「トミカ」47年の歴史で初のアニメ化 なぜ、このタイミングだったのか

    ロボットアニメだが「トランスフォーマー」との差別化は?

    お父さんから子供まで男の子ならみんな知っているタカラトミーのミニカーブランド「トミカ」。そんなトミカを題材とした変形ロボットアニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド~機動救急警察~」(TBS、土曜午前7時〜)が4月15日から放送される。

    意外なことにトミカ47年の歴史の中でアニメ化は初。なぜ、このタイミングでアニメ化に踏み切ったのか。アニメに込められた思いとは。

    BuzzFeed Newsは、今企画に関わるTBSの渡辺信也プロデューサー、タカラトミーの吉原有也さんに話を聞いた。

    「トランスフォーマー」との違いをつけることで実現したアニメ化

    ――トミカ初のアニメ化は、なぜ、今回のタイミングとなったのでしょうか。

    吉原:トミカは実在の車をもとにしたミニカーとしてこれまで展開してきましたが、実写がメインということで、なかなかアニメにはならなかったんです。

    ですが、10年前にオリジナルの車が登場する「トミカハイパーシリーズ」が立ち上がりました。

    この「ハイパーシリーズ」が10年目の区切りであること、さらに昨年から展開しています「ドライブヘッド」シリーズが好評をいただいていることから、このタイミングでのアニメ化となりました。

    渡辺:「ドライブヘッド」はロボットものだけど、ロボット同士のバトルを描くのではなく、警察、救急、消防の未来系である機動救急警察ハイパーレスキューの特殊機体が、事件や災害現場で活躍する物語というのが面白いなと思いました。

    ――タカラトミーで変形ロボットとなると「トランスフォーマー」が浮かびます。

    吉原:今回の「ドライブヘッド」はレスキューというメインテーマで、さらに警察、救急、消防とそれぞれのドライブヘッドの特徴も明確に分けています。

    トランスフォーマーも長年培ってきた世界観があり、それぞれ良い部分があると思います。

    ――主人公の車田ゴウたちは小学5年という設定です。最近のアニメではロボットに子供が乗るパターンは珍しい。

    渡辺:アニメのメインターゲットは4〜6歳なんですけど、彼らが自分も手が届きそうだと思えて、ひょっとしたらいつか自分たちもアニメの登場人物のようにロボットを操縦してレスキュー出来るんじゃないかと想像できる年齢ということで、小学5年生と設定しました。

    吉原:年齢が低いことで事件の解決できない部分を大人が知恵でフォローする。そこで生まれる絆を描くには小学5年生がベストだと思いました。

    ――トミカはタカラトミーの看板商品。アニメ化のプレッシャーはありますか?

    吉原:TBSさんとの新しい取り組みなので、今までやってきたことに縛られる必要はないと考えています。

    ――当初、会社で反対意見はありませんでしたか?

    吉原:トミカからヘッドが出たり、ロボット色が強い点などは賛否両論はありました。ただ、テーマをしっかり持たせ、トミカを象徴的にアニメで描くことで、トミカシリーズでしっかり展開できると説得しOKをもらいました。いまは追い風だけです(笑)。

    実在の女子アナがアニメに登場する理由

    ――放送時間帯はTBSで2016年4月から新設された朝7時のアニメ枠。苦労はありますか?

    渡辺:トミカブランドの力をお借りしても、まだ出来て間もないアニメ枠を浸透させることに苦労しています。

    例えば、これまでやってきたドラマや映画だと、俳優さんや原作タイトルの存在である程度は認知を高められるので、それと比べると大変ですね。

    私はTBSでもともと、バラエティー番組やドラマなどを担当していて、アニメをやるのは今回が初めてなんです。なのでアニメ制作については素人ですが、一方で自分の持つテレビのノウハウはなるべく生かしたいと思ってやっています。

    お笑いコンビの「トレンディエンジェル」にを声優として出演して頂いたりと、少しでも間口を広くして普段アニメを見ない人にも興味を持ってもらいたいなと思ってます。

    ――このアニメならではの取り組みはありますか。

    渡辺:バラエティー時代に一緒に仕事をしていた構成作家に「毎回なにかしら災害や事件が起こるのだから、中継アナウンサーをレギュラーにして、それを実在のアナが演じたら」というアイディアをもらい、TBSの笹川友里アナが実名で出て、毎回事件をレポートする役割を演じています。

    もちろんPR効果を狙った面もあるんですが、彼女がいつもストーリーの途中で事件を実況説明してくれるので、視聴者が途中から見てもすっと内容が入ってくるという、作劇上の効果もあります。

    また実在する笹川アナが登場することで、見ている子供たちにドライブヘッドという架空のロボットをよりリアルにを感じてくれたら、と思っています。アナウンサーをここまで色濃く出しているアニメはなかなかないのではないかと。

    笹川は声優としてはもちろんアマチュアで、アフレコは苦労していますけど、モチベーション高くこの仕事に臨んでくれています。

    彼女は占い師に今年新しい仕事がくると言われていたそうで「これのことだったんですね!」と言っていました(笑)。

    「人の命を守る」尊さを感じてくれたら

    ――先日、宣伝会議ものぞかせていただきましたが、人気のキッズYouTuberがっちゃんの起用等、インターネットでのPRを大事にされている印象でした。

    渡辺:TwitterなどのSNSをお子さん自身がやることは無くても、お父さんやお母さんの携帯電話を借りて、好きな動画を見て楽しんでいる、という話はよく聞くので、YouTubeに専門のチャンネル(ドライブヘッドTV)を作り、予告だけでなくドライブヘッドに関わる映像は全てここで見られるということにしています。

    ——アニメを見る子供たちや親御さんに訴えたいことはありますか。

    渡辺:子供たちには、アニメからちょっとしたリアリティを感じてくれたらと思っています。

    トミカのモデルになった車が現実の街中を走っているように、ドライブヘッドみたいなカッコいいロボットがいつか本当に現れるかもしれない、それを自分が操縦できるかもしれない。そんなイメージを膨らませてくれたらと。

    さらには「人の命を守る」とか「最後まで諦めない」ことの尊さを感じて、「僕もゴウくんみたいになる!」というような話を家族でしてくれたら嬉しいなと思います。