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レディー・ガガ、ブルーノ・マーズも好き、球界一の洋楽好きだった衣笠祥雄さん

衣笠さんがDJを務めた『鉄人ミュージック』のディレクターに話を聞く

4月23日に亡くなった、元広島カープの「鉄人」衣笠祥雄さん。プロ野球記録となる2215試合連続出場など数々の偉大な記録を作った名選手だが、実は球界一の洋楽通でもあったことをご存知だろうか。

小学校のころからエルビス・プレスリーを聴き、高校時代にはビートルズ、そしてレイ・チャールズに出会い、音楽の素晴らしさに目覚めた。

以来、無類の洋楽好き。家にはオーディオセットを置き、所蔵するLPレコードが200枚以上を数えるとラジオで語ったこともある。

その知識がいかんなく発揮されたのが、TBSラジオで2007年から2010年まで不定期に放送された番組『鉄人ミュージック』だった。

番組ディレクターも驚く知識量

「番組のきっかけは西武ドームでの雑談でした」

『鉄人ミュージック』のディレクターを務めたTBSラジオの鳥井泰伸さんは、そう話す。

当時野球中継も担当していた鳥井さんは、試合前の放送席で、解説の衣笠さんと雑談した際、その音楽の知識量に驚かされた。

「『どんな曲を聞くんですか?』と聞くと、ブラックミュージックとか洋楽がバンバン飛び出てくる。僕も音楽が好きだったので『衣笠さん、番組作っていいですか』と聞いたのがスタートでした」

番組タイトルは衣笠さんの代名詞と音楽を掛け合わせた『鉄人ミュージック』。ちょっとふざけた名前で、怒られるかなと思ったが、衣笠さんは笑ってOKをしてくれた。

当初は夕方のスポーツ情報番組内の5分番組で1曲を紹介していたが、やがて交流戦などの影響で中継の谷間を埋める不定期の1時間番組となった。

番組中に流れる9〜10曲は全て衣笠さんが選曲したもの。パソコンやiPadも自在にこなした衣笠さんは、その日の番組でかける曲をメールでスタッフに送った。

「普段はブルースとか、カントリーを聞いていたそうなんですが、選曲はマイケル・ジャクソンからR&Bまでと幅広かったです。驚いたのはレディー・ガガですかね。ビヨンセ、アリアナ・グランデもかけてましたし『最近はブルーノ・マーズもいいね』と言ってました」

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無骨な印象もあるカープ時代の鉄人・衣笠のイメージからは想像できない、軽やかな選曲。

「衣笠さん本人が選んでいるのか、と疑われたこともありました。けれど、本当に衣笠さんが選んでいるから、こだわりが強いから困ってるんですと周りには言ってました(笑)」

例えば選曲は、季節や天候、その時の気持ちで変えるようにしていた。

「現役時代から気持ちを高ぶらせる練習前にはロックなどハードな曲、練習後に宿舎に帰るバスの中では落ち着かせるためジャズを聞いていると言ってました。音楽にすごくこだわりがある方でした」

「鉄人ミュージック」で衣笠祥雄さんのアシスタントを務めていることは私の誇りです。 衣笠さんに教えてもらった数々の音楽をこれからもずっと聴き続けます。

番組の6代目アシスタントを務めた宮崎瑠依

普段は温厚で優しい衣笠さんだったが、激怒した時も理由は音楽だった。

「番組で交通情報を流す際にバックで流れるBGMは僕が選んでたんです。ある時、某アイドルの曲を流したら、CM中にすごい剣幕で怒られましたことをよく覚えています(苦笑)」

1か月前には次の放送予定を教えてほしいと鳥井さんに頼んだこともあった。真剣に曲を選ぶためだ。

「衣笠さんだから片手間で選んでいると言われたんですけど、本当に好きでこだわってやってもらってました」

野球だけでなく、番組でもいつも真剣勝負だった。

音楽でも「鉄人」ぶりを発揮した衣笠さん

鳥井さんは去年の9月に番組を放送しようとしていたが、衣笠さんの予定が合わずに断念。「また音楽の方も頼むよ」と声をかけられていたが、結局それが最後となった。

番組では選曲以外にも、次々に飛び出す衣笠さんの名言も売りだった。

鳥井さんが特に印象に残っている言葉が「人間、欲望がなきゃダメだ」。

「野球でどうやってのし上がっていくかという際の話で『欲望は一見ネガティブに捉えられるけど、欲望がないと上には上がれないし、欲望があるから苦しい。欲望は悪くない』と話していて、衣笠さんならではの言葉だなと感じました」

音楽に関しても、娘さんに最新曲を教えてもらったり、グラミー賞を毎年欠かさず見るなど、貪欲にアップデートを心がけた。

衣笠さんは音楽の面でも鍛錬を欠かさない「鉄人」だった。

なおTBSラジオでは27日午後8時から、衣笠さんの追悼番組を放送する予定だ。

BuzzFeed JapanNews