議長でもあるロシアの大使に「おたくの大統領が48分前に戦争を宣言した。スマホで外相に電話して確認してみろ」と迫る場面があった。
国連事務総長「プーチン大統領、攻撃を止めて」
この日の安保理会合ではグテーレス国連事務総長(元ポルトガル首相)が冒頭、発言を求めた。事務総長は手元に原稿を準備せず異例の即興で語った。
「私はいままで様々なうわさから攻撃が近いと言われても、信じなかった。しかし、私は間違っていた」
「心の底から言いたいことが一つだけあります。プーチン大統領、あなたの部隊がウクライナを攻撃するのを止めてください。平和にチャンスを。すでに多すぎる命が失われているのです」
ウクライナ東部ではもともと、2014年から紛争が続いている。
グテーレス事務総長のスピーチ
Tonight, I have only one thing to say, from the bottom of my heart: President Putin, stop your troops from attacking Ukraine. Give peace a chance. Too many people have already died.
ロシアの大使「ジェノサイドから人々を守る介入」
この発言を「国連事務総長、ありがとうございました」と引き取ったのは、安保理議長国ロシアのネベンジャ国連大使だった。
ネベンジャ氏は、自国の立場をこう説明した。
「ロシアのプーチン大統領はドンバス(ウクライナ東部)での特別軍事作戦を発表した。これはウクライナの占領を目指すのではなく、8年間ジェノサイドに苦しんできた人々を保護するためのものだ」
そして「では、私は議長の職責に戻ります」と語った。
「スマホで外相に聞いてみろ」怒りのウクライナ大使
次に発言したのは、ウクライナのキスリツァ国連大使だった。
「3分前に、ロシア大使は大統領が私の国に対して宣戦を布告したことを確認しました」
「1時間前この場所に来る時、私はロシアの大使にロシア軍はウクライナを攻撃しないことを確認しようと思っていました。しかしそれは無駄に終わりました。48分前に、あなたの大統領がウクライナに宣戦布告したからです。だからロシア大使に今この瞬間、オンレコで伺いたい。ロシアの部隊がウクライナを爆撃しないこと、ウクライナ領に立ち入らないことを」
「スマートフォンをお持ちですよね。今すぐラブロフ(ロシア外相)に尋ねてください。会議を中断して外で話してきてもらってもいいですよ」
キスリツァ大使は自分のスマホを手に取り、続けた。
「(プーチン)大統領のビデオを今流しましょうか? ご自身で確認できますよ」
キスリツァ氏はマイクのボタンに手を伸ばして何かを言いかけたロシアのネベンジャ大使と「邪魔しないでいただきたい」「なら私に質問しないでほしい」とやり合い、話を続けた。
「いずれにせよ、ロシアは宣戦を布告した。戦争を止めるのは安保理の責任です。だからみなさんに戦争を止めるためのあらゆる手段を執っていただきたい。それとも私が大統領の宣戦布告ビデオをここで流すべきか。ありがとうございました」
ネベンジャ氏は、こう弁明した。「ウクライナ代表の方、ご発言とご質問ありがとうございました。これは戦争ではなく、ドンバス地域における特別軍事作戦と呼ばれています」
