杉内、村田が引退発表...38歳を迎えた「松坂世代」の今シーズンは?
世代の代名詞、松坂は復活を果たしている。
2018年のプロ野球も終盤戦だが、9月に入り「松坂世代」と呼ばれた1980、81年生まれの野球選手たちの引退が相次いでいる。

会見で涙を浮かべた杉内
9月12日、巨人・杉内俊哉は都内で会見を行い、今シーズン限りでの引退すると発表した。
通算142勝、2005年には沢村賞に輝いた左腕だが、2015年オフに右の股関節を手術するも、その後3年間は怪我に苦しんだ。
今シーズンも一軍、二軍の登板はなく、プロ野球から離れることを決意した。
同世代のライバルだった松坂大輔とはプロで3戦2敗。引退会見では「松坂に勝つことなく先に引退。これは心残りなんですが、これからは応援する側。彼が一年でも長く応援できるよう応援したい」と語った。
杉内と同じく巨人で活躍し、今シーズンは独立リーグBC栃木でプレーした村田修一も10日に現役引退した。
松坂と横浜高校で甲子園を制したDeNAのG後藤武敏も同じく10日に引退することが発表された。
94人のプロ野球選手を輩出した「松坂世代」も、2018年のシーズン開幕時点では現役選手は13人に。その現状をまとめた。
世代の中心である松坂は復活

2018年シーズン、球界の大きな話題となったのが中日・松坂大輔の復活だろう。
2015年に米球界からソフトバンクに入団した松坂だが、3シーズンで一軍での登板は1回しかなく、昨年オフには戦力外通告を受けていた。
その後、中日にテスト入団した松坂は、4月30日に2006年以来となる日本球界での勝利を挙げると、現在までに5勝と見事に復活。7月には12年ぶりとなるオールスター出場を果たした。

復活と言えば広島の永川勝浩も欠かせない。
かつてのカープの守護神も昨シーズンの一軍登板はなく、オフに左膝のクリーニング手術を受けた。
復活をかけた今シーズン。6月7日の日本ハム戦で743日ぶりに一軍登板を果たすと、夏場には中継ぎとしてチームを支えた。
阪神の藤川球児は今シーズンもセットアッパーとして活躍し、9月2日には史上16人目となる700試合登板も果たした。
楽天の久保裕也は今季育成契約だったが、5月に支配下登録。中継ぎとしてこれまで24試合に登板している。
一方、ソフトバンクの和田毅は、左肩違和感のためリハビリ中で今季の一軍登板は厳しい状況だ。
ヤクルトの館山昌平は、春先は先発として3試合投げるも白星はつかず、その後は不調のため二軍暮らしが続いた。
8月22日の広島戦で再び一軍マウンドに上がるも、この試合で打球が右腕に直撃し降板。選手登録を抹消されている。
「松坂世代」投手の今シーズンの成績(9月11日現在)


松坂世代の打者は今シーズン6人で、うち4人が開幕一軍メンバー入りを果たした。オリックスの小谷野栄一、中日の工藤隆人、日本ハムの矢野謙次、楽天の渡辺直人の4人だった。
昨シーズンを超える活躍を見せているのが、楽天の渡辺直人だ。
西武から戦力外通告を受け、8年ぶりに古巣の楽天に復帰すると、先発に代打といぶし銀の活躍。8月24日には7年ぶりとなる本塁打も放っている。
中日の工藤隆人もバイプレイヤーとして活躍。日本ハムの矢野謙次は今シーズンも代打を務めたが、7月からは二軍暮らしが続く。
同じく日本ハムの實松一成は、今シーズン育成コーチを兼任しており、一軍出場は1試合となっている。
オリックスの小谷野栄一は、6月に故障で離脱するなど、昨シーズンから大きく成績を落としている。
「松坂世代」内外野手の今シーズンの成績(9月11日現在)

プロ野球以外の道に進む選手も
「松坂世代」の中ではプロ野球以外の道に進む選手もいる。
広島で活躍した梵英心は、今年6月から社会人野球のエイジェックに入社し、選手兼コーチとして野球に関わる。
元西武の木村昇吾は2017年オフにクリケットに転身し、3月には日本代表にも選出された。現在は世界最高峰であるインディアン・プレミアリーグ入りを目指している。
一時代を築いたプロ野球の黄金世代も、平成の終わりとともに新たな道を歩み始めている。