前川氏講演を文科省が問い合わせた背景に二人の議員。どんな経緯なのか

    前川喜平・前文科次官の講演を巡り文科省に問い合わせたのは、自民党の赤池誠章参院議員と池田佳隆衆院議員だった。どんな経緯なのか。

    前川喜平・前文科事務次官が名古屋市内の市立中学校で、「これからの日本を創るみなさんへのエール」と題して講演したのは、2月16日のことだった。全学年の生徒と保護者だけでなく、地域住民も集まったという。

    これを知った文科省は3月1日、「前川氏は天下り問題で辞職し、在任中に出会い系バーの店を利用しているが、どのような判断で依頼したのか具体的かつ詳細にご教示を」などと尋ねる15項目のメールを名古屋市教委に送り、さらに録音データの提出を求めた。

    15項目のメール

    市教委が「(天下り問題や出会い系バーを巡る経緯が)障害になるとは考えなかった」と回答すると、文科省は「非違行為を理由として停職相当とされたこと校長は認識していたのか」「道徳教育を行う学校の授業で行ったことへの校長の見解を改めて示してほしい」というメールを改めて送ってきた。

    この問題が表面化すると、野党は「教育現場への不当な介入の疑いが強い」と反発。教育関係者からも批判があがり、政治問題となった。

    文科相が会見

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    文部科学省 / Via YouTube

    林文科相の会見(3月20日)

    3月20日に会見した林芳正文科相によると、まず赤池誠章参院議員から2月17日に文科省幹部に対して「確認してはどうか」と問い合わせがあり、池田佳隆衆院議員も19日に問い合わせてきたという。

    赤池、池田両氏はともに自民党文部科学部会に所属しており、教育行政とのつながりは深い。

    文科省の担当者が3月1日に名古屋市教委にメールを送る際は、事前に池田氏に質問項目を見せ、その意見を受けて内容を修正したという。

    赤池氏は20日、池田氏とともに文科省に照会したことを認め、「法令違反をした人が教壇に立って良いのか事実確認した。文科省への圧力には当たらない」と語った

    同じ「清和会」

    前川氏の講演について文科省に問い合わせた二人は、どんな活動をしてきた議員なのか。

    ホームページによると、赤池氏は大学卒業後、松下政経塾に入った。

    2005年に山梨1区から自民党公認で立候補し、比例区で復活当選。次の選挙では落選し、今度は2013年に参院比例区で立候補して当選した。

    自民党での所属派閥は安倍晋三首相と同じ清和政策研究会。 保守団体「日本会議」に所属し、議員の勉強会「伝統と創造の会」の事務局長を務めるなど、保守色の強い活動を続けてきた。

    2015年12月3日付のブログでは、ちびまる子ちゃんをあしらい「友達に国境はなーい!」というコピーをつけた文科省のポスターについて

    思わず仰け反りそうになりました。同省政務官時代に、国家公務員として、それも国家の継続を担う文科行政を担う矜持を持て。国際社会とは国家間の国益を巡る戦いの場であり、地球市民、世界市民のコスモポリタンでは通用しないと機会あるごとに言ってきたのに

    と記し、文科省の担当課に連絡して「猛省を促した」としている。

    池田氏は比例区東海ブロック選出の衆院議員で、3期目。2017年の総選挙では愛知3区から自民党公認で立候補し、比例区で復活当選した。池田氏も清和会に所属している。

    池田氏はホームページで日本青年会議所(JC)会頭だった2006年、北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に向け発射した時のこととしてこう記し、立候補を決める背景に、安倍氏への傾倒があったことを示している。

    私はたまたま安倍晋三総理(当時官房長官)と面会しており、総理に『日本は大丈夫ですよね?』と聞くと、総理は『安心してください。日本は私たちが必ず守ります』とおっしゃいました。まだ政治家ではなかった私は、この言葉に、国民の生命を守ることは政治家の使命なんだと強く感じました。

    「不当な支配」?

    この問題が注目された理由は、二人の政治家と文科省の行動が、教育基本法が定める「教育は不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われる」との規定に反しているのではないか、という点にある。

    また前川氏は2017年5月、加計学園の獣医学部新設を巡る問題で「総理のご意向」と書かれた文書が実在することを証言し、注目を浴びた。一方で読売新聞に「次官在職中に出会い系バー通い」と報じられた経緯がある。

    このため「政権に逆らう者の言動を抑えつけようとしたのでは」との見方も、一部で持たれている。

    一方で前川氏は19日、「このような個別の学校の授業内容に対する国の直接的な介入は極めて異例であり、教育基本法が禁じる『不当な支配』に当たる可能性が高い。文科省に外部から何らかの強い政治的な働きかけがあったのだと思う」とのコメントを出している。

    BuzzFeed JapanNews