10連休、水道民営化、そして外国人労働者 この国会で決まったことで暮らしはどう変わる?
10日に閉会した国会で、日本社会のあり方を変える可能性がある法案がいくつも可決された。何が起きるのか。
10日までの臨時国会で、いくつもの重要な法案が可決された。
参議院法務委員会で、出入国管理法改正案の採決をする横山信一委員長(中央下)=12月8日未明
1.外国人労働者の受け入れ拡大(←出入国管理法改正)
これまで「単純労働者は受け入れない」としてきた日本の入管政策を根本から変えることになる法改正だ。
建設業や農業、介護、そして外食産業など14の業種で、2019年度から5年間で最大34万人の外国人労働者を受け入れることになる。
日本にはすでに127万人の外国人労働者がいるが、少子高齢化が原因の人手不足がこれから深刻になることが予想されるなか、産業の外国人への依存を深めていくことになる。
いまも都市部の飲食店では外国人が働く姿があるが、その多くは留学生の「アルバイト(労働は週28時間まで)」だった。
今度は「労働者」として、フルタイムで働く人が増えることになる。農業や漁業、そして介護の現場でも、外国人が進出することになる。
安倍首相は「いわゆる移民政策ではない」「外国人は日本人と同程度以上の待遇になる」と繰り返している。しかし、国際的には「定住国を変更した人々を国際移民とみなす」「1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼ぶ」というのが一般的な移民に関する理解であり、国際的には通用しない。
安倍政権を支える保守層の多くが移民に反対しているため、そこに配慮して言葉を選んだというのが実態に近い。
衆参両院の審議時間が計38時間というハイスピードで採決された背景には、新制度の詳細の大部分を、国会での承認が必要な「法案」ではなく、内閣が決めて出す「政令」や、省庁の一存で決めることができる「省令」で定めるとしていることがある。
実際にどういう制度になるかは、これから2019年4月までに政府・与党や担当省庁が詰めていくことになる。
一方、審議の過程で、最低賃金に違反する低賃金で働かされたことなどによる外国人の技能実習生の失踪が相次ぎ、3年間で事故や自殺で69人が死亡していることなどが明らかになった。
技能実習生はすでに、事実上の「単純労働受け入れ枠」として機能している。
実習生制度が抱える問題点が浮き彫りとなったことで、来年度以降から入ってくる外国人労働者の権利がきちんと守られるのか、日本人を含めた賃金の切り下げにつながるのではないかといった点が懸念されている。
2.水道の民営化も導入
水道はこれまで、公設公営が原則だったが、その運営を民営化することを可能にする。あわせて、これまで市町村単位で運営されることが多かった水道の広域連携を進めていく。
その理由を厚生労働省は、人口減少に伴う水の需要の減少と施設の老朽化等に対応し、水道の基盤の強化を図るため、としている。
一方、フランス・パリなどでは民営化後に水道料金が上がり、再び公営に戻されたりしている。
地域ごとに割れる対応
宮城県は積極的だ。
今後20年で上下水道と工業用水の補修と管理に約2000億円が必要になり、一方で人口減や節水で収入が減り、運営が成り立たなくなる可能性があるとして、上下水道を一体で長期の運営委託を行いたい、としている。
大阪市も民営化を検討している。
一方で神戸市の久元喜造市長は市議会で、採用しない方針を示した。「優秀な職員が事業を支え、経験やノウハウが継承されてきた。現方式の維持が大切」としている。
3.来年のゴールデンウイークは10連休に
「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案」も可決された。
来年4月30日、天皇が退位され、5月1日に次の天皇が即位される。
これに伴い、5月1日と、「即位礼正殿の儀」が行われる5月22日を休日にする法案だ。
5月1日が休日になれば、4月29日(昭和の日)と挟まれる4月30日も、「祝日に挟まれた日を休日にする」という祝日法の規定で休みとなる。同様に憲法記念日を翌日に控えた5月2日も休みになる。
これで、4月27日から5月6日まで、10連休となる。
歓迎の声が広がる一方で、連休中の医療機関や金融機関の営業、ゴミの処理などを懸念する声も出ている。
4.漁場を企業にも開放することに
島国・日本の食を支えてきた漁業では、70年ぶりの大きな変化が起きる。
漁業では、その水域で特定の水産物を採ることができる権利=漁業権が設定されている。漁業権は、地元の漁協や漁師に優先的に割り当てられてきた。
これを企業にも開放し、後継者不足で悩む水域や養殖事業などの活性化につなげるのが、水産改革関連法案の狙いだ。
一方、地元の小規模な漁協よりも、大きな漁獲高が見込める企業を優先して漁業権が割り当てられたり、思ったほど採算が取れないと判断して企業がすぐ撤退してしまったりする可能性もある。
漁業が盛んな地域の多くでは、すでに外国人の実習生に頼る構図ができている。そこに加え、入管法改正で外国人が労働者として漁業で働くことも認められることになる。
日本の海辺の光景は、大きく変わるかもしれない。
