史上稀に見る激戦を制したのは15歳の新鋭だった。

平昌五輪フィギュアスケート女子のフリースケーティング(FS)が2月23日に開催され、ショートプログラム1位のアリーナ・ザギトワ(OAR)が合計239.57点、世界女王のエフゲーニャ・メドベージェワ(OAR)を1.31差抑えて金メダルに輝いた。
演技を終えた瞬間、思わずガッツポーズが飛び出した。

日本でいえば高校1年生の年齢。あと2か月、生まれるのが遅ければ年齢制限で五輪には出られていなかった。
若さ溢れる2016-2017シーズンの世界ジュニア女王は、今シーズンからシニアに転向するとグランプリシリーズ、メドベージェワと初対決した欧州選手権、そして平昌五輪と負けなしで駆け抜けた。
この日のフリーでは序盤の3回転ルッツ+3回転ループが単独のジャンプとなるも、後半予定されていた3回転ルッツを、3回転ルッツ+3回転ループにして、見事なリカバリー。
2位との得点差は1.31とほんのわずか。この判断が、金メダルを引き寄せた。
試合後、ザキトワは「最初のコンビネーションがうまくいかない場合は、後半のループで2回目のルッツを行うとコーチと話し合ってました。でも正直なところ、ショックを受けていました」と語った。
ライバルは同門で友人
金メダルを争ったメドベージェワとは、同じエテリ・トゥトゥベリーゼコーチの門下生で、年齢差はわずか3歳。
ザギトワは「練習や本番ではライバル」と語る一方、尊敬するスケーターにこの同門の先輩の名前を挙げる。
ザギトワがフリーで滑った「ドン・キホーテ」はジュニア時代から使用する曲。ジュニア時代の衣装は、メドベージェワのお下がりでもある。
インスタグラムからも仲の良さが伺える
お互いを高め合うライバル。そしてリンクを離れれば友人。勝敗が決した直後、ザギトワはリングサイドで、涙するメドベージェワを抱きしめた。

そしてエテリコーチも2人を抱きしめた。

ザギトワは金メダルについて「実感がわかない。オリンピックのチャンピオンになったとまだ理解できてなくて、手が震えています」と初々しく語る。
フリーの得点はともに156.65点。トリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコは自身のインスタグラムで「女子フィギュアの世界が、新たなレベルに達したことを誇りに思う」と語った。
2人のハイレベル、そしてあまりに美しい戦いに対し、世界中から上がる賞賛の声は今も鳴り止んでいない。
