おことわり:本記事では虐待、モラルハラスメントなど、センシティブな話題を含みます。
メンタルヘルスの専門家であるセラピストは、悩みを抱える人を必要な気づきに導くため、状況を把握したり、違う角度から見たりするきっかけになるような質問を投げかけることがあります。
英語圏で人気のネット掲示板Redditで、u/annabel420さんがこんなスレッドを立てました。
「これまでセラピストに聞かれた絶妙な質問を教えてください」
すると、たくさんの反応が寄せられただけでなく、物事の見方、考え方のヒントが見つかった、との声もコメント欄で多数上がりました。
そこで今回は、あなたの参考になるかもしれない、特に印象的だった体験談を紹介します。
1. 「あなたはそれで今うまくいってる?」
カウンセラーはいつもこう聞いてきます。
おかげで、自分が何らかの形で考えたり行動したりするときには、理由があるのだと理解できるようになりました。
別にそれは悪いことではありません。
今では、生活もだいぶ変わって、以前の考え方や行動は合わないと思えるようになりました。
2. 「誰があなたにをプレッシャーかけているの?」
セラピストさんには仕事の不安や家族関係での罪悪感、ママ友付き合いの悩みについて、よく話していました。
小さな問いかけでしたが、これがきっかけで、自分で勝手にプレッシャーをかけていたんだな、と気づけました。誰も私に「責任を取れ」とは言ってきていなかったんです。
誰も指示していないその責任を自ら背負って、それについてずっと文句を言っていただけでした。
3. 「もしその人が身内でなかったら、その人と友達になってた?ならないと思うなら、どうして他人の意見がそんなに気になるの?」
4. 「人のために何もかもすべてを与えることはできないでしょう。そうしたら手元に何もなくなって、あなたが困ってしまうのでは?」
こう言われたときはなんて嫌なことを言うんだと思いました。
当時、私にとって人に与えることが自分の存在意義の大きな部分を占めていたからです。自分は他の人たちのために存在しているんだ、と言い聞かせて。
以前は与えた分だけ何か返ってこないと、すごく怒っていたんです。
私が与えた分を返してくれるだけ私を気にかけてくれる人が誰もいないってことじゃないか、と頭の中で思っていたから。
でも、みんなはそれぞれ自分で境界線を決めていただけなんですね。私みたいに精神的に消耗せずに、自分にできる範囲で人に与えるという意味で。
今もまだ多少悩みますが、まず素直に自分を大事にできるようになりました。たいていの人は理解してくれて、 それでいいんだよと、応援してくれています。
5. 「あなたは、両親の決めたことを、いいと思ったことがないのに、どうしていつも両親に認めてもらわなくてはと考えるの?」
両親のことをセラピストと話し合っていて、これはハッとしました。

6. 「私にはあなたが幸せとは思えないし、あなたは何が自分にとって幸せかわかっていないと思う」
「あなたはこれまで、『他の誰かを喜ばせよう』と思ってずっと生きてきたから、自分を大事にしてこなかった。」
「年賀状で報告するような、人生のイベント(妻、広い家、キャリアなど)を手にするために、必死で頑張ってきたけど、本当はそんなものは何も望んでないんだと思う」
それで自分は答えたんです。「何を言い出すんですか、自分にとって何が幸せかなんて、もちろんわかってますよ!」と。
では5つ挙げてみて、と言われたのですが、挙げられませんでした。
このときの会話が自分の道を大きく変えてくれたし、おそらく人生でも一番強い影響のあった言葉だと思います。
彼女が言ってくれた通りでした。
7. 「もしその人が謝ってきたら?謝罪を受け入れる気持ちはある?」
そう聞かれて、がつんと衝撃を受けました。
謝罪を受け入れる状態にはなっていなかったのです。
まだかなり怒りの感情があって、怒りを抑える段階ではありませんでした。
叔父に虐待されたと父に打ち明けたのに、父が私じゃなく、自分の弟である叔父の肩を持ったときの話です。
9. 「誰の声がそんなこと言ってるの?」
最近、セッションの冒頭でこう聞かれました。私が自分についてネガティブなことをいろいろ言っていたときにこの質問をされたんです。
自分の声が私にそう言っている、と答えました。
それから16回のセッションを重ねた後、私がネガティブな発言をしたら、また同じ質問をされました。
今度は、これは母親の声だと答えました。
私が自分について抱えているネガティブな考えは、どれもそう言われて育ってきたからなんだと気づくきっかけになりました。

10. 「『自分を利用してきた人との間に境界線を引けば、相手が自分のことを嫌いになるか、関係が気まずくなるかだ』とあなたは言うけど、それの何が問題なの?」
「今でも有害で毎日不快に思っている。であれば、その人たちが話しかけてこなくなったとして何が問題なの?それこそ一石二鳥では?」
こう言われてすごく衝撃でしたが、 それ以来、人を喜ばせることを優先するのをやめました。
自分を二の次にするのをやめて6年になりますが、もう本当に人生が花開きました。
11. 「量ではなくて質を大切にして」
セラピストさんには、すごく重い感情を打ち明けていました。
母は40代後半のときに私を生みました。母はがんを患っていて、すでに定年退職しています。
私は末っ子(20歳)で、母との関係は最高です。
しかし、母が老いていって、自分と一緒にすごせる時間はそう多く残されていない、という不安から、ここ最近いらだっていました。
しかし、カウンセラーが言ってくれたのは、心を落ち着けて、今あるものを大切にして、ということでした。
その通りだったと思います。状況は違うかもしれないけど、私の経験が誰かの役に立てばうれしいです。

12. これまでセラピストに言われた言葉で、好きなもののひとつが、「ある感情を心の奥底にしまっても、生き埋めになっているから本当に消えることはない」です。
だからそういう感情は外に出して、ちゃんと対処した方がいいです。
13. 大学のカウンセラーにこう聞かれたことがあります。「自分の強みを言ってもらってうれしくなる人はいるけど、どうしてあなたは泣いてしまうの?」
この言葉で、私は本当のことを話すときですらも、自分を信じていないことに気づきました。
自分には、何かをきちんとこなす力があるとは思えなかったんです。
これがきっかけで、自分には心理療法が必要なんだと痛感しました。
14. 「今どんな気持ちでいる?」
私は、自分の気持ちや要求に耳を傾けることが、とても苦手です。
周りの人のことを考えすぎて、自分の気持ちより、周りがどう思うかを優先させてしまいます。
自分がどう思うかを無視して、自分の感情を軽く扱うことがクセになってしまったんです。
私のセラピストはマインドフルネスを積極的に実践していて、セッションでもこの問いかけを文字どおり何度も投げかけてくれます。
「どう、最近元気?」ではなくて、「具体的にどんな状態?疲れてる?不安?お腹空いた?退屈?」と。
自分の感情と他人の気持ちを分けて考える試みの中で、とても大切な確認作業になっています。
今はセラピーの場以外でもこのやり方を自分で取り入れて、自分の意見をしっかり持つようにしています。
すると、心も身体も安定して、自分がどう感じているかをちゃんと受け止める余裕をうまく作れるようになりました。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan