back to top

北朝鮮の核兵器はどうなる 和平は来るの? 南北首脳会談、報道を比べてみると

韓国の文在寅大統領が平壌を訪問し、南北首脳会談が開かれた。その結果をどうみるべきなのか。

ともに建国70周年を迎える韓国と北朝鮮が、今年で3回目の首脳会談を平壌で行った。戦争の危険の除去と敵対関係の解消などをうたう共同宣言に9月19日、署名した。

南北共同宣言の主なポイント* 北朝鮮は東倉里のミサイルエンジン実験場とミサイル発射台を専門家の監視下で永久廃棄* 北朝鮮は米国が相応の措置を取れば、寧辺の核施設を廃棄* 金正恩氏が近くソウルを訪問* 南北は軍事共同委員会を稼働させ、武力衝突防止のため協議* 南北は2032年の夏季五輪の共催誘致に向け協力* 年内に南北間を結ぶ鉄道と道路の着工式を行う
Kcna / Reuters

南北共同宣言の主なポイント

* 北朝鮮は東倉里のミサイルエンジン実験場とミサイル発射台を専門家の監視下で永久廃棄

* 北朝鮮は米国が相応の措置を取れば、寧辺の核施設を廃棄

* 金正恩氏が近くソウルを訪問

* 南北は軍事共同委員会を稼働させ、武力衝突防止のため協議

* 南北は2032年の夏季五輪の共催誘致に向け協力

* 年内に南北間を結ぶ鉄道と道路の着工式を行う

それでは、これは北朝鮮の核兵器廃絶につながるのか。各紙の見方を比べてみよう。

Yoshihiro Kando/BuzzFeed

最も懐疑的なのは「うんざりする」という言葉も使った産経新聞。

産経の社説は南北会談での核廃棄の進展について「進展があったとは、とても言えない。度を越えた友好の演出にうんざりする思いである」とばっさり切り捨てた。というのも「共同声明は、たしかに核関連施設が集まる北西部・寧辺の核施設の廃棄など、追加措置を取る用意に言及したが、『米国次第』という条件付きだ。実質に乏しく米朝交渉へのはずみとはなるまい」さらに、「文氏は独裁者と並んで歓声を浴びる光景を異様と感じなかったのだろうか」「米朝交渉の『仲介役』を自任する文氏が、金氏擁護の態度を取ることが、非核化を遠のけている」と、金正恩氏を対等で交渉可能な相手と考える文在寅氏の態度そのものに問題があると指摘し、北朝鮮制裁の強化を求めた。
Yoshihiro Kando/BuzzFeed

産経の社説は南北会談での核廃棄の進展について「進展があったとは、とても言えない。度を越えた友好の演出にうんざりする思いである」とばっさり切り捨てた。

というのも「共同声明は、たしかに核関連施設が集まる北西部・寧辺の核施設の廃棄など、追加措置を取る用意に言及したが、『米国次第』という条件付きだ。実質に乏しく米朝交渉へのはずみとはなるまい」

さらに、「文氏は独裁者と並んで歓声を浴びる光景を異様と感じなかったのだろうか」

「米朝交渉の『仲介役』を自任する文氏が、金氏擁護の態度を取ることが、非核化を遠のけている」と、金正恩氏を対等で交渉可能な相手と考える文在寅氏の態度そのものに問題があると指摘し、北朝鮮制裁の強化を求めた。

「トランプが出てくる前に米朝実務者で話を詰めよ」と読売

読売新聞は、なぜ非核化の進展があったと見るのは早計かと言う点を軸に社説をまとめている。・東倉里のミサイル発射台とエンジン実験場の廃棄は、すでに着手済みで、関係国の専門家が立ち会うことを認めたに過ぎない・寧辺の核施設の恒久的な廃棄には「米国が相応の措置をとる」との前提条件を付けたという点から、「核兵器を温存したまま、非核化の措置を小出しにして、米国から体制保証などの見返りを引き出そうとする戦術に変わりはない」としている。一方で気がかりだとしているのは、トランプ米大統領の言動だ。「南北首脳会談の結果を手放しで評価しているのは気がかりだ」「非核化の停滞の一因は、6月の米朝首脳会談の合意が曖昧だったことにある。再会談を拙速に行えば、同じ轍を踏みかねない」としたうえで、「実務者による緻密な米朝交渉が不可欠だ」と、トランプ氏の大雑把な「ディール」ではなく、外交官や官僚、軍事専門家などによる細かい交渉を先行させるべきだと主張した。
Yoshihiro Kando/BuzzFeed

読売新聞は、なぜ非核化の進展があったと見るのは早計かと言う点を軸に社説をまとめている。

・東倉里のミサイル発射台とエンジン実験場の廃棄は、すでに着手済みで、関係国の専門家が立ち会うことを認めたに過ぎない

・寧辺の核施設の恒久的な廃棄には「米国が相応の措置をとる」との前提条件を付けた

という点から、「核兵器を温存したまま、非核化の措置を小出しにして、米国から体制保証などの見返りを引き出そうとする戦術に変わりはない」としている。

一方で気がかりだとしているのは、トランプ米大統領の言動だ。

「南北首脳会談の結果を手放しで評価しているのは気がかりだ」

「非核化の停滞の一因は、6月の米朝首脳会談の合意が曖昧だったことにある。再会談を拙速に行えば、同じ轍を踏みかねない」としたうえで、

「実務者による緻密な米朝交渉が不可欠だ」と、トランプ氏の大雑把な「ディール」ではなく、外交官や官僚、軍事専門家などによる細かい交渉を先行させるべきだと主張した。

朝日は「かつてと隔世の感」「米朝歩み寄りを」

朝日新聞は冒頭で「全く新しい関係が切り開かれつつある。きのうの首脳会談は、それを如実に印象づけた」「わずか5カ月の間に3回目の会談。南北が対立の歴史を乗り越え、和解を深めることは歓迎すべきことだ」と書き出した。そして、文氏が朝鮮労働党庁舎に招き入れられたことに、「かつて韓国を『米国の傀儡』として相手にしなかったことを考えると隔世の感」と、歴史を踏まえて感慨してみせた。立て続けに会談を行う文氏の意図を「南北融和をバネに米朝間の仲介をめざしている」「その努力は続けてもらいたいが『伝言外交』にはおのずと限界がある」として、「根本的な核問題の解決のためには、米朝が正面から向き合わねば始まらない」と米朝の直接交渉を求めた。米朝双方に「相手に先に求める行動をめぐり互いに譲らない。この現況を解きほぐすには、直接対話を重ねるほかない」とし、トランプ米大統領にも「共同宣言を『すばらしい』とツイートしたが、単なる賛辞で済ませてはならない。非核化と地域の安定のために、腰を据えた外交交渉を指揮すべきである」と行動を求めた。
Yoshihiro Kando/BuzzFeed

朝日新聞は冒頭で「全く新しい関係が切り開かれつつある。きのうの首脳会談は、それを如実に印象づけた」「わずか5カ月の間に3回目の会談。南北が対立の歴史を乗り越え、和解を深めることは歓迎すべきことだ」と書き出した。

そして、文氏が朝鮮労働党庁舎に招き入れられたことに、「かつて韓国を『米国の傀儡』として相手にしなかったことを考えると隔世の感」と、歴史を踏まえて感慨してみせた。

立て続けに会談を行う文氏の意図を「南北融和をバネに米朝間の仲介をめざしている」「その努力は続けてもらいたいが『伝言外交』にはおのずと限界がある」として、「根本的な核問題の解決のためには、米朝が正面から向き合わねば始まらない」と米朝の直接交渉を求めた。

米朝双方に「相手に先に求める行動をめぐり互いに譲らない。この現況を解きほぐすには、直接対話を重ねるほかない」とし、トランプ米大統領にも「共同宣言を『すばらしい』とツイートしたが、単なる賛辞で済ませてはならない。非核化と地域の安定のために、腰を据えた外交交渉を指揮すべきである」と行動を求めた。

毎日は「会談の背景に南北双方の国内向け思惑」

毎日新聞は「国際社会の声に耳を傾けようとしたなら、一歩前進だ。トランプ米大統領は早速、合意を評価している」としたうえで、「しかし、これで米朝協議が大きく進展すると考えるのは早計」と切り込んだ。そのうえで「北朝鮮の非核化で大きな成果が望めない中、文大統領が今回平壌を訪れたのは、南北がお互いを必要とする事情があったからだろう」と読み解く。「北朝鮮は、米中間の貿易摩擦のあおりを受け、最近では中国からの全面的な後押しを受けるのが難しくなっている」「韓国では経済対策が不十分だとして世論の支持離れが起きており、南北関係の改善をテコに反転攻勢に出る思惑があった」南北双方の指導者にとって、重要なのは会談の成果でなかった。いずれも国内や周辺国との関係において、政治的に対話ムードを作り出す必要があったから会談した、という指摘だ。
Yoshihiro Kando/BuzzFeed

毎日新聞は「国際社会の声に耳を傾けようとしたなら、一歩前進だ。トランプ米大統領は早速、合意を評価している」としたうえで、「しかし、これで米朝協議が大きく進展すると考えるのは早計」と切り込んだ。

そのうえで「北朝鮮の非核化で大きな成果が望めない中、文大統領が今回平壌を訪れたのは、南北がお互いを必要とする事情があったからだろう」と読み解く。

「北朝鮮は、米中間の貿易摩擦のあおりを受け、最近では中国からの全面的な後押しを受けるのが難しくなっている」

「韓国では経済対策が不十分だとして世論の支持離れが起きており、南北関係の改善をテコに反転攻勢に出る思惑があった」

南北双方の指導者にとって、重要なのは会談の成果でなかった。いずれも国内や周辺国との関係において、政治的に対話ムードを作り出す必要があったから会談した、という指摘だ。

日経「日米韓の連携を」

日経新聞は「平和ムードを高めてトランプ米大統領をつなぎ留める意図がみえる」と北朝鮮側の意図を分析する。そのうえで「警戒すべきは、『完全な非核化』をめざすとした4月の板門店宣言から5カ月近くがたっても北朝鮮が核・ミサイルを手放そうとしないこと」「半島に脅威が残り、北朝鮮への経済制裁を続けている現状では、終戦宣言を先行させるのは望ましくない」とした。米朝両首脳の再会談が、早ければ年内にもありうる情勢だ。そこで「トップダウン方式は日本を射程に収める弾道ミサイル問題など日本の懸案が置き去りにされかねない危うさもはらむ。日米韓の協調が欠かせない」と危機感を示した。
Yoshihiro Kando/BuzzFeed

日経新聞は「平和ムードを高めてトランプ米大統領をつなぎ留める意図がみえる」と北朝鮮側の意図を分析する。

そのうえで「警戒すべきは、『完全な非核化』をめざすとした4月の板門店宣言から5カ月近くがたっても北朝鮮が核・ミサイルを手放そうとしないこと」「半島に脅威が残り、北朝鮮への経済制裁を続けている現状では、終戦宣言を先行させるのは望ましくない」とした。

米朝両首脳の再会談が、早ければ年内にもありうる情勢だ。そこで「トップダウン方式は日本を射程に収める弾道ミサイル問題など日本の懸案が置き去りにされかねない危うさもはらむ。日米韓の協調が欠かせない」と危機感を示した。

Yoshihiro Kandoに連絡する メールアドレス:yoshihiro.kando@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.