歌手でタレントのDAIGOが12月21日公開の映画「ニセコイ」で個性的なキャラクターを演じている。

DAIGOが演じるのは中条あやみ演じる桐崎千棘のボディーガードで、中島健人演じる主人公・一条楽の前に立ちはだかるクロード。取材では撮影秘話から、演技の仕事への思い。恩人である氷室京介についても話は及んだ。
中島健人は「プロフェッショナル」

――今回の共演者は中島健人さん、中条あやみさんなど非常に若かったですけれど、どうでしたか?
僕はもう今年で40なんですが、昔に自分が思い描いていた40とはだいぶ違って、まだ若い気でいる部分があったんです。
だけど今回みたいに、本当に若い皆さんと共演することで、誰に言われたわけではないんですが、改めてもうおじさんなんだよと教えられました(笑)。
もう学生側の役とかはできないんだなって。やっぱりみんなキラキラしているので。
――でも、DAIGOさんだって十分キラキラしているじゃないですか。
僕はほら、シルバーの髪にカラコンでなんとか人工的にキラキラしてる(笑)。やっぱり内面から出るキラキラ感とはね。
だって小咲ちゃん役の池間夏海ちゃんや、るりちゃん役の河村花ちゃんはリアルな高校生で、現場で「どこのアイスが好き?」とかで永遠と盛り上がれるし、すごくかわいらしいなと思って。

僕とかは最近先輩と話していても健康についての話題とか(笑)。人間ドッグにちゃんと行ってるかとか、何々が体に良いらしいよとか、そういう話が増えてきましたからね。
そういう意味では、歳を重ねてきたんだなと。だから、本当に今回の映画で青春を一緒に楽しませてもらったなとは思いました。
――映画では中島健人さんとの絡みが数多くありました。共演してみていかがでしたか。
いやーケンティは本当にストイック。プロフェッショナルだなと思いました。
ジャニーズに入って10年と言ってたんですけど、14歳くらいから大人と一緒に仕事をしているというのもあって、自分の今のポジション、人気に驕ることなく本当にストイックに真面目にやっていました。
セリフも噛んでいるところとか一回もなかったと思うし、俺と同じシーンでは常にしっかりと一条楽が存在していました。
どんなにスケジュールが大変な時でも、しんどそうな顔をしないし、すごくリスペクトしてます。

――今回、役作りで気をつけた部分はありましたか。
まず見た目でクロードにしっかりなりきれるのかという部分は僕の中では大きくて。見た目のイメージが違うと「んっ」となる方もいらっしゃると思ったので、そこがテーマでした。
シルバーヘアで眼鏡をかけてとクロードの衣装を着たとき、僕もそうですし、監督、スタッフの皆さんも手応えを感じてくれたので、一つの山を乗り越えた部分だったと思います。
あと長時間のウィッグでの撮影で、蒸れとの戦いというのはありました(笑)。撮影は早朝から夜中までという日もあったりと、とにかく人生で一番蒸れた2か月半だった。
その甲斐もあって、凄くこだわったクロードを作り上げることができたんじゃないかと思っています。
嬉しかった「恩人」氷室京介の笑顔
――クロードは劇中でキメキメの顔をする場面が何度もあります。そこは音楽活動での魅せる部分が役に立っていたのではないですか。
いや、凄く役に立ちましたね。19からビジュアル系をやっていて、メイクをしたり、いろんな髪色をしたりという経験が活かされたというのはあります。
そうした経験をしてない方がやると、ちょっと違和感みたいなものを感じる場合もあると思うんですけど、僕は本当にバンドでやってきたので、変な説得力があるというか。
僕の音楽人生、ビジュアル系人生みたいなものが活かされている。そんな役をいただけたなっていうふうに思います。
――今回演じるクロードは、中島さん演じる楽にとってある種、越えなければいけな壁です。DAIGOさんには今まで人生の壁というか、この人に認められるために頑張らなければいけないという存在はいましたか。
ミュージシャンとして活動していた中で、なかなかうまくいかない時もあって。25歳の時に氷室京介さんに曲を提供していただいてデビューしました。
だから氷室さんに対してしっかり恩返しできるような男になりたいなという意識はすごく強かったです。
氷室さんは僕がロックが好きになるきっかけの方で、その存在は自分の中で大きい。越えられるというような存在ではなく、とにかく恩返しできるように頑張っていきたいなっていうのはありました。

僕が忙しくなったきっかけはバラエティーだったんですけど、バラエティーに出て、いろんな人に知ってもらえるようになってから氷室さんにお会いしたとき「いや、本当にDAIGO君。テレビにたくさん出てるね」「自分のことのように嬉しいよ」と言ってくださったんですよね。
まだ恩返しはできていないかもしれないけれど、氷室さんにデビュー曲を書いていただけたからこそ、今ここでのこういう活動ができていると思う。
その意味では氷室さんのあの笑顔を見られたっていうのは、僕にとってはすごく嬉しい瞬間でしたね。
今後目指すのはWH!?

――DAIGOさんにとって役者という仕事はどういう位置にあるんですか。
そもそも僕の奥さんが女優をしていることもあって、家でドラマ、映画といろんな台本を覚えています。時々、台本を読ませてもらって、改めて興味深い世界だなと少なからず僕も触発されている部分もある。
だから自分の可能性の一つとして、そうしたお仕事をいただけるのは凄く嬉しいです。
音楽ではこういうライブにしたりと自分で考えることが多いですけど、演技の仕事はやっぱり誰かが作ったものにどう溶け込むか。
今回だったら古味直志さん原作の漫画「ニセコイ」があって、河合勇人監督がいて、プロデューサーがいてと作り上げられているものに対して、自分がどう対応するかというのは、いろんな表現の勉強になります。
――DAIGOさん自身、存在が2.5次元みたいな雰囲気があるので、本当にハマり役でした。漫画家の実写化との作品の相性がいいのではと勝手ながら思いました。
本当ですか。嬉しいですね。
今は「ニセコイ」ともう一本映画があって、その後のオファーは今のところないんですけど(笑)、またこの作品を見てワンポイントでもDAIGOを使ってみたいなと思ってもらえたら嬉しい。
いい意味で最近、映画でウィッグをかぶったりすることがあるので、わかりやすくいうと「WH」。ウィッグ俳優として、いろんなウィッグをつけて撮影していきたいなと思います。
【ヘアメイク】キクチタダシ
【スタイリスト】林 峻之