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羽生結弦「涙のスイッチ」はハビエル・フェルナンデス

「彼がいなくちゃ僕はこの席にメダルを持ってこれなかった」

平昌五輪フィギュアスケート男子で金メダルを獲得し、66年ぶりに五輪2連覇を達成した羽生結弦(23)が2月27日、東京の外国特派員協会で記者会見に出席した。

会見では「将来5回転はあると思いますか」「勝負飯はなんですか」などの質問に時折困り顔になりながら、一生懸命答えていた羽生。

この日一番の笑顔が出たのは、スペインの記者から平昌五輪の銅メダリスト、ハビエル・フェルナンデスとの友情について質問が飛んだ時だった。

「彼が僕のことを日本のメディアに語っているのは知ってますけど、実は自分自身、スペインのメディアの方に、ハビエルについて聞かれるのをすごく待ってました」

そう言って羽生ははにかんだ。

羽生が語るハビエル・フェルナンデス

羽生とフェルナンデスは共にブライアン・オーサーコーチの門下生であり、五輪や世界選手権で戦うライバルだった。

オーサーコーチの指導を受けるため、6年前に日本から拠点をカナダ・トロントに移した羽生だが「彼がいたからこそ、僕はカナダに行って練習をするという選択をしました」とフェルナンデスの存在も大きかったと話す。

フェルナンデスの性格について「彼はとても優しい人です。優しすぎて、ちょっと競技には向いていないんじゃないかというほど優しいです」と明かした羽生。

それでも練習の際は「2人とも絶対勝ってやると思ってやっている」と共にライバルを意識しながらやっていたという。

五輪での涙の理由はフェルナンデス

世界選手権2連覇(2015年、2016年)、欧州選手権6連覇(2013年〜2018年)という圧倒的な成績を誇るフェルナンデスだが、バンクーバーオリンピックは14位、ソチオリンピックは4位と五輪の舞台ではこれまで振るわなかった。

「彼はソチオリンピックのときに、メダルを取ることはできなかったんですけど、そのことを凄く悔しがっていたのを知っていますし、一緒に練習していて、オリンピックのときだけは凄く無口になっていた」

滑走を終えたフェルナンデスがグリーンルームに入ってくると羽生は抱き合って、涙を流した。残るは最終滑走の宇野昌磨を残すだけ。最後のオリンピックと公言していたピョンチャンの舞台で、フェルナンデスのメダルが確定した瞬間だった。

「僕は金メダルを取った時に泣いてしまったんですけど、涙のスイッチが入ったのは、彼のメダルが確定したからだというのもあります」

「やっぱりオリンピックでメダルを取りたいという気持ちが強いんだろうなと思っていたからこそ、彼のメダルは僕も本当に誇らしかったですし、凄く嬉しかったです」

そして羽生の金メダルが決まった時、2人は抱き合った。

羽生は泣きながらフェルナンデスに「あなたにチャンピオンになってほしかった」と語ると、銅メダルに輝いた男は「王者は一人だよ」と語り、これが最後の五輪だと告げた。

最高の色ではなかったが、達成感はあったのだろう。フェルナンデスのインスタグラムのプロフィールはオリンピック後、次のように書き換えられた。

「2回の世界王者、6回の欧州王者、2回の世界3位、そしてオリンピックのメダリスト」

同門の先輩で、ライバルで、友人。羽生は記者会見で、フェルナンデスへの感謝をこう述べた。

「これから一緒に試合ができるかはわかりませんけど、僕が6年間一緒に練習をしてきて、そしてお互い高め合いながら試合ができて本当に幸せだった。彼がいなくちゃ僕はこの席にメダルを持ってこれなかった」

BuzzFeed JapanNews