安倍首相の続投が決まった。日本でこれから何が起きるのか 5つのポイント

    自民党総裁選で安倍晋三氏が3選された。これまで6年続けてきたアベノミクスの出口戦略。持論の憲法改正。消費税の引き上げ。様々な課題を抱える中、これからの3年間で何が起きるのか。

    安倍氏が自民党総裁選に3選された。任期は2021年9月まで

    時事通信

    安倍晋三氏が9月20日、自民党総裁選で石破茂氏を破り、3選された。これで、突発的な解散総選挙などで自民党が大幅に議席を減らさない限り、任期の2021年9月まで、安倍氏が首相の座にある見通しだ。

    これからの3年、何が課題となり、何が起きるのか。5つのポイントにまとめた。

    1.アベノミクスからの出口戦略は

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    「異次元緩和」と呼ばれる大幅な金融緩和策を軸とするアベノミクスは、2012年の首相就任以来、安倍政権の看板政策だった。

    ただ、日銀が目標としてきた2%の物価上昇は、いまだに果たせていない。

    安倍氏は9月14日の総裁選討論会で、金融緩和策について「ずっとやっていいとは全く思っていない」と述べ、次期総裁任期の3年以内に、金融緩和を縮小する出口戦略を模索する考えを示した。

    金融緩和で低金利が続き、金融機関の収益が悪化。メガバンクも相次いで人員削減策を打ち出すという副作用が出ているうえ、国債などの買い入れを続けてきた日銀の資産残高は、500兆円を超えた。

    いつかは設けなければいけない出口を、これから3年以内に模索することになる。いつ、どういう出口をつくるかは日銀の黒田東彦総裁に任せているという。

    2.2019年10月に消費増税の構え

    時事通信

    14日の総裁選討論会で安倍氏は、消費税を2019年10月に、現在の8%から10%に増税する考えを示した。

    「来年の消費税の引き上げについては予定通り引き上げていきたい。ただ軽減税率も今回行う。そして今まで8割を借金返しに使っていたが、半分は子育ての支援のために使う。だからマクロ的な衝撃は少ないと思う」

    増税の是非とその使途、さらに軽減税率の議論が今後、本格化することになる。

    2020年の東京オリンピック・パラリンピックは安倍氏が首相として参加することになる見通しだ。

    消費増税による景気の落ち込みと五輪後の落ち込みに、「出口戦略」まで重なると、急速な経済環境の悪化も想定できるだけに、周到な検討が必要になる。

    3.北朝鮮、ロシア、中国...「戦後総決算外交」の行方は

    時事通信

    安倍氏は総裁選で3選を果たした9月20日の挨拶で、「戦後総決算外交に取り組む」と語った。

    外交面での大きな課題は、朝鮮半島、中国、そしてロシアだ。

    朝鮮半島の非核化と戦争状態の終結に向け、南北首脳会談が今年3回に渡って行われ、米朝首脳会談も開かれた。

    日本は北朝鮮の非核化を求めながら拉致問題を解決していく必要があるが、拉致はずっと膠着したままだ。

    日本は韓国との間で1965年に日韓基本条約を結び、総額8億ドルの援助資金と引き換えに、韓国側が請求権を放棄するかたちで賠償問題を決着させた。北朝鮮との間では2002年、小泉政権が日朝平壌宣言に調印し、「国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議する」ことに合意している。

    安倍氏は「日朝平壌宣言に基づいて国交正常化するとのわが国の方針は変わらない」と語っており、日朝の交渉が具体化すれば、こうした点が焦点となる。

    また、北方領土問題を巡りロシアのプーチン大統領は9月12日、公開の場で安倍氏に直接、「前提条件なしで年内中に平和条約を締結しよう」と提案してきた。

    これは、領土問題を解決してから平和条約を結ぶという日本側の方針と正反対のもので、ロシアとの交渉は今後も難航が予想される。

    中国とは北朝鮮の核問題を巡る協力、米トランプ政権の仕掛ける「貿易戦争」を巡る対応、そして尖閣諸島や南シナ海などでの拡張主義を巡り、対立と接近をどうしていくか、距離感が問われる。

    4.憲法改正は具体化するのか

    時事通信

    安倍氏は自衛隊の存在を明記する方向で憲法を改正する考えを示している。

    憲法第9条の第1項と第2項を維持したまま、自衛隊の存在を規定する第3項を加える方向性だ。

    安倍氏は「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と語っているが、このやり方での改憲には、「それでは、これまで自衛隊を合憲としてきた歴代の政府見解は何だったのか」という批判が出ている。

    憲法改正には衆参両院の3分の2の賛成を得た上で国民投票で過半数の承認を得る必要がある。

    安倍氏が憲法改正の発議を本格化すれば、2015年の安保法制制定時を上回る論争となるのは確実だ。

    5.内閣改造で「冷や飯」を食べるのは?

    時事通信

    今回の総裁選で話題となったのは、石破派に対する圧力だ。

    安倍氏本人は、今後の人事を語っていないが、麻生財務相は石破氏を支持すれば「冷や飯を食う覚悟を」と警告している。

    朝日新聞によると石破陣営は、議員・党員(地方)票あわせて200票を獲得することを「敗れても党内で存在感を示せるライン」としていた。

    石破氏は地方票で181票を獲得。議員票でも事前の「50前後」という読みを上回る73票の、計254票を得たことで、党内で改めて存在感を示すことになった。

    石破氏は「地方の支持は多くいただいた」「これだけ多くの支持をいただいたわけで、それが政権運営に示されるようにするのは私の役割」「安倍さんとの隔たりがあるものがある」と語り、今後も反主流派として議論を続ける構えを見せた

    安倍氏は10月1日に内閣改造を行う見通しだ。斎藤健農相ら石破派の処遇が政局の焦点となる。

    番外編 小泉氏の動向は

    時事通信€“

    国民的な人気が高く、総裁選で動向が注目されていた小泉進次郞・筆頭副幹事長は9月20日、石破氏を支持する意向を表明した。

    このタイミングは絶妙だった。

    小泉氏が石破氏支持に動けば、約100万人いる党員による地方票の流れが石破氏に向かうこともあり得るとみられていた。一方で小泉氏は無派閥で、国会議員への影響力はそれほど大きくない。

    総裁選で、党員の投票は19日に締め切られた。

    20日に行われたのは国会議員の投票と、全体の開票だ。議員票は計405票。党員票も同じ数で、候補者に比例配分される。

    これまで口を閉ざしていた小泉氏が石破氏支持を明言したのは、実際に自らが影響力を行使できる可能性がある一般党員の投票が締め切られた後のこと。つまり、影響を与えないタイミングを見計らっていた可能性が高い。

    安倍氏、石破氏どちらにも一定の恩を売り、同時に有権者に対して「一言居士」のイメージを売り込む行動を取ったことになる。

    Contact Kando, Yoshihiro at yoshihiro.kando@buzzfeed.com.

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