新潮社が新潮45の休刊を発表 杉田氏とLGBTを巡る論文で批判が相次ぐ

    新潮社が「新潮45」の休刊を発表した。杉田水脈衆院議員とLGBTを巡る問題で批判が相次いでいた。

    新潮社は9月25日、月刊誌「新潮45」の休刊を発表した。部数が低迷したうえ企画の厳密な吟味や原稿チェックがおろそかになり、杉田水脈衆院議員を擁護した特集で、LGBTに対する「偏見と認識不足に満ちた表現」を用いたことなどから、休刊を決めたという。

    新潮45は7月18日発売の8月号で、自民党の杉田水脈衆議院議員が寄稿して「(LGBTは)子供を作らない、つまり『生産性』がない」などと持論を展開。LGBT当事者をはじめ幅広い層から批判の声が広がった。

    さらに9月18日発売の10月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題し、杉田氏を擁護する特集を掲載。そのなかで文芸評論家の小川榮太郞氏が、LGBTに対して一般的に使われる「性的指向」ではなく、性に関する好みや趣味といった意味を持つ「性的嗜好」という言葉を使ったり、LGBTの権利と痴漢の「触る権利」を比較対象にしたりしたことなどに対し、批判がさらに集まった。

    10月号を受け、新潮社の書籍の販売自粛を発表する書店や、新潮社への寄稿の中止を表明する作家も出た。ネット上では25日夜に新潮社を包囲しようという呼びかけも出ていた。

    新潮社は9月21日に佐藤隆信社長によるコメントを出したが、批判は止まず、休刊に至った。

    新潮社の発表は以下の通り。


    弊社発行の「新潮45」は1985年の創刊以来、手記、日記、伝記などのノンフィクションや多様なオピニオンを掲載する総合月刊誌として、言論活動を続けてまいりました。

    しかしここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません。その結果、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」(9月21日の社長声明)を掲載してしまいました。このような事態を招いたことについてお詫び致します。

    会社として十分な編集体制を整備しないまま「新潮45」の刊行を続けてきたことに対して、深い反省の思いを込めて、このたび休刊を決断しました。

    これまでご支援・ご協力いただいた読者や関係者の方々には感謝の気持ちと、申し訳ないという思いしかありません。

    今後は社内の編集体制をいま一度見直し、信頼に値する出版活動をしていく所存です。