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佐川国税庁長官が辞任 森友公文書書き換え疑惑、何が焦点なのか

国税庁の佐川宣寿長官が3月9日、辞任した。財務省の文書書き換え疑惑での引責。現森友問題の焦点はどこに。

大阪市の学校法人・森友学園への国有地売却を巡る問題で、売却交渉を行われていた当時の財務省理財局長で、その後国税庁長官に就任した佐川宣寿氏が、長官から辞任する意向を固めたことが明らかになった

さらに、財務省近畿財務局で売却交渉の担当部署にいた職員が3月7日に自殺していたと報じられた。職員の自殺と森友問題の関連性は明らかになっていない。

2017年3月13日、参院予算委員会で、森友問題について答弁する佐川宣寿・財務省理財局長(当時)
時事通信

2017年3月13日、参院予算委員会で、森友問題について答弁する佐川宣寿・財務省理財局長(当時)

一時は下火となっていた森友学園問題が改めてクローズアップされた発端は、3月2日付朝刊で朝日新聞が報じた「森友文書 書き換えの疑い/財務省、問題発覚後か/交渉経緯など複数箇所」という記事だ。

この記事によると、2015−16年に財務省が学園に国有地を売却した際、財務省近畿財務局の担当部門が決裁を受けるために作った文書の内容と、その後国会議員らに開示した文書と違う部分があったという。

朝日は3月6日付朝刊で「森友要望の記述なくなる/書き換え疑惑 答弁に沿う内容に」。さらに9日付朝刊で「森友文書 項目ごと消える/貸付契約までの経緯/売却決裁調書 7ページから5ページに」と報じた。

森友文書問題を報じる新聞各紙
Yoshihiro Kando / BuzzFeed News

森友文書問題を報じる新聞各紙

一連の朝日の報道をまとめると、議員への開示文書では、もとの文書にあったとされる、財務省理財局長の承認を受けて特例的な契約を結ぶ経緯が記されていた項目が丸ごとなくなっているなど、いくつもの違いがあったとした。

国会で佐川理財局長(当時)らが「全て適正に手続きを行った」などと森友に便宜を図ったことを否定する答弁を続けてきたことから、それに沿ったかたちで書き換えが行われた可能性があるという。

決裁を受けた公文書を事後に書き換えたとすれば、あるいは原本と内容が違うものを国会に開示していたとすれば、法的責任を問われる可能性も出てくる。

現時点での焦点は、まず朝日が指摘する、原本にあたる文書が実在するかどうか。次に、原本が実在し、国会開示文書との違いが本当にあるとすれば、財務省がなぜそのような改変を行ったのかという点だ。

朝日の報道が国会で取り上げられたことを受け、財務省は当初、調査を行って3月6日に報告するとしていた。だが、6日の参院予算委員会理事会で「捜査の対象ともなっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている」などと報告。文書の有無を明らかにしなかった。

野党側の反発が高まるなか、財務省は8日の参院予算委理事会に決裁文書のコピーを提出したが、国会議員に昨年開示したものと同じ内容だった。それ以外にも文書があるかどうかを問われた財務省の富山一成理財局次長は「これ以外というところは調査継続中」と答え、この時も有無を明言しなかった。

財務省の回答に納得せず、参院予算委員会の審議を拒否し、第1委員会室を出る野党議員=8日午前、国会内
時事通信

財務省の回答に納得せず、参院予算委員会の審議を拒否し、第1委員会室を出る野党議員=8日午前、国会内

何らかの事情で、財務省が「開示文書以外の文書は存在しない」と断言しない、あるいはできない状況が続いている、ということだ。

朝日以外の新聞各紙は2日以降、主にこの問題を巡る国会の論戦を軸に報じてきたが、毎日新聞が8日付夕刊で「別文書に『本件の特殊性』16年9月、近畿財務局が決裁」と報じ、朝日の報じたものとは別文書ながら、国会に開示された文書にはない表現が存在していることを写真付きで示した。

また、読売新聞は9日付朝刊で「森友文書問題 書き換え疑惑の真相究明を」との社説を掲載。「政府が、国会の国政調査権にできる限り協力するのは当然である。改ざんなど悪質性が高い場合、法的責任を問われる可能性もある」としたうえで、財務省に「関係者から聴取するとともに、文書の確認作業を行って事実関係を明らかにすべきだ」と求めた。一方で国会審議を拒否する野党の姿勢も批判した。

佐川氏の辞任で野党が矛を収める可能性は低く、問題の幕引きとはならなさそうだ。

森友学園を巡る問題では、安倍首相の妻昭恵氏が建設予定だった小学校の名誉校長だったり、籠池泰典・前理事長が政財界と広いつながりを持っていたりしたことから、「財務省が首相官邸に忖度したのでは」という見方が広がっていた。

麻生太郎財務相が9日午後7時40分過ぎから会見し、「国会審議の混乱を招き、行政文書の管理で指摘を受けたことなどから国税庁長官を退職したいとの申し出があり、退職させた」と発表した。麻生財務相はまた、佐川氏に対し今後の捜査に真摯に協力するよう求めたと伝えた、と述べた。一方、「私から見てきちんと仕事をしていた」と述べ、自らの任命責任は否定した。

【追記】

麻生財務相の会見内容を加えました。

Yoshihiro Kandoに連絡する メールアドレス:yoshihiro.kando@buzzfeed.com.

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