アイスランドの冒険が終わった。
人口33万人の小国ながら、強豪イングランドを倒すなどEURO2016で快進撃を続けたが、準々決勝で開催国フランスに2-5で敗れた。

アイスランドのラガーベック監督が「前半はメンタル面のコントロールがうまく行えなかった」と語るように、前半だけで4点を奪われ、勝敗はほぼ決してしまった。
だが熱狂的なアイスランドサポーターはあきらめない。
チームがどんなに劣勢に立たされようとも野太い声援で鼓舞。選手もこれに最後まで試合をあきらめず後半2点を返し、意地を見せた。

大会最大の発見といえるチームとサポーター
国の人口33万人。サッカー人口は3000人ほどで、サッカー協会に登録するプロは100人程度という小国。メジャーな大会への出場は今大会が初だ。
そんなチームが強い意志と組織力を武器にグループリーグでポルトガルと引き分け、決勝トーナメントではイングランドを破る大番狂わせを演じた。
サポーターも印象的だった。
人口の1割に当たる3万人がフランスを訪問。首都レイキャビクのパブリックビューイングにも数万人が集まり、イングランド戦の視聴率は99%を超えた。
勝利した後、アイスランド代表がサポーターのもとに駆け寄り、手を大きく広げて叫ぶ「アイスランド・チャント」は今大会の名物となった。
イングランド戦後のチャント
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フランスに敗れた後も、サポーターはいつもと変わらぬチャントで選手たちを迎えた。

対戦したフランス代表もアイスランドを賞賛
この日、2得点を決めたフランス代表FWジルーは「アイスランドは最後まで諦めなかったね。不屈の闘志で戦った彼らを祝福したい」と最後まで戦う姿勢を賞賛。
フランスサポーターも、会場のサンドニから去るアイスランドサポーターを拍手で送った。
France fans clapped Iceland fans out of stadium after tonight's match. Football isn't all bad. #euro2016 #FRAISL
フランスでの冒険は終わった。されど冒険は続く
アイスランドの"バイキング"たちは、フランスに誇りと野太い声を残して大会を去った。
だが、冒険は終わらない。夏が明けた9月からはロシアW杯を目指す、新たな冒険が始まる。
今大会、背番号10を背負ったギルフィ・シグルドソンはフランス戦後にこう語った。
「僕たちはこれからも進歩し続けていける」