「海兵隊員の息子が、基地移転反対を掲げ当選」ーー9月30日に行われた沖縄県知事選で、玉城デニー氏が当選したことを伝える米国メディアは、異口同音にこう伝えた。

ニューヨーク・タイムズは「米海兵隊員と日本人の母親の間に生まれた玉城デニー氏が、米軍施設が集中する南の列島・沖縄の知事選で当選し、日本で初めて両国の血を引く知事が誕生した」
「宜野湾市の海兵隊基地を同じ島内に移設するという日米両政府の計画を妨げることになる」と報じた。
また、「同時に、ハイチ系米国人と日本人の両親の間に生まれた大坂なおみ選手の全米オープン優勝から間もないこともあり、玉城氏の勝利は、日本がわずかでも人種的に多様性がある方向に開こうとしていることを、示唆している」とした。
そのうえで、コネチカット大学のアレックス・ドゥッデン教授(日本史)の「日本人とは何を意味するのかという議論の枠を広げることになる」とコメントを掲載した。

ワシントン・ポストは、玉城氏が自らの出自を「ワシントンや東京と交渉する時に、有利に働くはずだ」と語ったとした。
また、米ランド研究所のアナリスト、スコット・ハロルド氏の「普天間問題は当面の間、沖縄政界の焦点となり続け、東京と沖縄が合意に達しない限り、普天間基地は今の場所に残り続ける」との分析を伝えた。
ハロルド氏はさらに、宜野湾市周辺で米軍がまた事故を起こせば、沖縄県民の反感が高まって日本政府も抑えられなくなる危険性がある、との見方を示した。
ABCテレビはAP通信の記事を掲載。玉城氏を「会ったことのない海兵隊員を父に持ち、しばしば自分は沖縄が置かれた苦境の象徴だと語る」と評した。