「子連れ狼」なぜハリウッドでリメイク? 血みどろの殺陣シーンでカルト的人気

    タランティーノにも影響与える

    小池一夫氏原作の時代劇漫画「子連れ狼」がハリウッドでリメイクされると米ヴァラエティー紙などが先月27日に報じた。

    製作を手がけるのはスティーヴン・ポール氏率いるSPインターナショナル・ピクチャーズ。

    ポール氏はハリウッド映画「攻殻機動隊」を手がけるプロデューサーで、小池氏からリメイクと続編製作の権利を獲得したという。

    過去には「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督や「ワイルド・スピード」シリーズのジャスティン・リン監督によるリメイクの噂があったが、いずれも実現しなかった。

    リメイクにこぎ着けたポール氏は「僕は長年この作品の大ファン。このプロジェクトを始められるチャンスを得て、言葉にできないくらい興奮しているよ」と喜びのコメントをしている。

    子連れ狼とは

    なぜ時代劇がハリウッドでリメイクされるのか

    「子連れ狼」は1972年から若山富三郎主演で映画化されると、以後若山主演で6本の作品が作られた。この映画版がアメリカでカルト的なヒットとなった。

    配給は「B級映画の帝王」と呼ばれたロジャー・コーマン率いるニューワールドピクチャー。

    同社では映画第1作「子を貸し腕貸しつかまつる」と第2作「三途の川の乳母車」を一本の映画に大胆に編集し「SHOGUN ASSASSIN」として1980年にアメリカで公開した。

    B級映画を2本立て、3本立てで公開する映画館「グラインドハウス」で主に上映された。

    空高く上がる鮮血、文字通り真っ二つになる人体、手足を斬られて芋虫のように転がる刺客と過剰すぎる殺陣が人気を呼び、後のスプラッター映画にも大きな影響を与えたといわれている。

    影響を受けた一人がクエンティン・タランティーノ監督。

    若いころにグラインドハウスに通っており「キル・ビル」の殺陣シーンは「子連れ狼」の影響と公言している。

    漫画版「子連れ狼」は日本漫画の普及に貢献

    今回のリメイクは1993年公開の映画「子連れ狼 その小さき手に」が元となる

    田村正和主演で撮られた映画は、血みどろだった若山版とは一線を画した親子の愛に焦点があてられた作品。原作者の小池氏も企画・製作に携わっている。

    リメイクで気になるのは一体どの俳優が主人公・拝一刀を演じるか。

    ポール氏が手がける実写版「攻殻機動隊」では、主人公・草薙素子役をアジア人ではなくスカーレット・ヨハンソンが演じたため、一部ファンから配役を白人中心にする「ホワイトウォッシング」だと批判を浴びた。

    このためポール氏は「子連れ狼」のリメイクに関しては、基本的に日本人のキャストで撮影する意向をヴァラエティー紙で明かしている。

    映画は来年からタイや中国で撮影を開始する予定。配役がどの役者になるか注目が集まりそうだ。