ロックユニット「ブンブンサテライツ」が、6月22日に発売されるEP「LAY YOUR HANDS ON ME」をもって活動を終了すると発表しました。

理由は川島道行さんの脳腫瘍による麻痺などの後遺症
ユニットでベース&プログラミングを担当する中野雅之さんがブログで明かしました。
ボーカル、ギターを担当する川島さんはベルギーのレーベルからデビューを果たした1997年に脳腫瘍を発症。以後はこの病気と闘い続けました。
放射線治療を受けながら、昨年の夏の音楽フェスへは出演していた川島さんですが、8月末に5度目の脳腫瘍を発症。11月の活動休止前最後となるライブも10月には中止となっていました。
新作はユニットにとって「10枚目」のアルバム
完成してしまった。試聴した川島くんも「良い作品。」と言ってくれました。 自分達に「おめでとう」と言いたい。
ライブ活動ができなくなった後も、ブンブンサテライツは音楽活動を続けます。その結晶が今月発売される「LAY YOUR HANDS ON ME」。
川島さんは歌うことにも限界がきていて、ボーカルは昨年末に録音。その声をもとに中野さんが楽曲へと仕上げました。
「LAY YOUR HANDS ON ME」に収められているのは表題曲も含めて4曲。ですが中野さんは「まるでこのバンドの生涯を22分で描ききったような壮大で美しい作品に仕上がったと思います」とスケール感のある作品だとコメントしており、この日もブログで以下のようにつづりました。
「ひと足早く聴いてくれた人達は一様にこの作品を『アルバム』と呼んでくれます。実際、川島はアルバムを作りたがっていました。『遂に10枚目のアルバムが完成した』と、僕は言い切ってしまおうと思います。バンド史を締め括るのに相応しい作品です」
新曲発売に合わせ、タワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE.」ポスターにも登場しました。

ポスターには次のメッセージが添えられました。
音楽を奏でる事。
聴いてくれる人を感じて、繋がろうとして、もがいていたのでした。
いつも聴いてくれてありがとう。繋がってくれてありがとう。
僕達は幸せ者です。
音楽を通したファンとの繋がりへの感謝が述べられています。
新作の表題曲「LAY YOUR HANDS ON ME」はアニメ「キズナイーバー」のオープニング曲にも起用されています。アニメは互いの痛みを共有することになった少年少女たちを描いた群像劇で、人との繋がりが題材となっています。
いま、川島さんは家族と穏やかな日々を過ごす
川島くんの家族とディズニーランドに行った。川島くん、いろんな意味でディズニーランド嫌いなんだけど「今日は楽しみなよ」って言ってあげた。 忘れられない日がまた1日増えた。 https://t.co/S6dKm768FW
中野さんは、川島さんの現在について「ミュージシャンとしての役割を終えて」家族(奥さんは女優の須藤理彩さん)とともに穏やかな毎日を過ごしていると明かしました。
「言葉はゆっくりですが話せます。手足は不自由になってきて車椅子を使う機会も増えました。正確な意思の疎通が難しいので、今彼が何を考えて何を思って毎日を過ごしているのか、僕でも少し理解しきれない時があります。しかし、この作品を作りきった充実感や達成感は感じていると思います。僕には本当に燃え尽きてしまった抜け殻のようにも見えます。『お疲れ様!』と声をかけてあげて欲しい」(ブログより)
君の手を僕に重ねて
「LAY YOUR HANDS ON ME」を日本語に訳すとこうなります。
1990年の結成から続いてきた川島さんと中野さんの旅を締めくくるナンバーは、空へ抜けるような爽快感と高揚感にあふれています。
ミュージックビデオに登場するかわいらしい女の子は、川島さんの娘さん。その笑顔が、この曲に未来への希望という彩りを与えています。