ハリル電撃解任 本番直前の「劇薬」過去の成功例は?

    午後にも会見が開かれる予定

    直前の「劇薬」の投与に効果はあるのか。

    サッカーW杯ロシア大会まで約2か月となった中、日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が解任される。4月9日、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が明かした。

    9日の常任理事会での承認後、午後にも会見が開かれる予定だ。

    親善試合での連敗、選手からの不信感

    ハリルホジッチ監督は2015年2月に解任されたハビエル・アギーレ前監督の後を引き継ぎ、日本代表の監督に就任した。

    ロシアW杯アジア最終予選を首位で突破するも、ブラジル、ベルギーと対戦した昨年11月の欧州遠征で連敗し、12月の東アジアE-1選手権ではライバル韓国に1-4で完敗した

    今年3月の欧州遠征ではW杯に出場しないマリに引き分け、ウクライナに対し連敗。ウクライナ戦後には、選手から采配への不満の声が上がっていた

    残り3か月での監督交代。成功例は...

    一般的に代表チームはクラブチームに比べ、全員が集まっての練習時間も短く、準備期間を長く取るのがセオリーだ。

    途中交代の成功例として思い浮かぶのが、2002年日韓大会で韓国代表をベスト4、2006年ドイツ大会でオーストラリア代表をベスト16に導いたフース・ヒディンク氏。

    しかし韓国代表監督への就任は2001年1月、オーストラリア代表監督就任は2005年7月とW杯本大会までは1年ほどの猶予があった。

    過去5大会でベスト16に進出したチームでは、1998年にナイジェリアをベスト16に導いたボラ・ミルティノビッチ氏、2002年大会のパラグアイをベスト16に導いたチュザーレ・マルディーニ氏(故人)、2014年大会のメキシコを同じく16強に導いたミゲル・エレーラ氏がいる。

    しかし、ミルティノビッチ氏就任は1997年12月、マルディーニ氏は2001年12月、エレーラ氏は2013年10月に就任と、少なくとも本大会まで半年以上は準備期間があった。

    W杯開催年になって監督を交代した1998年大会のイラン、南アフリカ、2002年、2010年大会のナイジェリア、そして2010年のコートジボワールはいずれも本大会の予選リーグで敗退している。

    結果を見ると、W杯直前の監督解任は決して良薬でないことがわかる。

    ちなみに2010年W杯の直前の3月までコートジボワールを率いていたが、アフリカネーションズカップのわずか1敗で解任されたのが、ハリルホジッチ監督だった。

    南ア16強の岡田監督も準備期間は2年以上

    日本代表では、1998年、2010年W杯を戦った岡田武史氏が途中登板のイメージが強いが、その条件は対照的だった。

    フランスW杯アジア最終予選で1勝2分1敗と不振だった加茂周監督の更迭を受けて、コーチから監督に昇格した。

    「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるイラン代表との第3代表決定戦を勝ち抜き、最終予選を突破するも、フランス大会での本大会では予選リーグ3連敗と惨敗を喫した。

    2度目となる監督就任は、2007年11月にはイビチャ・オシム監督の急病を受けてのものだった。本大会では直前での戦術変更も功を奏し、日本代表を初のベスト16に導いたが、この時は2年以上指揮が続いており、準備期間が十分にあった。

    ハリル解任が報じられた9日、岡田監督が監督業から引退し、JFL・FC今治の経営に専念すると日刊スポーツが報じており、W杯の指揮を取る可能性は低い。

    後任には日本協会の技術委員長を務める西野朗氏、U-21日本代表の森保一監督、現日本代表コーチの手倉森誠氏の名前が上がっているが、いずれもW杯を率いた経験はない。

    ハリルホジッチ監督就任を発表する会見で、霜田正浩・日本サッカー協会技術委員長(当時)は「アジアを勝ち抜いて、世界で勝つことを目的に監督を選ぶのであれば、世界を知っていて、経験豊富な監督を連れてくることにトライしてみようということをテーマとして決めました」と、就任理由について語ったが、結果としてそのトライは失敗した。

    そして"悪手"と言えるW杯直前での監督解任劇。日本サッカー協会への批判は免れない状況となった。

    BuzzFeed JapanNews