【全文+動画】トランプ氏が大統領選史上初めてTwitterで敗北宣言 「スムーズに政権移譲」「不法は許さない」

    トランプ氏が敗北を認めるスピーチをTwitterにアップした。敗者による敗北宣言は米大統領選での伝統だが、まずSNS上にアップという形態はトランプ氏が史上初となる。

    2020年アメリカ大統領選で民主党のジョー・バイデン氏に敗北した現職のドナルド・トランプ大統領が1月7日夜(現地時間)、Twitterで動画声明を公表した。

    首都ワシントンで前日、トランプ氏支持者らが連邦議会議事堂に侵入した事件を非難したうえで、バイデン氏に対し「秩序ある政権移譲を行う」と語り、敗北を認めた。米連邦議会では1月7日未明(同)、バイデン氏が当選したと正式に発表されている。

    アメリカ大統領選では、敗者が敗北を受け入れるスピーチを行う伝統が120年以上にわたり続いている。

    トランプ氏はこれまで「選挙に不正があった」と主張してきたが、首都で大混乱が起きたことで改めて敗北を受け入れ、国民に和解と協力を求めるスピーチをした。

    敗北宣言はこれまで、テレビの生中継などの形で伝えられてきたが、スピーチを最初にSNSで伝えるのは、史上初めてだ。

    Twitterでのスピーチでトランプ氏は、議事堂に大勢の支持者らが侵入したことについて「私は暴力と無法に激怒している。私はすぐに州兵と警察を配備して侵入者を追い出した」と批判。侵入者に対して「代償を支払うことになる」と述べた。

    自ら集結を呼びかけ、賞賛していた支持者らをバッサリと切り、はしごを外す内容となった。

    さらに続けてきた選挙結果への異議申し立ては「投票の整合性を維持するため、アメリカの民主主義を守るためだった」「選挙法制度の改革が必要だ」と主張した。

    そのうえで大統領就任式の1月20日に「円滑で秩序のある政権移譲が行われる」と敗北を認めた。「パンデミックに打ち勝ち、地球上で最も偉大な経済を再建するためには、私たち全員が協力する必要がある」と、全国民に協力と和解を求めた。

    一方、トランプ氏はスピーチで最後までバイデン氏の名前は出さなかった。

    Twitterにアップされたスピーチ

    Twitter: @realDonaldTrump / Via Twitter: @realDonaldTrump

    敗北宣言に120年余の伝統

    アメリカ大統領選での敗北宣言の伝統は、1896年選挙で始まった。敗れたウイリアム・ジェニングズ・ブライアン氏(民主党)が、ウイリアム・マッキンリー氏(共和党)に電報を送り、勝利を祝福した。

    コミュニケーション手段の変化に合わせ、敗北宣言の出し方も変わった。

    1928年選挙ではラジオで伝えられた。1940年選挙ではニュース映画の一幕に収められた。1952年選挙では初めてテレビで生中継された。

    Twitterにアップした動画による敗北宣言は、トランプ氏が初めてだ。これは将来、メディアの主軸がテレビからネットに移ったことを象徴する出来事として扱われることになるかもしれない。

    なお、Twitter社は1月6日(現地時間)、「ワシントンで前例のない暴力が発生した」としてトランプ氏のアカウントをロックし、3つの投稿を閲覧できない状態にしたうえで、削除を求めていた。

    不発だった法廷闘争

    トランプ氏は「選挙に不正があった」と主張を続け、開票のやり直しなどを求める訴訟を各地で起こしたが、具体的な不正の証拠を示さず、ほとんどの訴訟は却下か敗北となった。

    正式に大統領選の当選者を決めるため1月6日に連邦議会で行われる上下院合同会議に向け、支持者に集結するようSNS上で呼びかけたりしていた。

    しかし、集まった支持者らが暴徒と化して議事堂に侵入すると、政権の閣僚らが相次いで辞任したうえ、「騒乱を煽った」とトランプ氏の責任を追及する声が、共和党内でも強まっていた。

    トランプ氏のスピーチ全文

    議事堂への凶悪な攻撃に関するお話から始めたいと思います。ほかのアメリカ人と同じように、私は暴力と無法と騒乱に激怒しています。

    私はすぐに州兵と連邦法執行機関を配備して建物の安全を確保し、侵入者を追い出しました、アメリカは法と秩序の国です。常にそうであらねばいけません。

    議事堂に侵入したデモ隊に:あなた方はアメリカの民主主義の座を汚した 。

    暴力と破壊の行為に従事する者に:あなた方は私達の国を代表しない。

    そして、法律を破った者に:あなた方は代償を支払うことになる。

    我々は激しい選挙戦を終えたばかりで、感情は高ぶっています しかし、今は感情を冷まし、冷静さを取り戻さなければなりません。我々はアメリカの仕事に取り組まなければなりません。

    私の選挙運動では、選挙結果に異議を唱えるためあらゆる法的手段を精力的に追求しました。私の唯一の目標は、投票の整合性を確保することでした。それにより、私はアメリカの民主主義を守るため闘っていたのです。

    すべての有権者の身元と適格性を確認し、選挙への信頼を確保するため、選挙法制を改革しなければならないと、私は強く信じています。

    議会は選挙結果を認定しました。1月20日には新政権が発足します。私の焦点は、円滑で秩序のあるシームレスな政権移行を確保することです。癒しと和解が必要なのです。

    2020年は我々にとって困難な時期でした パンデミックは市民の生活を狂わせ、孤立させ、経済を破壊し、多くの命を奪いました。

    このパンデミックに打ち勝ち、地球上で最も偉大な経済を再建するためには、私たち全員が協力する必要があります。それには、愛国心、信仰、慈善、地域社会、家族という市民的価値観に新たな重点を置く必要があります。

    私たちは、一つの家族として結びつける愛と忠誠の神聖な絆を復活させなければなりません。国民のみなさん、みなさんの大統領を務めさせていただいたことは、私の生涯の名誉です。

    そして私を支持してくれたみなさん。失望されていると思いますが、私たちの素晴らしい旅は、まだ始まったばかりです。

    ありがとう。みなさんに神のご加護を。そしてアメリカに神のご加護を。

    UPDATE

    表現を一部改めました。