2019年のプロ野球がついに今日開幕する。

開幕直前には各メディアで評論家たちが今シーズンのペナントレースの行方を予想する。
各チームのファンはその順位予想に一喜一憂するが、シーズン終了後に予想が当たったのか答え合わせをすることは少ない。そもそも、評論家の予想はどれくらい当たるのだろうか。
結論から先にいえば、これがほぼ当たらない。
予想はパ・リーグの方がやや難しい
今回データを集めるため、過去5年の全国販売されるスポーツ新聞4紙(日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ)と、雑誌「週刊ベースボール」から評論家82人の予想を集めた。
例えば張本勲さんの18年セ・リーグの順位予想をみると...


過去5年のデータで見ると、評論家は平均して6チーム中1.46チームの順位を的中させている。
リーグ別に見るとセ・リーグが1.63チーム、パ・リーグが1.29チームで、パ・リーグの方が予想が難しい。
"完全的中"は過去5年で2人

過去5年でリーグ1位〜6位までを完全に当てた評論家はわずか2人。山田久志さん、広澤克実さんで、共に2014年のセ・リーグの順位を的中させた。
もっとも2人ともこの年はスポーツ紙と「週刊ベースボール」の2媒体でそれぞれ違う予想を載せており、その一方が当たったため少し差し引いて考えた方が良さそうだ。

また2014年のセ・リーグだが、非常に予想しやすい年だった。
この年のセ・リーグでは評論家は平均して3.23チームの順位を的中させている。先ほど挙げたが全体平均は1.46チーム、同じ年のパ・リーグは平均して1.51チームで、いかに予想しやすかったかが分かる。
評論家の63人中62人がセの優勝に巨人を予想し、2位の阪神も21人が当てた。ちなみに唯一優勝チームに広島を挙げたのは、北別府学さんだった。
Aクラスの順位を当てることもまれ

順位の完全的中は難しくとも、Aクラスに入るチームは予想できているのか。
実は先ほど挙げた2014年のセ・リーグ以外で、Aクラスを的中させた評論家はいなかった。
なぜ上位チームですら順位を当てるのは難しいのか。
まずパ・リーグだが、この5年の間、評論家の8割がソフトバンクの優勝を予想してきた。実際に2014、2015、2017年とリーグを制覇しており、パ・リーグ1位の評論家の的中率は51.4%と非常に高い。
逆に言えばソフトバンクが優勝しなければ予想は一気に外れることになる。
2018年の西武優勝を予想できたのは、40人の評論家の中でデーブ大久保さん、槙原寛己さん、真中満さんの3人だけだ。

さらにパの予想を困難にしているのは2位で、的中させたのは5年間でわずか7人。これはセ・パ合わせた中でも一番少なく(次はパ5位の36人)、最も予想が困難な順位と言える。
2014年のオリックス、2017年の西武の2位躍進を予想した評論家は一人もいなかった。2015年の日本ハムの2位を予想したのは権藤博さんたった一人だった。
セ・リーグの順位を当てづらくする巨人

評論家のセ・リーグ順位予想が当たらない要因と言えるのは巨人の存在だ。
評論家の53.7%が毎年優勝の本命と予想するが、2014年を最後に優勝から遠ざかっており、Aクラスの順位を当てることを難しくしている。
2017年には11年ぶりとなるBクラス(4位)となった巨人だが、この順位をたった一人だけ当てたのが宮本慎也さんだった。
天邪鬼なヤクルト

この宮本さんが現在ヘッドコーチを務めるヤクルトもセ・リーグの予想を難しくさせる一因だ。
2015年のセ・リーグ優勝を予想した評論家はゼロだった。その翌年には9人が優勝、17人が2位に入ると予想するも、結果は5位。当てたのは小宮山悟さんだけだ。
期待されないと活躍する"天邪鬼"ぶりは2018年も発揮され、8割の評論家が中日との最下位争いを予想する中で、広島に次ぐ2位と躍進した。
この2位を当てられた評論家は一人もおらず、3位予想したのも若松勉さん、小早川毅彦さんとOB2人だけだった。
今回の調査で、改めて順位予想が難しいことが分かったプロ野球。まさに筋書きのないドラマで、だからこそ今年も目が離せない。
(サムネイルは時事通信)