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2018年の難民認定も申請の1%に届かず 支援団体は「不十分」

法務省が発表した2018年の難民申請を巡る状況で、申請者は半減し、認定者は増えたものの、認められたのは全体の1%に満たない状況が続いた。

法務省は3月27日、2018年の難民認定申請者数など状況を発表した。難民認定申請者は1万493人で、過去最高に達した2017年に比べると47%減となった。申請者数が前年に比べて減少したの8年ぶりだ。

一方、難民と認定されたのは42人で、22人増えた。

難民認定申請者の国籍別内訳

法務省 / Via moj.go.jp

難民申請をした人を国籍別に見ると、最も多いのはネパールの1713人。次いでスリランカ、カンボジア、フィリピンの順だった。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した世界の難民申請者数上位は、アフガニスタン、イラク、シリア、ベネズエラ、コンゴ民主共和国。この5ヵ国で世界の難民申請の3割を占める。

法務省は、日本ではこの5ヵ国からの申請は計50人に留まっているとし、「我が国での申請者の多くが、大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国々からの申請」としている。

難民認定は42人

2018年に日本で難民と認定されたのは、無国籍を含む計11国籍の42人。前年よりも22人増えた。内訳は以下の通りだ。

  • コンゴ民主共和国 13
  • イエメン、エチオピア 各5
  • アフガニスタン、中国 各4
  • イラン、シリア 各3
  • ウガンダ、エリトリア、コロンビア、ブルンジ、無国籍 各1


最も多い13人が難民に認定されたコンゴ民主共和国では、政情不安や部族対立、武装勢力による鉱物など天然資源の奪い合いなどが続き、女性に対する激しい性暴力などが世界的な問題となっている。

コンゴ産のレアメタルは、スマートフォンなどハイテク機器の製造に欠かせない。一見遠い国の混乱のように思えるが、日本の人々の日常生活にも、コンゴ情勢は深く関係しているのだ。

こうした状況から、性暴力の被害を受けた女性の治療や保護を続けるコンゴの婦人科医デニ・ムクウェゲ氏が、2018年のノーベル平和賞を受賞している。

日本では、これまでもクルド系トルコ人の難民申請を認めてこなかったが、2018年も認定者はいなかった。

AFP=時事

難民支援協会が2018年3月に開いた、難民への就職支援フェア

在留特別許可は40人

各種の保護施策がある「難民」とは認定しなかったものの、帰国させるには人道的な問題があるとして法相の裁量で認める「在留特別許可」に、40人が認められた。昨年よりも5人減った。このうち、「本国情勢」を理由とした在留特別許可は16人で、国別に見ると以下の通りだ。

  • パキスタン 4
  • イラク 3
  • イエメン、シリア、中国 各2
  • エジプト、ソマリア、ミャンマー 各1


結果として、日本政府が国内での在留を認めたのは合計で82人となった。

支援団体「依然として不十分」

難民支援協会など複数の関係団体がこの日、声明を出した。

難民支援協会は「前年よりも多くの人が難民として認定されたことについては歓迎したい。しかし、昨年度72か国の637人からの相談を受けた当会の経験に基づくと、2018年の難民認定数は依然として十分なものとは言えない」という。

そのうえで「日本の難民認定制度には、難民保護の観点から重要な課題があり、それが不十分な認定数の原因になっている。法務省自らが定めた適切な保護のための取り組みの推進と、申請中の最低限の生活保障を含めた制度改善を改めて求めたい」としている。

難民問題に取り組む弁護士らでつくる全国難民弁護団連絡会議も声明を出した。

「2018年度の庇護率(認定数と不認定数の和に占める庇護数の比率)は、UNHCR報告書において唯一名指しで日本が批判された2017年と同様に、1パーセントを下回ることになった」と指摘。

申請者数が減ったことについては、法務省が2018年に行った制度運用の見直しで申請のハードルが上がったことから、「在留制限や就労制限で難民申請をしようとする人が萎縮し、収容などの不利益を避けるために申請を取り下げざるを得ない状況に直面することを危惧していた」という。

そのうえで「認定者数の増加にもかかわらず、真に庇護を必要としている者を犠牲にしても、濫用防止を理由に難民認定申請者の取締りを優先するという法務省入国管理局の姿勢は依然として変わっていない」

「難民条約の前文で述べられているような人間の基本的な権利や自由を保護するという姿勢は、残念ながら見られなかった」とした。


Contact Kando, Yoshihiro at yoshihiro.kando@buzzfeed.com.

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